映画「閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー」ネタバレ感想|出演:笑福亭鶴瓶 綾野剛 小松奈々|希望の朝焼け

こんにちは。

はるき ゆかです。



映画「閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー」の感想です。

切なく苦しい作品ですが、最後は希望の光が見える素晴らしい映画でした。

人は誰もが何かを抱えて生きていますが、心が壊れるほどの苦しみを背負った人はそれほど多くはありません。

そんな人々が希望を見いだせる映画でした。

映画「閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー」感想 はじめに

薬

登場人物

梶木秀丸/笑福亭鶴瓶
妻と母ら三人を殺害し、死刑囚となった。しかし、死刑執行に失敗。生きながらえる。その後、六王子病院に入院している。

塚本中弥/綾野剛

幻聴に悩む元サラリーマン。六王子病院に入院中。

島崎由紀/小松奈々

義父の性的DVのせいで、六王子病院に入院。一旦、退院し戻って来るが…。

丸井昭八/坂東龍汰

上手くしゃべれないが、カメラが大好きな入院患者。中弥に可愛がられている。

キモ姉/平岩紙

少しひがみっぽいが、比較的症状の軽い入院患者。

ムラカミ/綾田俊樹

比較的症状の軽い入院患者。

石田サナエ/木野花

幸せな母を演じる孤独な女性入院患者。

重宗/渋川清彦

薬物中毒者で粗暴な性格の入院患者。

大谷医師/高橋和也
六王子病院に勤める医師。

井波/小林聡美

六王子病院の看護師長。優しく、患者のことをよく考えてくれる看護師。

【監督・脚本】平山秀幸
【原作】帚木蓬生


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あらすじ

死刑囚・梶木秀丸

 三人の人を殺害した罪で死刑囚となった梶木秀丸(笑福亭鶴瓶)は、今、まさに死刑が執行されようとしていた。厳粛に執行されたが、死刑執行の失敗により生きながらえた秀丸。死刑執行の影響で脊髄を損傷し、体に障害が出ている。死刑が失敗することはほぼないことなので、秀丸の処遇に困った責任者たちは、外部の施設に秀丸を預けることに決めた。
 それが、長野県の六王子病院という精神科病院だった。

ゆか
ゆか

日本では過去に一度だけ死刑執行が失敗した例があるようです。しかし、かなり昔のことなので、その死刑囚は放免されたようですが、今の世の中、それでは国民が納得しないようです。そして、秀丸は精神科病院をたらい回しにされることになります。

陶芸をして過ごす日々

 秀丸は、毎日陶芸をして日々を過ごしていた。みんなからチュウさんと呼ばれる塚本中弥(綾野剛)は、症状が治まっているときは、街に買い物に出かける。秀丸は中弥に筆を二本買って来てほしいと頼む。中弥は、秀丸をとても慕っている。そして、中弥は、上手く話せないが写真を撮るのが得意な昭八(坂東龍汰)という青年を、しょうちゃんと呼んで可愛がっている。
 中弥は、買ってきた商品を入院患者に売っていた。値段を少し上乗せして。しかし、看護師に「院内で商売するのはいけません」と注意される。中弥は「なんで?みんなも喜んでるのに」と言うが、「また保護室に行きたい?」と言われ、店じまいをする。

由紀が来た日

 その頃、島崎由紀(小松奈々)という女子高生が母に連れられ、六王子病院に来る。由紀は引きこもりだった。1カ月ほど部屋から出てこず、理由もわからない。机の上に刃物を置いて、母はもう手に負えないと言う。
 血液検査の結果、由紀は妊娠していることが判明。そのことを医師の大谷(高橋和也)や看護師の井波(小林聡美)に聞かれると、突然カウンセリングルームを飛び出し、ちょうど秀丸を乗せたエレベーターが来たことでそれに飛び乗り、屋上へ駆け上がった。そして、屋上から飛び降りた。秀丸の「止めぇや!止めぇや!」という制止も聞かず、躊躇せずに飛び降りた由紀。
 しかし、由紀は運よく中弥が手入れをしている椿の木の上に落ち、それがクッションになってちょっとしたケガで済んだが、おなかの赤ちゃんは助からなかった。

