映画「MOTHER マザー」ネタバレ感想│僕、お母さんが好きなんです

こんにちは。

はるき ゆかです。

 

映画「MOTHER マザー」の感想です。

本作は実際に起こった事件をモチーフに作られた映画です。

主演は長澤まさみ。

まさにモンスター・マザーです。

映画「MOTER マザー」の感想 はじめに

あらすじ

自堕落でお金にも男にもだらしなく、働くのが大嫌いな秋子。

その場しのぎで親や妹に借金を繰り返すが、既に親戚にさえ見捨てられている。

秋子には周平とフユカという二人の子供がいるが、二人とも育児放棄され学校にも行かせてもらえない。

引っ越した際に、住民票の移動をしていないので「居所不明児童」となっているため、行政の目も届かない。

そして、最後に周平が行き着いた最悪の悲劇とは…。

【監督】大森立嗣

(2020年公開)

登場人物

三隈秋子/長澤まさみ
周平の母。自堕落で働くのが嫌い。周平への執着心が激しい。

川田遼/阿部サダヲ
秋子の内縁の夫で、金にだらしない。

周平/奥平大兼
秋子の息子。秋子に命じられ親戚に借金をしに行かされる少年。

高橋亜矢/夏帆
市役所の職員で、周平を心配している。

宇治田守/皆川猿時
市役所の職員。

赤川圭一/仲野太賀
ラブホテルの従業員。秋子と関係を持っている。

三隈雅子/木野花
秋子の母。周平により殺害される。

三隈楓/土村芳
秋子の妹。金の無心ばかりする姉に憎しみに近い感情を持つ。

 

2014年に実際に起こった『川口市祖父母殺害事件』を元に作れた映画である。

自堕落で怠惰な母親

秋子(長澤まさみ)は、自堕落で男にもお金にもだらしない母親です。

息子への歪んだ愛情

息子の周平(奥平大兼)に対して愛情がないわけではないのですが、それはかなり歪んだ愛情です。

冒頭の市民プールに飛び込むシーンは、公共の場で禁止されていることを、普通、母親が子供を止める立場であるにもかかわらず、母親自らけしかけています。

 

このシーンで、これから起こる悲劇がじんわりと読み取れます。

遼との出会い

川田遼(阿部サダヲ)と秋子の出会いは、ゲームセンター。

その日のうちに家に泊める秋子。

子供がいる前で、平気で男にしなだれかかって…。

 

ガスは料金未払いでお湯も沸かせない。

 

秋子は、遼について名古屋に行くために周平を市の職員・宇治田(皆川猿時)に色仕掛けで押し付けますが、周平は食べ物をもらっただけで家に一人で取り残されてしまいます。

その頃、秋子はホストクラブで遊んでいます。

遼は元ホストでした。

秋子はときどき、周平に電話をかけて『生存確認』をしますが、周平にお金を振り込めと頼みます。

 

この段階で、完全にネグレクトです。

宇治田を脅迫

遼と秋子は、お金がなくなり、周平を預けた宇治田を強請ることを思いつきます。

秋子は、さも宇治田に気があるふりをして周平を押し付けたのですが、宇治田の家には周平を泊めることができませんでした。

それに腹を立てた(腹を立てられる理由もないですが)秋子は、遼と共に「周平にいたずらをした」として宇治田からお金を脅し取ろうとします。

 

しかし、このままずっと強請り続けられると思った宇治田は、刃物を持ち出してきます。

そして、遼ともみ合いになり、宇治田のお腹に刃物が突き刺さってしまい…。

海辺の街へ逃亡

周平を連れて、遼と秋子は、海辺の街へ逃亡します。

遼は住み込みで旅館で働きますが、食事は旅館のお客さんが残した残飯…。

宇治田は死んでなかった

遼と秋子は、宇治田が死んだものと思い込み逃げていたのですが、実は宇治田は死んでおらず、警察にも届けていないようでした。

秋子は、こんなところにいる必要がなくなったと、旅館の金を盗み、逃げ出します。

 

三人は、盗んだお金でラブホテルに泊まります。

少しお金が入ると、浪費してしまう…。

子供の前でもかまわず抱き合う二人に、お風呂の浴槽で眠る周平。

 

ここまで来ると、クズの極みです。

子供にお金の無心をさせる

周平の実の父親は、毎月養育費として5万円を振り込んでいるようですが、秋子が一切働かないため、お金がありません。

学校にも行かせてもらえないのに、「修学旅行費が足りないからお金がほしい」と周平はお金の無心をさせられます。

それを遠くから見ている秋子。

 

そして、「お父さんのところに来るか?」という父親に、周平は「お母さんの方がいい」と言います。

思わず抱きしめる父親。

それを見ていた秋子は「何やってんのよっ!」と嫉妬します。

 

