こんにちは。
はるき ゆかです。
映画「おらおらでひとりいぐも」の感想です。
「おらだばおめだ」は「私はあなたです」という意味です。
東北地方の方言です。
私にとっては、とてもエンタメ性も高く、ほんわかと癒やされた映画でした。
映画「おらおらでひとりいぐも」の感想 はじめに
あらすじ
昭和、平成、令和をかけぬけてきた75歳、ひとり暮らしの桃子さん。ジャズセッションのように湧き上がる”寂しさ”たちとともに、賑やかな孤独を生きる__
1964年、日本中に響き渡るファンファーレに押し出されるように故郷を飛び出し、上京した桃子さん。あれから55年。結婚し子供を育て、夫と2人の平穏な日常になると思っていた矢先…突然夫に先立たれ、ひとり孤独な日々を送ることに。図書館で本を借り、病院へ行き、46億年の歴史ノートを作る毎日。しかし、ある時、桃子さんの“心の声=寂しさたち”が、音楽に乗せて内から外から湧き上がってきた!孤独の先で新しい世界を見つけた桃子さんの、ささやかで壮大な1年の物語。
[引用元]映画「おらおらでひとりいぐも」公式サイトSTORY
【監督・脚本】沖田修一
【原作】若竹千佐子
登場人物
現在の桃子さん/田中裕子
昭和の桃子さん/蒼井優
周造/東出昌大
寂しさ1/濱田岳
寂しさ2/青木崇高
寂しさ3/宮藤官九郎
どうせ/六角精児
直美/田畑智子
夫に先立たれた桃子さん

娘(田畑智子)や息子とも最近は疎遠になった桃子さん(田中裕子)は、夫(東出昌大)に先立たれた75歳の一人暮らしの女性。
桃子さんの日常
桃子さんの毎日は、『46億年の歴史ノート』の作成と病院通いと図書館で本を借りること。
そんな穏やかな桃子さんの日々の中で、ある日、3人のおじさん「さびしさ1・2・3」(濱田岳・青木崇高・宮藤官九郎)が現れます。
このおじさんたちは、桃子さんの「心の声」です。
これから夫とののんびりとした生活を送るつもりが、夫が突然亡くなってしまったことから桃子さんは、淡々と日々を過ごしていますが、寂しさでいっぱいだったのです。
このさびしさ1・2・3は、おじさんだけど、桃子さんの心の声なので、桃子さんと服装も同じ、神出鬼没、楽器を演奏したり踊ったりと、とても賑やかです。
「寂しさ」と一緒に歌い、踊る桃子さん、すごく可愛いです。
しかし、桃子さんは突然現れたこの三人のせいで少し認知症の心配をしてしまいます。
「寂しさ」と「どうせ」
桃子さんの心の声は「寂しさ」と「どうせ」(六角精児)です。
「寂しさ」も3人のおじさんですが、「どうせ」も毎朝現れる白い毛糸のセットアップwを着たおじさんです。
「寂しさ」は桃子さんを励ましてくれたり、賑やかに寂しさを紛らわせてくれますが、「どうせ」はかなり桃子さんの気持ちをダウンさせます。
桃子さんの枕元に座ったり、ときには覆いかぶさって「どうせ、起きたっていいことなんてないよ」とささやくのです。
文章にすると怖い感じですがw、「どうせ」の存在は映画を暗くさせるわけでもなく、どちらかというとキモいけどユーモラスなおじさんという立ち位置です。
言ってることはすごく気持ちを落ち込ませる言葉ですが…。
しかし、桃子さんは「どうせ」を毎朝、振り切って布団から起き上がります。
そして、目玉焼きとトーストの朝食を作るのです。
桃子さんの作るお料理は、とても美味しそうです。
特にお弁当はすごくおいしそうでした。
桃子さんの脳内で起こる回想や物語

