【派遣のお仕事】派遣社員の3年問題・5年問題|同一労働同一賃金

2020年4月から、派遣法が改正されます。

一見、派遣社員にとって今までの待遇が改善されるかのように見えますが、難しい問題も山積みなように感じます。

そこで、派遣社員の3年問題・5年問題、同一労働同一賃金について解説したいと思います。

派遣社員の方や会社の人事担当の方ならご存じかとは思いますが、元派遣社員の私自身の体験を含めてご紹介します。

派遣社員の3年問題

みなさんは、派遣社員の3年問題をご存じでしょうか?

同じ職場で3年働けば、派遣先の正社員又は派遣元の派遣会社と無期雇用契約を結べるというものです。

 

無期雇用とは、読んで字のごとく契約期間の定めがない雇用のことです。

正社員と同じ扱いで、ボーナスももらえるし、交通費の支給もあり、派遣先の会社から契約解除を言われてもすぐに次の仕事が紹介されるか、紹介されない場合もお給料が発生します。

 

法律の趣旨は、「3年以上必要な労働者は正社員にすること」というものですが、解釈を変えれば、「3年経ったら派遣社員を雇い止めし、別の人を雇う」ということです。

派遣会社にとっても、派遣先にとっても、それが一番有利な派遣社員の使い方です。

 

そのため、派遣社員にとっては、3年経てば正社員(または無期雇用)になれるのではなく、3年しか同じ派遣先で働けなくなるという法改正だったわけです。

課が変われば、同じ会社で3年以上働けるという抜け道もあると言われているようですが、派遣会社はそれを良しとしないことが多いです。

特に大手の派遣会社の場合、労働基準監督署の監査が入ると一発アウトとのことでした。

派遣社員の5年問題

オフィスのパソコン

次に、派遣社員の5年問題ですが、3年問題は同じ派遣先では3年以上働けないけれど、半年以内に同じ派遣会社から紹介された他の派遣先で2年以上働けば通算5年働いたことになり、自動的に無期雇用となるというものです。

これに関しては、よっぽどのスキルのある派遣社員ならありえますが、ほとんどが「今、紹介できる仕事がない」と言われ、半年以上紹介がなく、また一からのスタートとなるのです。

そもそも、「3年問題・5年問題」など「問題視」しているところからしても、いわずもがな、です。

特に、年齢の高い派遣労働者は、雇い止めになることが多い傾向にあります。

20代の派遣社員なら、正社員になるチャンスはあると思います。

 

しかし、私の以前の派遣先の先輩は、50代ですが、PCスキルが高く、電話応対も完璧であったため、無期雇用契約を結ぶことが出来ています。

これからは、派遣だけでなく、正社員も、実力勝負なのかもしれませんね。

派遣社員の同一労働同一賃金

契約が成立して握手する人々

2020年の4月から、派遣法が改正され、同一労働同一賃金となります。

正社員と同じ仕事をしている派遣社員の賃金を値上げするというものです。

  • 雇用形態にかかわらず、同じ仕事をしていれば賃金などの待遇も同じにする
  • 派遣社員もボーナスがもらえる
  • 交通費の支給
  • 各種手当が受け取れる
  • 退職金を受け取れる
  • 福利厚生が正社員と同等に利用できる

というものが柱となっています。

正直、これらすべてが正当に実現するのかどうか…疑問も多く残ります。

同一労働同一賃金

私が働いていた派遣先で言えば、「正社員にしかさせない仕事」(決して難しい仕事ではなく正社員が休んでいるときは代わりに派遣が行っていた)というものが存在し、同一労働とは見做されない…となりそうです。

