映画「青天の霹靂」ネタバレ感想|生きるって難しい

こんにちは。

はるき ゆかです。



劇団ひとり著「青天の霹靂」の映画化です。

そして、映画監督デビュー作でもあります。

涙と笑いの名作映画です。

「青天の霹靂」 あらすじ

劇団ひとりが自らの書き下ろし小説で監督デビュー。売れないマジシャン・轟 晴夫は生きる難しさを痛感していた。追い打ちをかけるように届く父の訃報。惨めさに涙が溢れた時、青空から放たれた雷を受けて40年前にタイムスリップしてしまう。そこで、若き父と母に出会った彼は、父とコンビを組み、人気マジシャンになっていく。全てが順調に思えた中、やがて自らの出生の秘密を知ることになる。笑いとたぶん一粒の涙の物語。(C)2014「青天の霹靂」製作委員会

[引用元]Amazonプライムビデオ「青天の霹靂」あらすじ

【監督・原作】劇団ひとり

【出演者】大泉洋・柴咲コウ・劇団ひとり

生きるって難しい

赤ちゃん

映画の序盤で、晴夫(大泉洋)が自分の今の境遇を情けなく思い、「生きるって難しいな」と涙を流すシーンは身につまされるシーンでした。

彼は自分が生まれたとき、母親が自分を置いてどこかに消えてしまったと父から聞かされていることで、自分の「生きる意味」をずっと見失っています。

人生は、思った通りに行かないことの方が多いですが、生まれた時から見捨てられたと思いながら生きていくことほど絶望的な気持ちになることはないのかもしれません。

タイムスリップ

光

晴夫は父(劇団ひとり)の遺骨を受け取った日、雷に打たれて40年前にタイムスリップしてしまいます。

タイムスリップというとSF映画を思い浮かべますよね。

ドラマ「テセウスの船」、ドラマ「仁ーJIN」、映画なら「バックトゥザフューチャー」など、過去に行って現在の自分を変えるというものです。

しかし、この映画はそういった種類のSFものではありません。

ホワイトボードに時間軸を書いて、この過去がこうなったから現在がこうかわって…と、いろいろ考察しなければならないような出来事も起こりません。

ただ自分の出生が惨めで、人生を諦めきっている主人公が、ただ自分の本当の出生の秘密を知り、少し自分の人生を大切に思えるようになるという物語なのです。

青天の霹靂の意味するもの

真紅のバラ

映画のタイトルにもなっている「青天の霹靂」とは、青天の突然の雷のように、「思ってもいないことが突然起こる」という意味です。

そして、この映画の中では「青天の霹靂」は、二つの意味を持っています。

ある日、晴夫が雷に打たれて突然40年前にタイムスリップしてしまうことと、自分の出生の秘密が父親から聞かされていたものとは違っていたことを知る…という二つのことを意味しています。

悦子(柴咲コウ)の出産の日、晴夫が一人で舞台に立ってマジックを観客に見せるシーンで、紙ナプキンで作ったバラが本物の真紅のバラに変わるという演出は、鳥肌が立つほど素晴らしいシーンだと思いました。

それは、そのまま晴夫の人生そのものだと言えます。

出生の秘密を知って

晴夫の母・悦子は、自分の命を投げ出して晴夫を産みます。

それを、父は「自分のせいで母親が死んだ」と子供に知らせることの方が悲しい思いをさせると考えます。

晴夫にとっては、捨てられたという事実も、自分のせいで母が死んだという事実も、どちらも辛いことなのかもしれません。

しかし、大人になって、投げやりな人生を送っている現在の状態の晴夫が、本当のことを知ったからこそ、ラストシーンの父へのセリフにつながっていくのだと思います。

ずっと「最悪な両親」から生まれた自分の人生をどうしようもないものだと思っていた晴夫は、実は自分のことを何よりも大切に考えてくれた「最高の両親」から生まれていたのです。

最後に

映画「青天の霹靂」の感想でした。

難しいことを考えなくてもよい、純粋にとても幸せな気持ちにさせてくれる映画でした。

劇団ひとりさんの才能に感服です。


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