ゆか
ゆか

由紀は、まだ高校生なのにどれだけ人生に絶望しているのでしょうか。全く躊躇せず屋上から飛び降りた由紀。

非常ベルが鳴って

 患者たちが植物を植える作業を行っていると、突然非常ベルが鳴る。火事だと騒ぎ出す患者たち。重宗(渋川清彦)という入院患者がライターを隠し持っていて、火をつけたようだ。重宗はかなり粗暴な人間だった。
 数人の患者が男性看護師と野球を楽しんでいるところにやって来て、無理やり金属バッドを取り上げた。それを見ていた由紀を舐めるように見つめる重宗。これ以外にも、重宗はいろんなところで他の患者に迷惑をかけていた。重宗は薬物中毒患者だった。

厄介者は追い払う

 中弥に妹夫婦が面会にやって来た。母(根岸季衣)の認知症が進んで来たので、施設に入れ、今住んでいる家の土地を担保にしてビルを建てたいと言ってきた。妹夫婦は兄と同様、「厄介者」を追い払いたいのだ。さらに、精神科に入院している兄に「ここの払いだっていつまで続くんだか…」と本人を目の前にして言ってしまう。中弥は、母の施設入居には反対し、妹夫婦に「帰ってくれ」と言う。
 妹は中弥が「入院前に発作を起こした日のことを覚えているか?」と言う。中弥は、その日のことを思い出して、錯乱状態に陥る。中弥は、幻聴に悩まされているのだ。保護室に入った中弥は、泣きながらまるで胎児のような姿で布団に寝ている。母を思っているのだ。

ゆか
ゆか

きれいごとではなく、施設に入るかどうか本人の意志を確認できる状態であれば、まだ施設に入れる必要はないと思います。家族がいないのであれば仕方がありませんが、妹夫婦がいます。母と同居することも出来ます。母を思うチュウさんが、錯乱状態に陥るのも当たり前でしょう。

 保護室から解放された中弥を談話室で待っていた秀丸。そして、そっと中弥にお水のペットボトルを差し出す。水を飲んだ中弥は、「おいしい…」と言って泣いた。

由紀が陶芸工房にやって来て

 由紀が、ひとりでふらりと秀丸の陶芸工房にやって来た。秀丸は作業台の上にあった土の塊を、由紀に「それ、ちょっとやってみ」と言って、陶芸に誘った。そして「ここにいると、みんな『患者』という生き物になってしまう。帰る場所があるなら、帰った方がいい」と言う。由紀は「私にはここしかいる場所がない。おじさんこそ、出ていけばいいのに」。秀丸は「わしは、世間に出たらあかん人間や」と言った。

ゆか
ゆか

由紀ちゃん、少し心を開いてくれたようですね。自分が屋上から飛び降りたとき、本気で必死に止めてくれた秀丸には、心を開いたようです。

 それ以来、由紀は本来の優しさを取り戻した。他の入院患者にも優しく接するようになった。由紀は、少しづつ良い方向に向かっているように見えたが…。

由紀の両親が面会に来て

 由紀の両親が面会にやって来た。父は義理の父のようだ。そして、いきなり「退院の手続きをしてくれ」と言う。この義父はケダモノのような男だった。由紀の母親(片岡礼子)が夜勤の仕事をしているときに由紀の部屋に忍び込み、由紀をレイプしていたのだ。
 由紀が自傷行為に走るのは、この義父のせいだった。由紀が退院する際に、写真を撮ることが大好きな入院患者の昭八(坂東龍汰)が由紀の写真を撮っていると、突然、義父は牙をむきだし、昭八に殴る蹴るの暴行を加えた。それも、かなり執拗に。

ゆか
ゆか

この義父の行為を見ているだけで、どれだけ暴力的で自分勝手で異常な人間かがわかります。由紀ちゃんをこのまま退院させたら、どんなことになるか…。

 家に帰った由紀は、母親に「あの男と別れて。学校にも行くし、勉強もするから」と懇願するが、母親は「私が仕事してる間にあんたたちが何してるか知っているのよ。やっと厄介払い出来たと思ったのに」という母親とは思えない言葉を由紀に投げつける。母はお金は何とかするから病院に帰ってほしいと言う。
 由紀は、病院に帰ることを決意する。そして、家に帰って来るなりまた襲い掛かって来た義父を階段から突き落とし、病院へ戻った。

