映画「二重生活」感想|理由なき尾行にのめり込んで

映画「二重生活」の感想です。

小池真理子さんの原作は、未読です。

観る人によって、大きく感想が変わる映画だと思います。

「二重生活」 あらすじ

大学院で哲学を学ぶ平凡な学生、珠。同棲中の恋人卓也との日々は、穏やかなものだった。ところがそんな毎日は、担任教授から修士論文の題材に”哲学的尾行”の実践を持ちかけられたことで一変する。それは、無作為に選んだ対象を追ういわば”理由なき尾行”。半信半疑ではじめた、隣人、石坂への尾行だったが、彼の秘密が明らかになっていくにつれ、珠は異常なほどの胸の高鳴りを感じ、やがてその禁断の行為にのめりこんでいく_。〈映画作家〉(C)2015「二重生活」フィルムパートナーズ

[引用元]Amazonプライムビデオ「二重生活」あらすじ

【監督】岸善幸
【出演者】門脇麦 長谷川博己 菅田将暉 リリー・フランキー 西田尚美

珠が選んだ尾行相手

主人公の珠(門脇麦)は、大学院で哲学を学ぶ学生です。

修士論文を書くために、教授から助言されたのは、哲学的尾行の実践

そして、珠が選んだ相手は、隣人の石坂(長谷川博己)でした。

幸せな一家

石坂は、大手出版社の敏腕編集者で、彼が手掛けた本の殆どがヒットするというやり手です。

さらに、石坂はこの辺りの大地主の息子で、美しく優しい妻と可愛い一人娘がいるという理想的な一家の主でした。

珠は、哲学的尾行の相手に、この石坂を選びます。

 

メモを取りながら対象者を尾行していくにつれ、石坂の近所での評判とは程遠い別の顔が現れてきます。

石坂の素顔

珠が尾行を続けていくうちにわかったことは、石坂の編集者としての冷酷さや愛人の存在です。

石坂家の近所での評判は、夫婦仲がよく、石坂の妻は資産家でありながらも、町内会の面倒な行事にも参加し、娘は名門大学の付属小学校に通っています。

そんな石坂には、書籍の装丁をするデザイナーの愛人がいました。

珠が尾行を続けているうちに、二人が街角の片隅で愛を交わしている場面を目撃するのです。

 

ある日、石坂が愛人との電話を盗み聞きした珠は、二人があるホテルで密会することを知ります。

それを尾行していると、石坂と愛人が入ったレストランでは何やら修羅場があったようで、その上、店の前には、石坂の妻が娘を連れて立っていたのです。

 

このシーンは、本当に背筋がゾッとしました。

見た目はとても幸せな家族に見えて、実は妻の、夫と愛人への憎悪が渦巻いているのです。

妻は、夫と愛人が泊まっているホテルに押しかけ、愛人を捕まえようとしますが、一歩先に愛人はタクシーでどこかへ行ってしまいます。

 

幸せってなんなんだろうと考えさせられます。

壊れゆく珠の生活

一人の人間を四六時中、尾行するということは、ほぼ自分の生活は崩壊してしまいます。

珠は、優しい彼氏の卓也(菅田将暉)と同棲しているのですが、卓也は徐々に珠が何か隠していると感じ始めます。

珠は、自分が論文のために「哲学的尾行」をしていることを卓也には言えずにいました。

卓也から別れを切り出されてやっと告白するのですが、卓也の心は戻ることはなく…。

 

結局、卓也は家を出ていくことになります。

 

自分の修士論文のためではありますが、正直、一般人にはなかなか理解し難い「哲学的尾行」

卓也は至って「普通の男の子」なので、珠が尾行にのめり込んでいくことを受け入れられなくなっていくのだと思います。

 

また、珠には子供の頃、父親の友人に恋をしていたという過去があります。

珠は、父親くらいの年齢の人しか愛せないのかもしれません。

甘美な理由なき尾行

もともと、珠が尾行を始めたのは、修士論文のためですが、映画を観ていると、彼女が尾行そのものに哲学的というより個人的にのめり込んでいく様子がわかります。

他人の生活の覗き見するような快感を、知ってしまったのかもしれません。

 

担当教授・篠原(リリー・フランキー)には、尾行対象者と接触を持ってはいけないと言われています。

しかし、珠は石坂に尾行していることを知られてしまいます。

珠は、石坂に妻から頼まれたのかと聞かれ、修士論文のためだと答えるのですが、それを理解してくれる尾行の被対象者などいるでしょうか。

石坂は、妻に不倫がバレたのは、珠のせいだと思っているのです。

 

石坂の妻は、石坂が浮気をしていたことを知って(自ら知ったわけで珠は関係ない)、半狂乱になりますが、いつのまにか、石坂と妻は元の鞘に収まります。

石坂が愛人と別れたことや一人娘のこともあるからでしょうが、人は生活の中で、さまざまな仮面をかぶって生きているのかもしれません。

 

石坂に尾行を悟られてしまい、接触を持ってしまった珠は、尾行を別の人物でやり直さなければならなくなります。

そして、その相手は、担当教授の篠原だったのです。

代行サービス妻

篠原には、余命幾ばくもない入院中の母親がいます。

そして、篠原は、今まで学問一筋でやってきた人なので、ずっと独身でした。

母を安心させたかったのか、自分が頼みたかったのかは定かではありませんが、代行サービスで、「妻」役の女優(西田尚美)を雇います。

妻役の女優は、役作りのためにと、篠原にお弁当を作ってきます。

篠原は、嬉しそうにお弁当の写真を携帯で撮っていたりして…少し切なくなります。

 

母を見送ったあと、篠原は代行サービスの妻との契約も終了し、孤独な生活に戻ります。

そして、篠原は大学の研究室で、自らの命を絶とうとするのですが、ちょうどそのとき珠が研究室に入ってきて…。

最後に

映画「二重生活」の感想でした。

評価は二分しているようですが、私はとてもおもしろかったです。

いろんなことを考えましたし、今更ながら「哲学」というものに興味を持つことができました。

小池真理子氏の原作も読んでみたいと思います。

おすすめの一本です。


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