こんにちは。
はるき ゆかです。
映画「かぞくのくに」の感想です。
病気の治療のために25年ぶりに、北朝鮮から日本に戻ってきた兄・ソンホ。
北朝鮮に一度渡った在日朝鮮人の方が、日本に戻ってくることが出来るとは思ってもいませんでした。
「かぞくのくに」あらすじ
70年代、帰国事業により北朝鮮へ渡った兄と生まれたときから自由に生きてきた妹、そして兄をかの地に送った両親。その兄が病気治療のため一時帰国をする。25年ぶりの日本での再会を喜ぶ一家。ところが、治療が終わっていないにも関わらず、兄は突然の帰国命令を受ける。その時に家族が下した決断とは……。(C)2011『かぞくのくに』製作委員会
[引用元]Amazonプライムビデオ「かぞくのくに」あらすじ
【監督】ヤン・ヨンヒ
【出演者】安藤サクラ 井浦新 ヤン・イクチュン 宮崎美子 津嘉山正種
知らないことだらけだった
25年前に北朝鮮に渡り、病気の治療のために日本に戻ってきた兄・ソンホ(井浦新)。
まず、北朝鮮がかつて「地上の楽園」だと言われていたことに少し驚きました。
1950年代から北朝鮮帰還事業というものが、日本で大々的に行われたようです。
北朝鮮帰還事業とは…
在日朝鮮人の帰還事業(ざいにちちょうせんじんのきかんじぎょう)とは、1950年代から1984年にかけて行われた在日朝鮮人とその家族による日本から朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)への集団的な永住帰国あるいは移住のこと。
[引用元]Wikipedia北朝鮮の帰還事業
このようなことが行われていたことも、私は全く知りませんでした…。
そして、一旦、北朝鮮に渡ってから、病気治療のためとはいえ、日本に戻ってくることが出来ることも。
もちろん、当局から派遣されてきた人に監視されてはいるのですが。
しかし、ソンホのような待遇は、普通ありえないことのようです。
まず、ソンホは平壌に住んでいるのですが、日本からの帰国者が平壌に住むことはほとんどないようです。
映画のタイトルである「かぞくのくに」は、もはや彼の家族の国であって、自分の国ではなくなっているのです。
無表情が語るもの
ソンホは、病気(脳腫瘍)のせいもあるでしょうが、終始無表情でときどき微笑む程度です。
しかし、その無表情の演技が様々なことを物語っているように思いました。
彼を不憫に感じ、なぜ北朝鮮に行かせてしまったのかと悔いる母(宮崎美子)にも、ただ優しく微笑むばかりです。
妹・リエ(安藤サクラ)は、日本で自由に生きています。
そして、日本語学校の教師をしています。
しかし、韓国のソウルに帰る友人に「一度ソウルに遊びに来て」と言われても、「私はソウルには行けないんだ…」と言います。
彼女は、在日韓国人ではなく、在日朝鮮人なのです。
ソンホがリエを北朝鮮工作員に誘うシーンは、胸が苦しくなります。
おそらく、それも当局からの命令なのかもしれません。
ソンホの立場が悪くなることを心配しながらも、リエはきっぱりと断るのです。
ソンホは、北朝鮮で結婚して子供もいます。
ある日、リエと一緒に買い物に出かけるのですが、高級なスーツケースのお店を見つけます。
ソンホが、リエに「リエはこれを持っていろんなところへ行けばいい」というシーンもとても切ないです。
思考停止しなければ生きていけない国
ソンホの病気は、思いの外、重く、滞在予定期間の三ヶ月では完治しないことがわかります。
半年までなら滞在を延ばせるかもしれないとされていた矢先、厳しい現実が…。
家族の狼狽ぶりや悲しみに対して、ソンホ自身はあっさりと「よくあることなんだ」と笑っています。
「思考停止しなければ、生きていけない国なのだ」とも。
見張り役の方も、当局からの電話に一応は反論しようとしてくれますが、言うことを聞く以外、彼らに選択の余地はないのです。
私達は、自由に生活しています。
それは当たり前のことなのかもしれませんが、それが出来ない国もあるのだと改めて痛感させられました。
最後に
映画「かぞくのくに」の感想でした。
1時間40分の映画の中に、さまざまな思いが込められています。
ぜひ、一度観ていただきたい映画です。