秀丸の罪

 秀丸は、大工職人か何か建設現場の仕事をしていたようだ。ある大雪が降る日、仕事が急遽早上がりになった秀丸は、タイ焼きを買って家に帰った。家には役所の人間が来ているようだった。寝たきりの母の相談を妻が役所にしているのだ。秀丸が家に入ると、妻と役所の職員の男が浮気をしていた。それを見て、頭に血が上った秀丸は妻と職員の男を刺し殺してしまう。そして、一人残された寝たきりの母を「世話してくれる人間がおらんようになったな」と言って、自分が初任給でプレゼントしたマフラーで首を絞めてしまった…。そして、秀丸は死刑囚となったのだ。

 病院では知られていることだったが、重宗は院内のカラオケ大会のときに秀丸に態度を注意されたことに逆恨みし、みんなのいる前で秀丸の過去を大声で言い放った…。

石田サナエの悲しい嘘

 石田サナエ(木野花)は、よく外泊をしている。自分の子供のところに泊まりに行っていると言う。しかし、中弥は由紀に「サナエさんに家族はいない。カプセルホテルに一泊して帰って来るだけだ」と。由紀が秀丸のことを聞こうとすると中弥は「事情を抱えていない人間はいない」と言った。

4人で外出

 由紀は、陶芸作業をするときに便利な腕カバーを秀丸にプレゼントする。それは、とても可愛らしい花柄。それでも、秀丸は困ったなぁと言いながらもとてもうれしそうに腕にはめていてる。それを見た中弥は、みんなで街に買い物に出かけようと提案する。中弥と秀丸、由紀、そしてカメラ好きな昭八も誘って。
 秀丸は、由紀に腕カバーのお礼にワインカラーの可愛いシュシュを買ってくれる。買い物を楽しんだ4人は、公園でお弁当を食べた。中弥は秀丸に缶ビールを手渡した。長い間、アルコールを飲んでいなかった秀丸はおいしそうにビールを飲む。
 そして、昭八が、みんなで写真を撮ろうとカメラをセットする。4人の素敵な写真が撮れた。

ゆか
ゆか

ささやかだけれど、幸せな時間を過ごした4人。みんな家族に疎まれ、傷つけられ、この病院に辿り着いた人たち。

サナエの死

 買い物を楽しんだ4人が病院に帰って来ると、大谷先生と井波婦長が骨壺を持ってタクシーから降りて来た。遺骨はサナエのものだった。海の近くの公園でひっそりと亡くなっていたのだ。病院で小さなサナエを送る会が行われる。患者たちはこんな風になりたくないと騒ぎ始める。

 いつも楽しそうに子供たちの家に泊まるのだと嘘をついていたサナエは、その日も海を眺めながら一人きりでパンを食べながら「いつでも夢を」を歌っていた。

ゆか
ゆか

なんて悲しい最期なのでしょうか。サナエさんは、自分は子供たちに愛されている幸せな母親なのだと自分にまで嘘をつくことに疲れてしまったのかもしれません。

花瓶を取りに

 秀丸は自作の花瓶でサナエに花を供えようと、由紀に工房に取りに行ってもらう。その由紀を重宗が後をつけていく。重宗はずっと由紀を狙っていたのだ。それを見た昭八が、一緒に工房へ向かう。工房で花瓶を選んでいる由紀に重宗が襲い掛かる。何度も由紀を力任せに殴る重宗。由紀は抵抗する気力を奪われた。涙を流しながらただ時が過ぎるのを待つしかなかった。

ゆか
ゆか

由紀ちゃんは、義父にも無理矢理犯され、病院に逃げて来たら次は重宗。もう、絶望感しかなかったでしょう。

 昭八は、怖くて止めることは出来なかったが、重宗が由紀を襲っている写真を工房の外から撮り続けた。そして、翌日、由紀がいなくなったのを知った中弥に、昭八はその写真を見せた。また、発作を起こしそうになるのを必死で抑えながら中弥は、その写真を秀丸に見せた。秀丸はこのことは絶対に誰にも言わないように、そして写真はすぐに消去するように言った。
 秀丸は、重宗の元へ向かう。重宗はちょうど、一人だった。そして、秀丸は陶芸で使っているナイフで重宗を刺した。重宗の息が止まるまで秀丸はナイフを離さなかった。
 
