【死刑は是か非か】初めて本気で死刑制度について考えてみた

先日、『13階段』という小説を読みました。

ざっくり言うと「死刑囚の冤罪を晴らす」ミステリー小説です。
今まであまり真剣に考えたことがなかったのですが…。

「死刑制度」について考えてみました。

死刑制度の裏に

あなたは、死刑制度についてどのような考えをお持ちでしょうか?

日本人の約8割が死刑制度に賛成していると言われています。

私は今までずっと、被害者遺族の気持ちを思えば、死刑は必要だと思っていました。
特に、子供を殺害したり、無差別殺人なんて、死刑で当然だとすら思っていました。

そして、今も、その罪に対しては、そう思っています。

しかし、小説『13階段』を読んで、その裏で「死刑を執行する人」がいるということを改めて知り、本当に死刑制度を存続させるべきなのかどうかを真剣に考えさせられました。

この小説の中で、死刑執行を行う刑務官の姿が描かれています。
そして、刑務官の方々が、筆舌に尽くし難いほどの想像を絶する精神的苦痛を背負わされていることを知りました。


13階段 (講談社文庫) [ 高野 和明 ]

特に、警察官や刑務官という職業を選んでる方々は、正義感の強い方が多いのではないでしょうか。
そんな心根を持つ方々が、仕事として法の名のもとであったとしても、人を死に至らしめる行為を行わなければならないのは、どれほどの苦しみを背負うのだろうと思います。

死刑の執行は、少しでも刑務官の精神的苦痛を軽減するために、3人が同時にボタンを押すという方法をとられているといいます。
それも、この小説を読んで初めて知ったことでした。

そして、死刑執行をしたあとで、それが冤罪であったとわかったら…。
実際に、冤罪であった可能性が高い人が死刑を執行されているという事実も、別のドキュメンタリー小説で読んだことがあります。

こんなに怖ろしいことがあるでしょうか。

私は、死刑制度に関して、あまりにも知識がなく、また何の考えもなく賛成の気持ちを持っていたのだと思い知らされ、とても複雑な気持ちになりました…。

そして、死刑の次に重いのが、無期懲役刑。

しかし、無期懲役は終身刑ではありません。
ほとんどの無期懲役の受刑者が18年程度で出所する現実もあります。

もし、自分の大切な人や家族の命を奪われても、死刑を反対するのかと問われると、やはり答えはNOです…。

死刑は犯罪の抑止力になっているのか

死刑制度があることは「犯罪の抑止力」になるという面が挙げられます。

また、無期懲役より、死刑囚にかかるコストの方が低くて済むという話もあります…。
終身刑が日本にないのは、コスト面が大きく関わっているのかもしれません。

しかし、付属池田小事件の犯人など、遺族への謝罪の言葉を一切口にすることなく、自ら死刑を望んで死刑執行される場合もあります。

最近では「死刑になりたくて人を殺した」「どうせ死刑になるから何人殺しても同じ」などという犯人もいます。

果たして、死刑が犯罪の抑止力となっているのかどうか…。

死刑より終身刑の方がよっぽど抑止力があるのではないかと思います。

しかし、一生働かずに犯罪者を税金で養うのは嫌だという意見も。
確かに、刑務所に入っていれば、食事も寝る場所にも困らないからと、刑務所に入るためにわざと罪を犯す人もいます。

心から罪を悔悟する死刑囚の存在

『13階段』の中には、死刑が確定したあとで、心から悔い改める死刑囚が出てきます。
人間であれば、自分の犯した過ちを悔いることは当然ですし、被害者感情としては、今更何を…という気持ちもあると思います。

しかし、そんな心から悔い改めた死刑囚でも、執行命令が下りたら、刑務官は死刑を執行しなくてはなりません。
そのときの刑務官の心情を考えると…。
『13階段』の中でも、こういった場面が出てくるのですが、読んでいて、本当に苦しいとしか言いようがありませんでした。

最後に

死刑制度に賛成・反対を唱えるには、私はあまりにも知識不足で無知でした。

これからも、大きな事件はいくつも起こり、死刑を求刑される事例は後を絶たないと思います。
そして、死刑以外考えられないひどい事件もすでに起こっているし、これからもまた…。

私の個人的な意見としては、やはり「無期懲役」ではなく日本でも「終身刑」が採用されることが一番だと思います。
おそらく「終身刑で重労働を課す」というのが、最も犯罪の抑止力にもなるのではないでしょうか。