人は勘違いをしやすい生き物です。
例えば、会社の偉い人の奥様。
偉いのはご主人(偉いっていうのとは違うかも)であって、奥様が偉いわけではないのですが、ときどき凄まじく偉そうな奥様がいます。
そんな勘違いさんにならないために、もう二度とそんな世界に迷い込まないために、自戒を込めて書き留めておきます。
魔性の女
私が以前、派遣社員として働いていた会社は、管理職とその他1名だけが社員で、あとは派遣社員ばかりの事務センターでした。
一緒に働いていた派遣社員の女性の中に、A子さんという「魔性の女」がいました。
派遣先の営業本部長は、とても人望があり、社員さんたちの間ではとても評判のいい人でした。
私も少しお話をさせて頂いたことがあるのですが、派遣社員にも、とても紳士的に接してくださる方でした。
その部長が、A子さんに惚れてしまいまして…。
A子さんは、確かに可愛い人でした。
10代の頃、何かのアイドルオーディションで最終選考にまで残ったことがあるらしいです。
傍から見ていても、部長はA子さんに「メロメロだな、これは」とわかるほど。
A子さんは、関ジャニ∞の大倉くんやTOKIOの長瀬さんのファンで、とっても面食いでした。
本人もアイドル並みの可愛さだったので、それは面食いで当然かも。
部長はいい人だったけど、サザエさんのアナゴさんにそっくりでした。
しかし、A子さんも、仲良くしておいて損はない相手。
派遣の3年問題
「派遣の3年問題」をご存知でしょうか?
「同じ派遣先で3年以上働けば、派遣先の社員になれる」と、派遣法にあるのですが、よっぽど特別なスキルがあるか、すごく若い子(20歳前後)じゃないと、社員になんてしてもらえないのです。
だいたい「問題」って言ってる段階で、派遣先の「迷惑に思ってる感」半端ないです。
A子さんは、ほとんど仕事ができませんでした。
私やA子さんのいた課の管理職のB課長は、「コイツはダメだ」と思ったら、容赦なくバンバン派遣社員の契約を切る人でした。
しかし、A子さんだけは、切られることがありません。
それどころか、B課長、ご機嫌取りに必死でしたね。
アナゴ部長はB課長の仲人なのです。
A子さんは、本当に仕事が出来ないし、休憩中でもないのにお菓子は食べるし、すぐ休むし、暴言吐きまくるし、仕事中に泣くし(ミスが多かったからですね)…。
使えないどころか、お荷物でした…それも、メガトン級の。
しかし、アナゴ部長がA子さんにメロメロなのは、周知の事実。
そんな不文律があったのは、A子さん自身が「私のバックにはアナゴ部長がついてるんだから」と公言してからです。
ちょっと、あほですね。会社もA子さんも。
もちろん、派遣会社に直訴した子もたくさんいたようです。
しかし、派遣会社はクライアントの言いなり。
それを、派遣会社の営業がB課長に伝え、B課長からアナゴ部長に伝えられ、派遣の営業さんは、アナゴ部長に恫喝されたみたいです。
営業さんは若い男の子だったので、震え上がってしまったようです…。
「怖かった…」と直接聞きましたから、私。
結局、直訴した子たちは、自分から契約を更新せず、辞めていってしまいました。
A子さんだけは3年問題に問題なし
他の派遣社員のみんなは「アナゴ部長とA子さんはつきあっているから社員にしてもらえる」と言っていましたが、私はつきあっていなかったと断言できます。
自分のものになっていたら、噂になっていることを多少は気にしたはずです。
手に入りそうで入らないから、アナゴ部長もなりふり構わず…だったのでしょう。
確かに、週1~2回くらい高級なお店にお食事につれて行ってもらったりしてたみたいですけど、思わせぶりな態度を取りながら、決して一線は越えず、お金持ちからお金を引き出す術を、A子さんは身につけていました。
そう。高級クラブのホステスさん並に。
本当に、あの美貌であれば、ホステスさんに転職したら大成したんじゃないかと思います。
会社の飲み会も、A子さんがいるとすごく場が盛り上がりましたからね。
まあ、一流のクラブのホステスは、見た目だけでは勤まらないお仕事ですが。
気に入らないのは辞めさせる
A子さんは、どんどん力をつけていきました。
そして、会社の人事にまで口を出すようになりました。
ある日「あの人(社員さん)、辞めさせたろか?」と私に言って来たことがありました。
私は、すぐに意味を解することができませんでした。
私たちは、ただの派遣社員なのに、辞めさせるって…。
その社員さんは、唯一、A子さんのミスや仕事の雑さをはっきり指摘する社員さんでした。
目障り…だとも言っていましたね。
(・o・)⁉な顔になってしまった私を見て、まずいと思ったのか、A子さんは「冗談や~ん」と笑ってましたが、アナゴ部長には「あの人にいじめられてるの」と嘘をついていたようです。
その社員さんは、さすがに解雇されることはありませんでしたが、派遣いじめの汚名を着せられたまま、僻地に異動していきました。
これは、実話です。
実際にあった話です。
部長、飛ばされる
それから少しして、アナゴ部長は、「派遣社員と個人的なつきあいをしている」ことを理由に、子会社に異動となりました。
左遷ですね。
ここには書ききれないほど、いろいろな理不尽なことが、その後もずっと続いていたのです。
会社が会社としてうまく機能していかないほどに。
しかし、アナゴ部長から、そのことを事前に聞いていたA子さんは、その時点で、アナゴ部長よりもっと上の役員に乗り換えていたようです。
さすがです。
私は同条件の他のお仕事を見つけ、つくづくこんな会社とはつきあいきれないと思っていたこともあり、契約満了後、他の職場へ。
A子さんのその後は、知りません。
今年の年末で3年になるはずなのですが、どうなることでしょう。
先月、「話したいことあるし、また、ご飯行こうね!」と、A子さんから楽しげなLINE来てましたけど。
また…って、一回も行ったことないのに。
おそらく、社員になれるのではないでしょうか…。
そして、大切なことなので、最後にもう一度言います。
これは、すべて実話です。