 秀丸は警察に連行される。ほとんどの患者が乱暴な重宗を嫌っていた。患者たちは秀丸に「ありがとう」と言って別れを告げた。

退院を宣言する

 中弥に、再び妹夫婦が面会に来た。今回は井波婦長が同席している。妹夫婦は母の具合がさらに悪くなって「何も訳が分からなくなったので早く施設に入れたい」と言ってきた。中弥は母の面倒は俺が見るから退院すると宣言した。妹夫婦は嫌がっているが、井波婦長が説得してくれた。
 中弥の退院のときに、昭八が駆け寄って来て、4人で買い物に出かけたときの写真を手渡してくれた。そして、井波婦長は、秀丸の弁護士の連絡先をそっと渡してくれた。

 家に帰った中弥は、久しぶりに再会した母に駆け寄り、涙を流して抱き合った。母は庭の手入れをしていて、中弥のこともしっかり覚えている。何も訳が分からなくなってなどいない。

仕事に復帰

 中弥は、病院で熱心に植物の手入れをやっていたので、園芸関係の会社に職を得た。丁寧な仕事を評価され、社会復帰を果たそうと懸命に頑張っていた。そのとき、新聞で秀丸の裁判が行われることを知った中弥は、裁判の傍聴に出かける。すると、そこには井波婦長、ムラカミ(綾田俊樹)とキモ姉(平岩紙)の姿があった。
 裁判が始まるまで廊下のイスに座っていた中弥の元に、由紀が現れた。由紀はきれいになっており、幼さが抜けていた。髪には秀丸からもらったシュシュがつけられていた。重宗に襲われた日、そのまま病院を飛び出し、泣き叫びながら街をさまよい続けていた由紀は、夜が明ける前の朝焼けの美しさを見て、生きる勇気を見い出していた。由紀は、弁護側の証人として出廷することになっている。

由紀の証言

 由紀は、証言する。自分が重宗に乱暴されたこと、そして、その翌日に秀丸が重宗を殺めたこと。病院では秀丸にいろいろな面で助けられてきたこと。秀丸のおかげで自分は立ち直れたこと。本当なら、憎い重宗の命を奪ってくれた秀丸がいる場所にいたのは、自分だったかもしれないこと。
 そして、由紀は秀丸が出所することが出来るなら、それまでずっと待っていると涙を流して告げた。秀丸は泣きながら、首を横に振っていた。

