映画「誰も知らない」感想|悲惨なはずがどこか元気でたくましい子供たち

赤ちゃん

こんにちは。

はるき ゆかです。



映画「誰も知らない」の感想です。

公開当時、友達が悲惨すぎて観るのがつらかったと言っていたので、ずっと避けていた映画ですが、観てよかったと今は思っています。

本作は、実際に東京・巣鴨で起きた事件を元に製作されました。

「誰も知らない」 あらすじ

都内の2DKのアパートで大好きな母親と幸せに暮らす4人の兄妹。しかし彼らの父親はみな別々で、学校にも通ったことがなく、3人妹弟の存在は大家にも知らされていなかった。ある日、母親はわずかな現金と短いメモを残し、兄に妹弟の世話を託して家を出る。この日から、誰にも知られることのない4人の子供たちだけの『漂流生活』が始まる・・・・・・。(C)「誰も知らない」製作委員会

[引用元]Amazonプライムビデオ「誰も知らない」あらすじ

【監督】 是枝裕和


【出演者】 柳楽優弥 北浦愛 木村飛影 清水萌々子 韓英恵 YOU

実際の事件を元に

こどもまつり

この映画は、実際に起こった事件を元に作られていると映画の冒頭で伝えられます。

映画を観る前にはただ「そうなのか…」と思っただけですが、実際観始めると、こんなことが実際にあったのかと驚きを隠せません。

実際の事件は「巣鴨子供置き去り事件」という事件で、1988年に起こりました。

映画よりもっと悲惨な事件です…。

子供を産んで育てることより、女としての生き方に重きを置きたいなら、どうしてこんなに何人も子供を産むのでしょうか…。

全く、意味がわかりませんし、怒りが抑えられません。

映画では、長男の明くん(柳楽優弥)が、妹弟たちの世話をきちんとしているので、そこが救いです。

もちろん、時と共に、優しい明くんも投げやりな言葉を妹弟たちに投げかけることになるのですが。

今でも人気俳優として活躍中の柳楽優弥さんですが、いろいろな人が評価されていますが、この映画での彼の表情や目の演技に魅了されます。

子供たちの置かれた状況があまりにも悲惨なのですが、彼の瞳は何故かそれを暗く感じさせないのです。

この妹弟役の子役の子供たちの演技も、ドキュメンタリー映画を観ているような(ある意味ドキュメンタリーかもしれませんが)感覚になるほど自然です。

全員が父親の違う兄弟妹なのですが、絶対に4人で一緒に暮らしたいと思っています。

毎日のように通っているコンビニの女性店員さんに、「警察や児童相談所に相談してみたら?」と言われるのですが、明は「そうすると4人で一緒に暮らせなくなるから。前にもいろいろ大変なことがあって…」と答えます。

このシーンは、とても胸に刺さりました。

実際の事件でも、同じことがあったのでしょうか…。

私は幸せになっちゃいけないの?

母親のけい子(YOU)は、明るくて一緒にいるときは優しい母親で、子供たちはみんな母が大好きです。

しかし、全員が無戸籍児童で、学校にも通わせてもらっていません。

子供たちは、当然のことながら兄弟妹以外に友達がいません。

とても、学校に行きたがっているのですが、けい子は、「学校なんて行かなくていいのよ~」と繰り返します。

子供がこんなに学校に行きたがっているのですから、当然行かせてあげるべきです。



ある日、けい子は、明だけを連れてファストフードのドーナツ店に行きます。

そこで、我慢の限界が来ていた明は「いつになった学校に行かせてくれるの?」「お母さんは勝手だ」と母に言います。

するとけい子は、「私は幸せになっちゃいけないの?」と明に言うのです。

この言葉が全てを物語っていると思いました。

子供を育てることより、女としての幸せの方が、けい子にとっては重要なのです。

そして、あろうことか明の父親が失踪したことを「勝手なのはあんたのお父さんだ」と明をなじります。

あまりにも当然のことのように言うけい子に、正直、何が正しいのか迷ってしまうほどです。

さらに学校に行きたいという明に、けい子が「学校なんて行かなくても偉くなった人はたくさんいる」というシーンは、アドリブなのか、明が少し笑いそうになっているのが、本当の親子の会話のようですごく印象に残っています。

YOUさんの独特の雰囲気や声の感じのせいで、よく考えたらとてもひどい母親のはずが、そうでもないような気がしてくるから不思議です。

いや、でも、やはりけい子はひどい母親です。

このあと、子供たちを置いて仕事のために大阪に行くと言い残し、去っていき…。

母になるということ

赤ちゃん

けい子は、何故、育てる気もないのに何人も子供を産んだのでしょうか。

私も同じ女性として、全く理解することが出来ません。



私の周りの母親になった友人たちは、子供が何よりも大切だという人がほとんどです。

娘さんの学費を稼ぐために、朝から夕方までは事務の仕事、夜中から早朝まで工場で働いている人もいます。

それでも、「娘に家のことをやらせてしまって申し訳ない」という母親もいるのです。

「母になるということ」は、そういうことなのだと思っていました。

けい子は、そのときの相手の子供を産むことで、その相手の男の心をつなぎとめておこうとしていたのでしょうか。

しかしうまくいかず、結局育児放棄し、次の男の元に走る…の繰り返し。



母より女であること、母性がない女性。

やはり、現実にそういう女性はいるのです。

京子の気持ち

ピアノ

兄弟姉妹の中の姉である京子は、ピアノを買うために貯金をしています。

お年玉など少しづつ貯めているのです。

京子は母に対して、どのような気持ちでいるのでしょうか。

けい子は、気まぐれに帰ってきたときに京子にマニキュアを塗ってあげたりしています。

明が、生活費に困ってけい子の置いて行った洋服などを売ろうとしたとき、怒って引き止めようとします。

やはり、京子は母のことが大好きなのです。

それとも、母の残していったものを売ると母が二度と帰ってこないと思ったのかもしれません。

この作品には、不登校の中学生・紗英(韓英恵)という女の子が出てきます。

彼女はきれいなマンションに住む普通の家庭の女の子です。

しかし、学校でいじめにあっています。

そして、制服姿で公園で時間をつぶしています。

英恵の親は、彼女がいじめにあっていることを知らないのでしょう。

そんな英恵に初めに声を掛けたのは、茂(木村飛影)でした。

「学校行かないの?」と英恵に声を掛け、「僕も行ってないんだ…」と。

この茂くんの演技は、とても自然で、はしゃぎ方などは演技とは思えないほどです。

そこから、英恵は明の家に頻繁に出入りするようになります。

いじめにあっている少女と育児放棄された子供たち。

「誰も知らない」ところで、痛めつけられている子供たち。

映画のラストシーンは、私が思っていたものとは違いました。

とても唐突に、映画は終わってしまいます。

実際の事件を元に作られてはいますが、この映画には暴力や人を本気で傷つける暴言は一切出てきません。

ちゃんと頭で考えたら悲惨なのですが、子供たちはどこか楽し気でたくましいのです。

最後に

映画「誰も知らない」の感想でした。

是枝裕和監督の代表作とも言える作品なので、ご覧になった方も多いと思います。

ずっと避けてきましたが、観てよかったと思える素晴らしい映画でした。


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