こんにちは。
はるき ゆかです。
映画「勝手にふるえてろ」の感想です。
原作は綿矢りさ。
とても個性的なラブ・ストーリーでした。
私は、映画というより、舞台のお芝居に近い映画だと思いました。
松岡茉優さんの女優としての力量を、改めて思い知らされる作品です。
映画「勝手にふるえてろ」の感想 はじめに

あらすじ
24歳のOLヨシカは中学同級生”イチ”へ10年間片思い中!過去のイチとの思い出を召喚したり、趣味である絶滅した動物について夜通し調べたり、博物館からアンモナイトを払い下げてもらったりと、1人忙しい毎日。そんなヨシカの前へ会社の同期で熱烈に愛してくれる”リアル恋愛”の彼氏”二”が突如現れた!!「人生初告られた!」とテンションがあがるも、いまいち二との関係に乗り切れないヨシカ。”脳内片思い”と”リアル恋愛”の2人の彼氏、理想と現実、どちらも欲しいし、どっちも欲しくない…恋愛に臆病で、片思い経験しかないヨシカが、もがき、苦しみながら本当の自分を解き放つ!!(C) 2017 映画「勝手にふるえてろ」製作委員会
[引用元]Amazonプライムビデオ「勝手にふるえてろ」あらすじ
【監督・脚本】大九明子
登場人物
江藤良香/松岡茉優
中学生の頃から10年間”イチ”に片思い中。おもちゃメーカーの経理部で働く。絶滅動物が好きで妄想癖がある。
二/渡辺大知
良香の会社の同期で、良香のことが好き。つきあってほしいと半ば強引に良香に迫る。
月島来留美/石橋杏奈
良香の同期で、会社で一番仲のいい女子社員。良香のことを思ってしたことが却って良香を傷つけてしまい…。
イチ/北村匠海
良香の中学時代からの片思いの相手。良香とは趣味も合い、2人でいると心地よいはずが…。
金髪店員/趣里
良香がよく行くカフェの店員。
最寄り駅の駅員/前野朋哉
良香の家の最寄り駅の駅員。
釣りおじさん/古舘寛治
良香が通りかかる川でいつも釣りをしているおじさん。
岡里奈(オカリナ)/片桐はいり
良香の隣人で、いつもオカリナを吹いている心優しい女性。
妄想と視野見

良香(松岡茉優)は、中学生の頃から”イチ”(北村匠海)に片思いをしています。
そして、今も思い出を召喚し、いろんな妄想をしています。
良香は、絶滅した動物が大好きで、博物館から払い下げてもらったアンモナイトを部屋に飾っています。
イチの漫画
良香は、中学生のとき、休み時間になると『天然王子』という漫画を書いていました。
主人公はイチです。
一度、イチが良香の『天然王子』を書いたノートをパラパラとめくって見たことがありました。
「へんな髪型」というイチですが、その髪型はイチそのもの。
漫画には、イチとの妄想が書き連ねられているようです。
良香は少し自意識過剰なタイプです。
そして”イチ”というのは、おそらく一番好きな人という意味です。
そのため”ニ”も現れるということです。
『視野見』する
良香は、イチをいつも『視野見』していました。
これは、良香が考え出した言葉で、まるでイチを見ていないようで、視野の端っこでイチを見るのです。
イチは、自分ではいじめられていると思っていますが、ただみんなが構いたくなるタイプの男子で、見た目もイケメンで決していじめられてはいません。
そんなイチを『視野見』するのです。
この『視野見』。
すごくよくわかります。
私もよく視野見してましたからw
現実的に好きになってくれる人もいて

良香は、おもちゃ会社で経理を担当しています。
同期の飲み会で
会社の同期との飲み会にはあまり気が進まなかったのですが、同じ経理の月島来留美(石橋杏奈)に誘われ、参加する良香。
そこで、良香に好意を持っている二(渡辺大知)とほぼ無理やりにLINE交換をさせられ…。
二は、イチに対しての二。
二番目の「彼氏」がここで出てきます。
この段階では、二は彼氏ではないのですが。
これは、まだ良香の妄想の中でのお話。
二が良香を好きになった理由は、良香が胸に赤い付箋をつけていたことが気になったからだそうです…。
恋というのは、得てしてそんなものなのかもしれませんね。
飲み会は二が希望
同期の飲み会は、実は二が良香と仲良くなりたくて、違う課の同期に設定してもらったのです。
そして、休みの日、二からデートに誘われた良香。
二は、「江藤さん、僕とつきあってください」と言いました。
「初めて告られた」と、良香はいろんな顔見知りに告げながら、大はしゃぎ。
しかし、その頭の中では、イチに運動会のとき「俺を見て」と言われたことを思い出しています。
そして、良香はこれを『視野見のご褒美』だと思っているのです。
そのときの夢を見ていた良香は、ストーブの火が布団について燃え出し、煙で目が覚めます。
このとき、良香は「死ぬかと思った」のです。
死にませんでしたが。
臆病なのに大胆