ゆか
ゆか

命を奪われて当たり前の人はこの世にはいません。しかし、本当にクズでどうしようもない人間がいることも現実です。その影で犠牲になっている人がいることも。

待ってるから

 裁判が終わって、法廷をあとにする秀丸を追いかける中弥。「俺、退院したよ」と何度も叫ぶ。小さくうなづく秀丸。そして、中弥も「待ってるから」と言った。

 刑務所の中でもずっと車椅子の秀丸。
 運動の時間も、刑務官に車椅子を押してもらって運動場に出て来ていた。何十年も自分の足で歩いていない。

 そんな秀丸が、車椅子から立ち上がり、自分の足で歩こうとしていた___。

映画「閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー」感想 

病院

胸が痛む

本作は、「死刑執行」というショッキングなシーンから始まります。

それだけでも、緊張感で胸がいっぱいになります。



殺人はどんな理由があっても、決してあってはならないことですが、主人公の秀丸は、ある意味彼自身も被害者だったのかもしれません。

自分が仕事に出ている間に妻が浮気をしていて、その現場を目の当たりにしてカッとなってしまい、妻と浮気相手を包丁で刺してしまいます。

そして、面倒を見てくれる人がいなくなったという理由から寝たきりの母にまで手をかけてしまう。

それは少し短絡的だったと思いますが、自分が逮捕されることを考えたら、母はひとりになってしまいます。



本作は観ている間、ずっと胸が苦しく、涙が出る直前のような感情で観ていました。

登場人物がそれぞれ、あまりにも切なく苦しい映画でした。

由紀の孤独

登場人物は、とても孤独な人たちばかりです。

女子高生の由紀は、義理の父親にレイプされ、それを知った母が娘を庇うのではなく、「女」の目線から由紀に嫉妬して厄介払いするように精神科病院に入院させます。

義父にされたことを悩み、自ら命を絶つことを考えている娘が退院してきたのに、母は「厄介払いが出来たと思ったのに」と言い放ちます。

義父はケダモノで、母には嫉妬され、由紀の居場所は家庭にはありませんでした。

そして、結局は六王子病院だけが心の拠り所となります。

そこには、優しい秀丸やチュウさんがいます。

しかし、六王子病院でも重宗という凶暴な男にレイプされてしまいます。

病院を飛び出した由紀の絶望感は、どれほどのものだったでしょうか。

中弥の妹夫婦

中弥には、一人暮らしの母がいます。

妹夫婦が言うには、母は認知症が始まっており、すぐに施設に入れたいと言います。

中弥は確かに入院する前、発作を起こしては家族に迷惑をかけていたかもしれません。

そのため、中弥は六王子病院に入院したのです。

そして、妹夫婦は母を引き取って面倒を見る気持ちはなく、施設に入れて、母が一人で住む家の土地を担保に銀行から融資を受けて、ビルを建てたいと中弥に告げます。

施設に入れるという選択の前に、妹は母を引き取ることは考えないのでしょうか。

妹夫婦は、自分たちを被害者だと思っているのでしょう。

精神を病む兄、認知症の母。

早くこの厄介な二人を追い払いたい。

中弥は入院治療が必要なほど、症状が悪化していたので入院はそれでよかったのかもしれませんが、中弥が言うように母に関しては「俺と同じように扱う」つもりなのです。

何度も中弥に面会に来て、必死です。

それまでは、一度も面会に来なかったのに。



そして、中弥は、母の面倒を見るために退院します。

園芸関係の仕事も得て、中弥の病気はどんどん良い方向に向かっていきます。

中弥には、帰る家があったのです。

サナエの悲しみ

石井サナエは、毎週外泊許可を取って、子供たちの家に泊まりに行っています。

しかし、それは全て嘘でした。

ただ、外出してカプセルホテルに一泊して戻って来るだけ。

サナエさんの頭の中では、そんな「幸せな母」としての自分が存在していたのでしょうか。

しかし、サナエさんはある日、外泊から戻ってくることがありませんでした。

ひっそりと海の見える公園で、一人亡くなっていたのです。

見つかるまで3日かかったようです。

本作の中で、サナエさんの死因ははっきりと描かれてはいません。

ただ、サナエさんがどれだけの孤独の中で、どれだけの虚しさの中で亡くなったのかは想像に難くありません。

亡くなる前のサナエさんが海を見ながら「いつでも夢を」を歌う姿に、涙が溢れました。

俳優たちの熱演

主演の笑福亭鶴瓶さんのとても自然な演技。

妻の浮気がなければ、本当に普通の関西人の「ええおっちゃん」だったはずの秀丸を素晴らしく自然に演じられていました。

そして、秀丸は根は優しい人で、入院患者から慕われ、由紀ちゃんの心も開くことが出来ました。



綾野剛さん演じる中弥。

発作を起こしたときの目の演技や普段は穏やかで、弱き者を庇い、ちゃっかりお金儲けもしていた中弥を素晴らしい演技力で演じ、中弥から目が離せませんでした。

中弥はきっと病気とうまく付き合いながら、このまま認知症の母の面倒を見ながら秀丸の出所を待ち続けるのだろうなと思わせてくれる、明るい未来の光が見えました。



小松奈々さん演じる由紀。

一番、感情移入できたのが由紀でした。

女性であるがゆえにケダモノのような男に目をつけられ、暴力を振るわれ性被害にあっていました。

どれだけ抵抗しても、男性の力に女性は勝つことが出来ません。

そして、母の冷酷な仕打ち。

母として生きることが出来ず、いつも「女」である由紀の母。

最後の砦である母親にまで厄介者扱いされた由紀の絶望感や喪失感に、涙が溢れました。

小松奈々さん、素晴らしい演技でした。

重宗に襲われたあと病院を抜け出し、派手な感じの女性たちに助けられたあとの由紀の泣き崩れる演技は圧巻でした。

由紀は、今は看護助手の仕事をしています。

中弥と共に由紀も、秀丸の出所を待ちながら強く生きていく明るい未来が見えたことに、とても救われた気持ちになりました。

映画「閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー」感想 最後に

映画「閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー」の感想でした。

私は、原作は未読なのでぜひ読んでみたいと思います。

映画では描かれていない事柄もたくさんあるようです。

素晴らしい作品でした。

是非、ご覧になってみてください!

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