映画「blank13」感想|借金を作って失踪した父の本当の姿

こんにちは。

はるき ゆかです。



俳優の斎藤工が、本名の齊藤工名義で監督した初の長編映画です。

リリー・フランキーさん演じる松本雅人の長男・ヨシユキ役で出演もされています。

借金を残して失踪した父が、胃がんで亡くなります。

その葬儀の日、父に縁のある知人たちが訪れ、本当の父の姿が描き出され…。

「blank13」 あらすじ

コウジは、兄のヨシユキから実家に呼び出され、父である松田雅人が胃ガンで、とある病院に入院しており余命3ヶ月であることを、母・洋子と同時に知らされる。雅人は13年前、タバコを買いに出たきり失踪していた。雅人には400万円の借金があり、残された洋子とヨシユキ・コウジ兄弟は、大変な苦労をして返済した過去があった。そんな経緯から、洋子とヨシユキは入院中の雅人を無視するが、コウジには、幼いころ雅人と野球の練習をした楽しい記憶があったため、見舞いに行く。

しかし、13年ぶりに会った雅人はあいかわらず借金の取り立てにあっており、心が通わぬまま、コウジは病院を後にする。

やがて、雅人の葬儀の日となる。ヨシユキが喪主となり、コウジとコウジの恋人・サオリは遺族として参列するが、洋子は参列しない。葬儀が始まり、遺族以外の参列者たちが、僧侶に促されて雅人の思い出話を語り始める。そこで明らかになったのは、コウジとヨシユキが予想もしない、人情味あふれる雅人の生き様であった。

[引用元] Wikipedia「blank13」あらすじ

【監督】齊藤工

【出演者】リリー・フランキー 斎藤工 高橋一生 神野三鈴

中学生と小学生の息子の気持ち

野球のボール

長男の松本ヨシユキ(斎藤工)が中学生、次男のコウジ(高橋一生)が小学生のときに、父・松本雅人(リリー・フランキー)が、母・洋子(神野三鈴)に400万円もの借金を押し付けて失踪してしまいます。

小学生だったコウジには、父とキャッチボールをしたり甲子園に高校野球を観に行ったりした「いい思い出」がありましたが、ヨシユキにはただ憎しみしか残っていませんでした。

そんな雅人が余命3か月であることを知ったヨシユキは、弟と母に見舞いに行くかどうかを確認しますが二人とも行かないと告げます。

しかし、「いい思い出」も持っていたコウジは、一人で父のお見舞いに行きます。

小学生の時に失踪した父のことを恨んではいますが、やはりコウジの心に残っているのは一緒にキャッチボールしてくれた父の姿でした。

ヨシユキがただ憎しみしか持てないのと、まだ小さくて一家の大黒柱が失踪してしまうということがどれだけ家族に辛い思いをさせるかを理解していなかったコウジとの差なのでしょうか。

しかし、お見舞いに行ったコウジの前でも父はまだ電話で借金取りとのやりとりをしていて、失望します。



映画の中で、コウジにとっての父との「いい思い出」が何度も繰り返し回想されます。

ヨシユキには、それがありません。

ヨシユキは、今は大手の広告代理店に勤めています。

父のようになりたくないと、おそらく勉強も必死で頑張ったのだろうことがわかるシーンも描かれています。

しかし、雅人が癌で余命宣告されていることと入院していることを調べて来たのは、兄のヨシユキなのです。

妻の愛

映画は、とても淡々と自然に父の死を描いています。

母の洋子は、夫のお葬式には出席しません。

しかし、きちんと喪服に着替えて公園で野球をする少年たちをひとりでぼんやり眺めています。

夫によって、心身共に苦労を強いられた洋子は、実は夫を最も理解していたのかもしれません。

それは、葬儀に参列してくれた雅人の友人たちの言葉から知ることが出来ます。

雅人の妻・洋子役の神野三鈴さんの演技がとても素晴らしかったです。

夫の借金返済のために新聞配達をして、夜の仕事にも出ていました。

疲れた顔はしていますが、決して下品にはならず、二人の兄弟の母としてしっかりと子育てもしています。

「下品にならない」ところが、神野三鈴さんだからこそ…だと思いました。

そして、どれだけ苦労させられても、母親が夫の悪口を言うシーンがないのも、この映画の素晴らしいところだと思いました。

悲しくもあり可笑しくもあり

カラス

雅人のお葬式の隣のお寺で、とても盛大なお葬式が行われていました。

そして、その人も同じ「松本」。

ここでちょっとしたことが起こるのですが、笑ってはいけないはずが、ちょっと笑ってしまいます。

雅人のお葬式の参列者は、ヨシユキ、コウジ、コウジの彼女サオリ(松岡茉優)とちょっとユニークで変わった、しかし、松ちゃん(雅人)の死を心から悲しんでいる人々です。

麻雀仲間、競馬仲間、行きつけの飲み屋のおじいさん、騙されて困っていたのを助けたゲイバーのママ、入院中隣のベッドにいた人、宗教に勧誘されて困っていたのを助けた人…などが雅人について、語ります。

そこで、兄弟はギャンブル好きでお金にだらしないだけだと思っていた父の別の面を知ることになります。

このシーンが、この映画の中で最も悲しくもあり、可笑しみもあるシーンです。

本当の雅人の姿が、友人たちの口から自然に語られ、コウジは「よくわからない」…と言います。

父の本当の姿を知っても、やはり苦労させられたしんどい過去は変わらないけれど…この「よくわからない」という言葉がすべてを物語っているように感じました。

また、本当にいいお葬式というのは、お金をかけた盛大なものではなく、故人の死を心から悲しんでいる人が集まって見送ることなのだと感じます。

いくら盛大でも、つきあいや義理だけで出席されるよりは。

そして、葬儀のシーンは、芸達者な役者さんたちが、とてもいい味だしてます。

特に、その場を仕切っている佐藤二朗さん演じる岡宗太郎は、面白すぎます。

佐藤二朗さんって、本当に唯一無二の俳優さんだと改めて感じました。

最後に

映画「blank13」の感想でした。

これは、実話をもとに製作された映画です。

齊藤工監督の次回作も、ぜひ観てみたいと思える素敵な作品でした。

まだ観ていない方は、ぜひ、ご覧になってみてください。


Amazonプライム・ビデオ


blank13