映画「青春の殺人者」感想|理由なき殺人に走った青年の深層心理

映画「青春の殺人者」の感想です。

公開は1976年で、当時、大絶賛された映画でした。

主演は水谷豊さん、相手役に原田美枝子さんが出演されています。

「青春の殺人者」 あらすじ

千葉で実際に起きた両親殺害事件を題材にした中上健次の短編小説「蛇淫」をもとに、「少年」ほか大島渚の諸作品で知られる脚本家・田村孟が脚色、”理由なき殺人”に走った青年の深層心理を冷徹かつ衝撃的に描いた長谷川和彦デビュー作。父親の厳格な教育方針と母親の溺愛の中で育った一人息子の順は、親から与えられたスナックを経営していたが、ある日、幼なじみのケイ子との交際を禁じられ発作的に父親を殺し、錯乱した母をも刺し殺してしまう。キネマ旬報ベストワンはじめ各映画賞を総ナメにした衝撃作。(C)1976 今村プロ/東宝

[引用元]Amazonプライムビデオ「青春の殺人者」あらすじ

【監督】長谷川和彦
【出演者】水谷豊 原田美枝子 内田良平 市原悦子 江藤淳 桃井かおり

44年前の映画です。

今も大活躍中の俳優さんたちの若い頃の演技を観ることができる、貴重な作品です。

理由なき殺人

主人公の順(水谷豊)は、幼馴染で恋人のケイ子(原田美枝子)とスナックを経営しています。

このスナックも、両親が順に与えたものです。

ケイ子は、左側の耳が不自由なのですが、とても可愛い女の子です。

ケイ子は、自分の耳が聞こえなくなったのは、順の家のいちじくの実を盗んだことをケイ子の母親が知り、殴られたからだというのですが、実はそれは作り話だったのです。

 

ある日、親から買い与えられたが、取り上げられている車を取りに、実家に帰る順。

順の実家は、自動車整備工場でした。

すると、父親(内田良平)は順にケイ子と別れるようにいいます。

父親は興信所にケイ子のことを調べさせ、複雑なケイ子の過去がわかり、別れろというのです。

そうしないと、スナックを取り上げると…。

そして、発作的に順は父親を刺し殺してしまうのです。

 

母親(市原悦子)は、その状況をみてはじめは取り乱しますが、夫の仕事の手伝いがあまりにも辛く、また、溺愛する息子を刑務所には絶対に入れたくないと、夫の遺体を隠すことを順に提案します。

そして、母はまるで夢のような話を順に聞かせますが、どう考えても実現できそうにはない話でした…。

母は、溺愛する息子が夫を殺害してしまったという悪夢のような現実から、ただ目をそらしたかったのかもしません。

 

順の母親は、夫の遺体に向かって、思い出話を始めます。

そして、母親は、次第に順がケイ子と一緒に逃げるのではないかと疑い始め…。

二人は言い争いになり、錯乱した母は刃物を持ち出し、順と無理心中を図ろうとしますが、順の方が母に手をかけてしまいます。

順とケイ子

両親の命を奪ったあと、順は経営するスナックに戻ります。

結局、順は、スナックを閉店することにします。

ケイ子自身も、順の両親が自分のことをどう思っているのかわかっていたようです。

 

ケイ子と逃げ出すための用意をしている途中。

順のスナックで、高校時代の友人・宮田道夫(江藤潤)と石川郁子(桃井かおり)の結婚パーティをすることになっていて、その打ち合わせに、宮田の大学の先輩を伴って、三人が訪れます。

 

順は、高校時代、宮田や郁子らとともに自主映画を製作していました。

宮田と郁子は、その映画に出演していて、恋に落ちたのです。

この自主映画には、父、母、教師など、その頃の「自分たちの敵」の象徴として、サングラスと白衣を着た怪しい人物が登場します。

彼らを十字架にかけますが、結局、息絶えるのは順や宮田自身なのです。

そして、順は

「ところで僕は…」

「ところで僕は…」と、繰り返します。

 

順は、一見、恵まれているようで、親からの圧力に常に苦しんでいたのです。

順はなぜ凶行に走ったのか

順は、大学に行きたいと思っていたようですが、当時の大学は学生運動で荒れていた時期でした。

そのため、父親が入学願書を破ってしまったのです。

父親の強圧的なやり方や、あまりにも溺愛し甘やかす母親。

 

順は、両親に反抗心を持ちながらも、甘えて生きている自分にうんざりしていたのかもしれません。

 

映画のラストで、順が親から与えられたスナックに火を放ち、自らの命を絶とうとしますが、結局生き延びてしまいます。

燃え盛る店を呆然と見ているケイ子を残し、順は一人どこかへ逃亡していくのです。

順の心の中には、ケイ子には何の罪もないということ。

逃げなければいけないのは、自分だけだったのです。

最後に

映画「青春の殺人者」の感想でした。

44年前の若者が感じていたこと、悩んでいたことに、明確な「共感」を持つことは、私にはできません。

しかし、私が10代~20代の頃、そして今の若者たちにも、それぞれに共通する「鬱屈」があることは確かです。

監督の長谷川和彦氏には、「太陽を盗んだ男」という沢田研二主演の衝撃的な作品があります。

そちらも併せてご覧になってみてください。

 


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