さらに、秋子は妹の楓(土村芳)の元に周平を行かせ、お金を借りに行かせます。

しかし、楓は秋子に「子供使って、何やってるのよ。二度と来ないで」と怒り、お金を投げつけます。

秋子の妊娠

秋子は、自分が妊娠している兆候に気がつきます。

遼との関係

秋子が遼に妊娠したことを話すと、「俺の子かどうかわからない。名古屋で他のホストとも関係があっただろ」と言われ、遼は「堕せ」と迫り、断る秋子に「無理だ」と言って出ていってしまいます。

 

クズとくっつく男は、やはりクズなんだなぁ。

こうなることは初めからわかっていたと思うのですが…。

ラブホテルの支配人・赤川

赤川(仲野太賀)は、自分自身も子供の頃、ラブホテルの息子だといじめられていたので、周平に同情しています。

そして、遼と秋子が大げんかして、遼が出ていったのを知って、支配人の赤川が部屋にやって来ます。

ここでまた秋子は、赤川と関係を持つのでした…。

 

美人で男性を引き付ける何かがあるのかもしれませんが、すぐそんな関係になってしまうのも、だらしなさすぎて唖然とします…。

ラブホテルの屋上にテントをはって、秋子と周平に暮らしてもいいと赤川は言いますが、秋子の目的はそのままラブホテルの部屋で暮らさせてもらうことだったようです。

 

働きたくはないけれど、快適にくらしたい…という秋子。

そして、また母・雅子(木野花)の元へ、お金の無心をさせに周平を向かわせます。

 

お金借りたいなら、自分で行くか、行けないなら働けよ!

秋子はなぜ働かないのか

5年後、どうやって生んだのか、周平には妹がいました。

周平は、母と妹の二人の世話をしなくてはならなくなっています。

三人はホームレスになっていた

当然のことですが、三人はホームレスになっていました。

しかし、女性と子供なので、行政が動きます。

三人は保護されたのですが、秋子は二人の子供を連れて元の場所に戻ろうとします。

秋子は一時期生活保護を受けていたようですが、やめてしまっていました。

市の職員がこんな小さな子供まで…というと、

 

「私の子供だろ!どうしようといいだろ!」(本作セリフより引用)

 

声を荒げる秋子。

秋子は、自分の子供だからどうしようと自分の勝手だと言いたいのです。

その言葉に、最後の悲劇の萌芽が見えます。

保護施設に入居

秋子たち三人は、保護施設に入居することが出来ました。

ここからしばらくは、人間らしい生活を送ることが出来ます。

さらに、市職員の高橋亜矢(夏帆)に連れられ、周平はフリースクールに通うことになりました。

周平は、やはり学校に通いたかったのです。

秋子はなぜ働かないのか

秋子は、子供が二人いてどちらのことも秋子なりに愛しているように見えますが、なぜ働かないのでしょうか。

秋子は、健康でまだ若く、そして子供を「正常な」形で育てるためには、働く以外に道はないと思います。

それが、私にはどうしても理解出来ません…。

秋子自身の性格も関係しているのかもしれませんが、秋子は一体、どうなりたいのでしょうか。

 

秋子の妹の楓を見てもわかるように、秋子の育った家庭はごく一般的な常識のある家庭です。

秋子は、やはり心の病を抱えているとしか思えないのですが…。

 

そして、秋子は周平がフリースクールに行くことをあまりよく思っていません。

秋子はハローワークに行って仕事探すふりをしないと生活保護が受けられないからと、出ていくときに「あんたもう学校行かなくていいじゃん」と言い残していきます。

亜矢が本を持ってきてくれたときも、本を外に放り出して怒鳴り散らします。

 

秋子は、周平が外の世界を知り、大人になって行くことが怖いのです。

周平は「自分だけの物」だと。

 

歪んだ愛情でしかありません…。

突然現れた遼

ある日、子供が出来たときに逃げ出した遼が、突然、秋子たちが住む保護施設に現れました。

現れたときは、出ていってくれと怒る秋子でしたが、結局は遼を受け入れてしまいます…。

平和な暮らしが壊れていく

遼は、闇金からお金を借りていました。

そして、遼も働かず、秋子が朝帰りすると暴力を振るい、二人の子供は外で震えています…。

遼が現れなければ、三人はそれなりに平穏な暮らしが出来たはずなのです。

 

遼がお金を借りている闇金が追ってきたとき、逃げようとしている二人に、周平は、学校に行きたいから二人で行ってくれと言います。

 