良香は、10年間片思いをし続けるような臆病な女子ですが、ある日、大胆な行動に出ます。
それは、ボヤがあった日、「人間いつ死ぬかわからない」と実感したからです。
SNSでなりすまし
良香は、このままじっとしているわけにはいかなくなりました。
そして、同窓会を開いて、イチに会おうと思ったのです。
ただ、自分が幹事になるのは気詰まりなので、渡米した「紫谷玲奈」になりすまし、SNSに登録して同窓会を開くことにしたのです。
すごい、大胆w
一見、臆病なのに、思いの強さで大胆になれるものなのです。
二とパワースポットの奥多摩へ
良香は、二に奥多摩に釣りに行こうと誘われていました。
すると、来留美に「奥多摩はパワースポットだよ!」と言われ、イチに会えるようにと願うために奥多摩に行くことにしました。
何だか、二がちょっとかわいそうですが、二だから仕方ないのか…。
願いが叶った
良香は、釣りの途中でたまたまトイレに行った帰りに、パワースポットに辿り着きます。
そして、そこでイチに電話を掛けました。
すると、イチが東京にいることがわかり、連絡が取れたのです。
パワースポットで願いが叶った!
まあ、実家に電話さえすれば、連絡は取れたとは思いますが、女子にはパワースポットという弾みがほしいものなのです。
良香は、二とデートしながらも、ずっとイチのことばかり考えていました。
そして、クリスマスプレゼントとして、二がくれたのは赤い付箋でした。
10年間の片思いの結末

待ちに待った同窓会の日。
年末に地元に帰省して来たみんなで集まります。
二のやり方
何とか、同窓会を開催し、『紫谷玲奈』さんはスペイン風邪で欠席ということにしました。
そういうことか…。
当日、紫谷さんはいないのにどうするのかと思ってましたw。
良香は、「東京で働いている人だけでお話しませんか」と言って、別のテーブルに集めて素早く写真を撮ります。
そして、「今の写真送るからLINE教えて」と…。
これは、二のやり方ですw。
良香は、知らぬ間に二に影響を受けているようです。
そして、もちろん、その写真にはイチも写っています。
東京組だけで集まろう
良香は、また「東京組で集まろう」と言って、もう一度イチに会える機会を作ります。
イチは忙しそうなのですが、何とか日にちを合わせて、IT長者の同級生のタワーマンションに集まります。
それが決まったとき、もう、良香の頭の中は「イチが好き」で溢れていました。
二は、律儀に年賀状をくれていたのですが、そのメッセージも遠くから聞こえてくるようでした。
イチとの再会
東京組だけの集まりの日。
偶然、二に会ってしまいます。
しかし、もう今はイチのこと以外考えられない良香。
二は、ただならぬ空気を感じて、タワマンまでついてきてしまいます。
ホームパーティーのときも、イチの横には同級生の女の子がずっと側にいて、良香は今にもキレそうで…。
カレンダーを引きちぎり、『天然王子』を書きなぐります。
そして、こんなときも、良香は『視野見』を発動。
お酒が入り、いつの間にか、イチと良香二人だけになっていました。
ベランダで二人
良香とイチは、二人でベランダに出ます。
「何か話してよ」というイチに、良香は絶滅した動物の話をします。
すると、イチも「古代の動物とか絶滅した動物とか特に好き」と言います。
イチは、「君と話していると、自分と話しているみたい。あのとき君と友だちになりたかったな」と。
とても、盛り上がって二人で絶滅した動物の話をしているときに、良香はあることに気づいてしまいます。
それはとても悲しい現実でした。
やはり、初恋は実らないものなのでしょう。
幸せになれ!良香!

良香は、傷心のまま一人で家に帰ります。
このときの松岡茉優さんの泣き笑いの演技、胸が締め付けられました。
全部妄想
良香は、良いことがあったらいつも話しかけていた最寄り駅の駅員さん、カフェの金髪のお人形さんみたいな店員さん、特徴的な外見のコンビニの店員さん、朝も晩もずっと釣りをしているおじさんも…。
本当は、一度も話しかけたことなどないのです。
良香は、イチに妄想の恋をして、妄想の中で街の人達と話していたのです。
イチのある一言で、良香は現実に引き戻され、「絶滅すべきでしょうか」と泣きます。
良香の孤独が、胸に深く突き刺さるシーンでした。
現実の世界には二がいた
良香が戻ってきた現実の世界には、笑顔の二が待っていました。
そして、良香は二と幸せな時間を過ごし、二に「私たち、つきあおっか」と言います。
突然、キスをしようとした二から逃げ出した良香は、翌日、二に謝られて幸せな気持ちになります。
しかし、良香はまた傷つけられてしまいます。
同僚の来留美は秘密にしておいてと約束した、良香が「今まで誰かともつきあったことがない」ことを、二に話していたのです。
来留美は、良かれと思って言ったのでしょうが、良香には来留美に見下されたように思えたのです。
そして良香は、さらに「孤独」を深く感じて…。
会社に『産休届』を提出
また妄想の世界に逃げ込もうとした良香は、闇に落ち、会社に「産休届」を提出します。
それが社内中に知られ、もちろん、二の耳にも入ったようです。
良香と二は、悲しいことにお互いの気持ちを探り合い、そして、傷つけあっています。
しばらく会社を休むことになった良香は、その間に「人間は案外死なないもんだ」と考え、来留美からの留守番メッセージを聞き、二に電話を掛けました。
もう幸せになっていい
最後の二と良香のシーン。
しっかりとお互いを見つめあって、思いをぶつけ合います。
良香は、もう本当に幸せになっていい!
二は良香をずっと良香って呼んでるし、イチより、ちゃんと良香を「好き」だから。
映画「勝手にふるえてろ」の感想 最後に
映画「勝手にふるえてろ」の感想でした。
本作を見始めたとき、この夏に放送されていた松岡茉優さん主演のドラマ「おカネの切れ目が恋のはじまり」に似てるなぁと思いました。
ただ、似ているのは、おもちゃ会社の経理課に務めるOLということくらいで、本作の方がずっと胸が痛くなりました。
しかし、嫌な痛みではなく、最後は良香が幸せになる未来が見えます。
やはり、この作品、舞台化されても面白そうだなと思いました。
おすすめの一本です!
以下の記事で、綿矢りさ原作の映画「私をくいとめて」の感想を書いています。
よろしければ、併せてご覧ください。
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