桃子さんは20歳(蒼井優の)のとき、ふるさとを離れ、上京します。
ちょうど食事をしに入った食堂で従業員募集の張り紙を見て、それに応募し採用されます。
周造との出会い
桃子さんは、この食堂によく食べに来る周造(東出昌大)が、自分と同じお国なまりで話すのを聞いて親近感を覚え、恋に落ちます。
周造さんにだけ漫画盛りご飯を出したり、お水も表面張力ギリギリまで入れてあげたりw
その後、二人は結婚します。
子供も二人生まれ、賑やかで和やか、そして優しい時間が過ぎていきます。
この時間が、ある日突然終わってしまうとは思ってもいなかった桃子さん。
周造さんが亡くなった原因は、映画では描かれていませんが、おそらく突然死だったようです。
桃子さんの回想
桃子さんは、頭の中で昔のことを思い出しながら、妄想もたくましくw、生バンドで桃子さんが熱唱したり、「寂しさ」3人組の演奏で歌い踊ったり。
食堂で働いていたときの同僚との楽しい日々、周造さんからプロポーズされた日のこと、元気に駆け回る子供たちとの日々…。
桃子さんの今までの人生があまりに楽しかったから、一人になった今、「寂しさ」が胸に溢れてくるのかもしれません。
桃子さんが歌う歌の中に「クソ周造」wという歌があるのですが、それは自分を置いて先に亡くなってしまった周造さんに対して歌っているようです。
周造さんは、とてもいい夫だったようです。
老いと共に一人で生きること
私は、もう長い間一人暮らしで、結婚もしていないので子供もいません。
一人暮らしには慣れていて、これが当たり前になっています。
しかし、きちんと結婚して子供もいて、賑やかに暮らしていた人が突然一人暮らしになってしまったら、どれだけ寂しいでしょう。
私の伯父の場合
私の伯父は、長男で結婚してからも生まれた家で両親とともに暮らし、子供は3人、ちょっとした大家族でした。
そのため、お嫁さんが50代で病気で亡くなり、子供たちは独立し、祖父母が亡くなって一人になったとき、伯父は、身体もどこも悪くなかったのですが、寂しさのあまり家を売って有料老人ホームに入ってしまいました。
周囲からは、もったいないと言われていましたが、伯父は「一人がどれだけ寂しいか、お前たちにはわからない」と泣いていました。
孤独死の恐怖
一人で生活していて、突然自分が死んでしまったときのことを思うと、伯父はとても怖かったようです。
孤独死。
老いて一人暮らしをしていると、最も恐怖を感じることが『孤独死』です。
私自身も、孤独死は周囲に迷惑を掛けてしまうので、死ぬなら病院がいいなと思います。
年代別で感想が大きく異る映画

本作「おらおらでひとりいぐも」は、そんな老いて一人暮らしを余儀なくされた桃子さんの物語ですが、私にとっては、考えさせられることは多いですが、とてもほんわかとした穏やかな気持にさせてくれる映画でした。
桃子さんと同世代の女性たち
私は、レディースディの朝イチでこの映画を観たのですが、シネコンの小さいスクリーンで上映され、観客は少なめで全員女性でした。
その女性たちがほぼ65歳以上の方たちで、私は最年少だったと思います。
そして一様に、みなさん表情が固かった…。
ほんわか癒やされたのは、おそらく私一人。
帰りにエスカレーターに乗ったら、ちょうど本作を観た二人の女性と一緒になりました。
「ちょっと暗い映画だったね」
「そりゃあ『ひとりいぐも』…だもんね」と感想を言われているのが耳に入ってきました。
年齢層で感想は変わる
私は、田中裕子さんの可愛らしさと「寂しさ」3人おじさんがおもしろくて、どんな感想をブログに書こうかな♪とわくわくしていました。
しかし、この映画を「暗い映画」だと思う年齢層の方もいるのか…と少し驚きました。
おそらく、もうすぐ自分自身が桃子さんのようになってしまうかもしれない年齢層の女性にとっては、結構、身につまされる映画なのかもしれません。
私は、やはり今のところ、この映画にエンタメ性も感じ、癒やしも与えられました。
年齢層で感想がかなり違うと思います。
桃子さんと同世代の方の感想もぜひ聞いてみたいです。
映画「おらおらでひとりいぐも」の感想 最後に
映画「おらおらでひとりいぐも」の感想でした。
このタイトルは、宮沢賢治の「永訣の朝」の一節からとられたものだそうです。
原作は未読なので、ぜひ読んでみたいと思います。
現在、日本では未婚率が高くなってきています。
老いて一人暮らしをする人は、今までの何倍もの数になるでしょう。
ぜひ、いろいろな世代の方におすすめしたい作品です。
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