なぜ、遼の借金のために子供たちが犠牲にならなければいけないのか。

身勝手すぎて、驚きを通り越して怒りがこみ上げてきました。

そして、結局どうしようもない状態になって一人でカッコつけて逃げていくなら、初めから戻って来るな!と言いたくなります。

現実を受け入れられない

秋子は、現実を受け入れられない質(たち)のようです。

年を取れば、白髪やシミだって出来るし、借金で追い込まれた人間が無事に帰ってくるわけがない。

それも、全部「大丈夫でしょ」と繰り返す秋子。

 

もう、最初から全部大丈夫じゃない。

周平が就職して

遼がいなくなってから半年後、周平は就職して、妹と母と共に寮に入っています。

相変わらず、秋子は働いていません…。

周平に、前借を繰り返させていますが、社長はボーナスまでがんばれと言って前借を断ります。

周平を脅す秋子

前借を断られた周平に、秋子はもう一度行ってこいと怒鳴り、仕事から帰ってきたらフユカ(妹)と二人で消えてるかもね…と脅します。

仕方なく、周平は会社の事務所に忍び込み、会社の備品を盗もうとしているところを社長に見つかります。

社長は秋子に怒りをぶつけますが、結局、社長も秋子を事務員として雇ってくれることになります。

 

やっぱり、美人だから男性はみんな情にほだされるのでしょうか…。

そして、秋子はまたこの社長とも男女の関係を持つことになります。

 

もう、どんだけ…。

遼からの助けを求めるLINE

ある日、遼から秋子に助けを求めるLINEが送られてきます。

50万、なんとかしてくれと。

秋子は、また周平に会社の金庫からお金を盗ませるのです。

 

何で、自分でやらないんだろう…。

 

そして、あんなひどい捨てられ方をした遼を秋子がここまで追いかけるのは、二人が同じ種類の人間だからです。

会社の金庫には、遼が必要な50万円ものお金は入っていませんでした。

そして悲劇が起こる

秋子は、周平に「ばばあ(自分の母親)のところに行けば、金あるんだけどな」と言って、命を奪ってでも金を盗って来いと指示します。

秋子の命令に従った周平

周平は、秋子に言われたとおりに祖父母殺害を実行します。

そして、すぐに逮捕されてしまいます。

秋子も一緒に逮捕されますが、秋子は「私は殺して来いなんて言ってませんよ。証拠ないでしょ」と弁護士に言います。

 

もう、人間ここまで来たら、どんな言葉も通じません。

 

実際に起こった事件でも、実行犯の少年の母親は「殺してでも金を借りてこいとは言ったが、殺せとは言っていない」と証言しているそうです。

殺してでもは、比喩だということですかね。

 

秋子は弁護士に

「あの…私がどう育てても親の勝手じゃないですか。あれは私が生んだ子なの。私の分身。わかります?なめるようにずっと育ててきたの。私が自分の子供をどう育てても私の勝手でしょ。何か悪いことあります?自分の子ですよ」(本作セリフより引用)

周平は

「全部、僕がやりました。お母さんから指示はないです。全部、僕がやりました」(本作セリフより引用)

周平は、一切、秋子に指示されたと認めなかったため、秋子・懲役2年6月執行猶予3年、周平・懲役12年が確定しました。

 

そして、面会に来た亜矢に周平は「外に戻りたくないんですよね。ここだったら、ご飯も食べられるし、本も読めるし」と小さな声で言います。

あの母親との地獄のような生活なら、刑務所の方が幸せかもしれません。

生まれてから、ずっとあの毒母と暮らしてきた周平にとっては。

 

しかし、周平は

「僕、お母さん好きなんですよ。どうすればよかったんですかね。一人じゃ生きていけないですよ、お母さん。」

「だめ?全部だめですよ、生まれてからずっと。お母さんが好きなのはだめなんでしょうか」(本作セリフより引用)

と、言います。

 

あまりにもやりきれない。

秋子と周平の関係は、母と子というより、やはり秋子の言う通り周平は「秋子の分身」なのでしょうか。

映画「MOTHER マザー」の感想 最後に

映画「MOTHER マザー」の感想でした。

本作は、上でも書いていますが、実際に起こった祖父母殺害事件をモチーフに作られた映画です。

ここまで身勝手な母親がいるわけがないと思ってしまいがちですが、本当にあったことなのです。

そして、周平が最後に言った「僕、お母さん好きなんですよ」というセリフは、本当に切なすぎました。

 

いつも明るく溌剌とした長澤まさみさんが演じたモンスターマザー役が、胸に突き刺さる映画でした。

長澤まさみさん、どんどんすごい女優になっていきますね。

 

本作は、重くつらいテーマですが、ぜひご覧になってみてください。

母と子、家族について改めて考えてみるきっかけになりました。

 

現在、本作はNetflixでのみ、観ることが出来ます。

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