映画「犬猿」感想|結局切っても切れない兄弟姉妹の関係

兄弟

こんにちは。

はるき ゆかです。



映画「犬猿」の感想です。

ある兄弟、姉妹の関係性を描いた悲喜劇です。

兄弟、姉妹とは、不思議なものです…。

「犬猿」 あらすじ

弟の金山和成(窪田)は真面目でイケメンの印刷会社の営業マン。ある日、彼のアパートに、強盗罪で服役していた兄の卓司(新井)が刑期を終えて転がり込んでくる。卓司は和成とは対照的に凶暴な性格でトラブルメーカー。キャバクラで暴れたり、弟の留守中に部屋にデリヘルを呼んだりとやりたい放題。和成はそんな卓司に頭を抱えるが、気性の激しい兄には文句の一つも言えない。一方、親から引き継いで小さな印刷所を切り盛りする姉の幾野由利亜(江上)は、勤勉で頭が良く仕事はできるものの、太っていて見た目がよくない。得意先の和成にほのかに想いを寄せる彼女の天敵は、頭は悪いけどルックスとスタイルの良さから芸能活動もしている妹の真子(筧)だった。複雑な感情を抱くこの二組の兄弟・姉妹の出会いを境に、それぞれの関係はさらに大きく歪み始める…。(C)2018「犬猿」製作委員会

[引用元]Amazonプライムビデオ「犬猿」あらすじ

【監督】吉田恵輔

【出演者】窪田正孝・新井浩文・江上敬子(ニッチェ)・筧美和子・角替和枝ほか

正反対の兄弟・姉妹

兄弟

同性同士の兄弟・姉妹と異性の兄妹・姉弟とでは、根本的に異質なものなのだと思います。

同性同士の兄弟姉妹は、どうしても競争心が生まれてしまうようです。

さらに本作のように、正反対の性質の二人なら、尚更です。

卓司と和成は、破天荒な兄と生真面目で地道に努力するタイプの弟なのですが、同じ家庭に育って、こうも違うものかと思ってしまいます。

二人の両親は、どちらかと言えば、和成タイプなのですが、何故か卓司だけは異分子のようです。

しかし、卓司は、乱暴ですが、卓司なりの家族愛を持っています。

この二人を見ていると、私の友人の兄弟を思い出します。

どちらも、卓司のように、刑務所帰りというわけではありませんが…。

兄のAくんは優しくて細やかな心遣いのできる素直な人で、弟のBくんはややわがままでお世辞など絶対言えない人ですが憎めないタイプ。

ご両親は、何をするのも二人がやりたいことを同じようにさせてくれたようですが、性格は正反対です。

同じように育てても、持って生まれた気質は変えられないものなのです。

由利亜と真子は、性格どうこうより、見た目が正反対です。

女の子は、可愛いと得なのは確かですが、本作の中ではそれだけではないことが描かれています。

由利亜は頭が良くてしっかり者、父の介護も嫌がらずにこなし、料理も上手です。

真子は顔も可愛くてスタイル抜群ですが、あまり頭がよくありません。

由利亜は、かつて父が営んでいた印刷会社を引き継ぎ、社長として立派に会社を切り盛りしています。

真子は売れないタレントなのですが、この印刷会社の事務員としても働いています。

亜子は可愛いのでチヤホヤされていますが、この会社を支えているのはしっかり者の由利亜。

そして、二人ともがお互いに強いコンプレックスを感じています。



私は女性なので、この二人の気持ちがとてもよくわかります。

嫌いではないのですが、何だかやりきれない思いを持ってしまう…。

残酷な気持ちになっても切れない関係

卓司は、出所してきてすぐにダイエットサプリの会社を起業し、大当たりします。

タワーマンションに住み、両親の借金を全て返済し、高価なプレゼントもします。

彼は彼なりに、家族のことを大切に思っているのです。

和成は、真面目に堅実に働いていますが、兄の起業に初めは反対していました。

そんなに簡単に起業など出来るはずがないと思っていたのですが、大成功した兄に少なからず嫉妬しているようです。

しかし、卓司の会社のダイエットサプリは、実は違法薬物だったようで、またも警察に追われる身となってしまいます。

また、和成の家に転がり込んできて、寝たばこでボヤを起こしたり、迷惑をかけ始めます。

そんな卓司に嫌気がさした和成は、兄に自首してほしいと思っています。

しかしそれは、兄に更生してほしいという気持ちより、自分のそばからいなくなってほしいという気持ちが大きかったようです。

ある日、以前から恨みを買っていた人物に卓司は刺されてしまい…。

その姿を見た和成のとった行動は…。

由里亜は取引先の営業社員である和成にほのかな恋心を抱いていて、真子はそのことに気づいています。

気づいていながら、真子は和成とつきあうのです。

真子は、和成が好きなわけではなく、姉に対するあてつけのつもりだったのかもしれません。

嫉妬で狂いそうになる由里亜。

仕事上での和成とのやり取りも、厳しいものになってしまいます。

それでも、和成への気持ちを抑えることが出来ず、苦しみ…。

しかし、卓司と和成、由里亜と真子は、二組ともが残酷な争いを繰り広げていても、兄弟・姉妹というものは、その関係が断ち切られることはないのです。

他人だったら、永遠に憎み合い、縁を切ってしまうような争いごとであっても、兄弟・姉妹は結局許し合ってしまうものなんだなぁ…と思います。

ニッチェの江上さんがいい!

由里亜役のお笑い芸人・ニッチェの江上さんの演技が、すごくいいです。

芸人さんは、コントなどで鍛えられているからか、役者として成功している人も多いですね。

この映画はコメディーでもありますが、少し重い部分もあるので、私が最も感情移入したのが、由里亜でした。

損な役回りをやらされながらも、懸命に頑張る姿がおかしくもあり哀しくもある…素晴らしい演技でした。

和成への恋する気持ちは、とても可愛らしいのですが、少し勘違いしてるところもあって、観ていて、切ないようなおかしいような…何とも言えない感情になります。

そして、我慢に我慢を重ねてきた由里亜が、あることをきっかけにキレてしまうのですが、そのシーンは涙が止まらなくなります。

本作は、とても、リアルで、ここまで描くのかと思うシーンがたくさん出てきます。

映画ならでは…だと思いました。

江上さんの演技を、他の映画やドラマでも、ぜひまた観てみたいと思いました。

最後に

映画「犬猿」の感想でした。

普通、ドラマや映画では、ありえないほどおしゃれな家や会社が舞台になることが多いですが、由里亜の経営する会社や、それぞれの住む家などが、とても現実に即しているところもよかったです。

それも、吉田啓介監督が、森田剛さん主演の「ヒメアノ~ル」も監督をされていると知り、納得!


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