おそらくどの会社も派遣社員と正社員の業務を明確化してくるものと思われます。

派遣社員もボーナスがもらえる

あったとしても、寸志程度…となるのではないでしょうか。

おそらく、ボーナスを支払うのは派遣会社で、ボーナス分を派遣先会社に割り増しで費用を求めることになると思いますので、それなら雇い止め…となる可能性もありそうです。

交通費の支給

派遣会社によっては、交通費の支給や補助がある派遣会社は今までにも存在したので、順当に支払われるようになるのではないかと思われます。

しかし、同一労働同一賃金の上に成り立つものなので、同一労働と認められない場合は支給されない…ということもありえるのではないかと思います。

また、時給が1500円だった場合、交通費支給の場合は時給1400円+交通費などとなり、実際にもらえる賃金は変わらないということもありえます。

各種手当が受け取れる

これについても、正社員と同一労働とみなされなければ手当が受けられるとは思えませんし、勤続年数3年以上など条件付きになるのではないでしょうか。

退職金を受け取れる

こちらもまた同様で、正社員でも勤続年数3年以上で支給というのが通例としてあったと思われますので、派遣の3年問題に絡んでくる話だと思います。

勤続年数3年以上になる前に雇い止めということです。

福利厚生が正社員と同等に利用できる

福利厚生に関しては、大手派遣会社などは元々充実していたので、そのまま利用可能でしょう。

 

以上のように、悲観的なことばかり書きましたが、そのくらいに考えておく方が良いのではないかということです。

私が働いていた派遣会社は、大手2社でしたが、印象としては以上のような感じなので、小さい派遣会社になるともっと難しいのでは…。

今回の法改正も、また、3年問題・5年問題と同様に、難しい問題となるように感じます。

同一労働同一賃金は、正直、当たり前といえば当たり前のことなのですが、それが今まで行われていなかったのが実情。

派遣会社も当然、法の目をかいくぐる何かを考えてくるはずです。

 

また、正社員が安泰という今までの体制が、変化する可能性も否めません。

私が派遣されていた会社は、本当に「何もしない」正社員がゴロゴロしていましたから…。

その人たちを「減らす」ことが出来れば、今回の派遣法の改正の対応は可能だと言えるのですが、派遣社員のために、会社がそこまでしてくれるのか…疑問が残ります。

派遣社員という生き方

PCで仕事をする女性

私自身が最後に派遣で働いていた職場は、大きな事務センターで、労働者のほぼ9割が派遣社員でした。

そして、仕事自体はそれほど難しいものではなかったので、ある意味、正社員の「出来ない」人より、複雑な仕事をしていた派遣社員も多くいました。

自慢ではないですが…私もその一人でした。

私自身はその派遣先の中では最古参で、5年近く働いていたからです。

 

そして、5年近く働けたのは、働き出して3年目に派遣先会社が元の会社の関連会社に変更になったためです。

上記の3年問題の法の抜け道から可能となっていたに過ぎません。

結局、ずっとダブルワーク(ハンドメイド教室・作家)をしている私は、派遣元の無期雇用のお話を断り、今に至ります。

 

そして、何よりも辛かったのは、同じように仲良く働いていた派遣社員同士が、この3年問題の雇い止めで明暗分かれてしまい(結局、管理職のお気に入りの若くて可愛い子とその職場の仕事に精通している人だけが無期雇用になりました)、職場の和やかな雰囲気やチームワークも崩れてしまいました。

もちろん、職場は仲良しグループではないので、当たり前なのかもしれませんが、会社によっては人選の基準に納得いかない場合は多いようです。

また、派遣法が改正されるたびに思うことは、派遣社員の全員が正社員になりたいと思っているわけではないということです。

派遣のまま、仕事はきちんとこなし、飲み会や社内旅行などには参加しなくていい派遣社員という働き方を自ら望んでいる人もいるということです。

私自身が、まさにそれでした。

派遣会社は元々副業推奨ですし、私としては派遣社員という生き方がとても合っていたのです。

最後に

以上にご紹介したように、派遣社員のままでいるか、正社員になるか、無期雇用になるか…を、それぞれが選択できるようにしてほしいというのが、派遣で働いている人の本音なのではないでしょうか。

男性の派遣社員の方は、将来的には正社員になれる方が良いと思いますが、私のようにダブルワークをしているものにとっては、一般の派遣社員のままでいたいのです。

その方が、言われた仕事は確実にこなし、社内行事には参加せず、本業の仕事を無理なく出来る…それが理想なのです。