こんにちは。
はるき ゆかです。
映画「レイトオータム」の感想です。
哀しく美しい大人のラブストーリーです。
きっと、彼は笑顔で彼女を迎えに来てくれるはず…。
「レイトオータム」 あらすじ

DVの夫を誤って死なせてしまったアンナ(タン・ウェイ)が刑務所の収監されて7年。模範囚として過ごしてきた彼女に、母親の訃報を受けて3日間の外出が許可される。ただし、期間は72時間だけ、しかもその間は、肌身離さず携帯電話を所持することが義務付けられていた。
[引用元]Amazonプライムビデオ「レイトオータム」あらすじ
【監督】キム・テヨン
【出演者】ヒョンビン タン・ウェイ
アンナの情熱

舞台は、アメリカ・シアトル。
中国人のアンナ(タン・ウェイ)は、夫を過失で死なせてしまい、刑務所に収監されています。
アンナは、夫からDVを受けていたのです。
そんなアンナは、母が亡くなったという知らせを受け、72時間だけ外出を許可されます。
その72時間の間、アンナは警察から渡されている携帯電話を肌身離さず持っていなければなりません。
警察から電話がかかってきたら、すぐに出なければならないのです。
家に着いたら着いたで、妙に気を使われ、財産分与の話や墓石の字が間違えているというありえない話を聞かされ、疲れた顔のアンナの顔に笑顔は戻りません。
アンナの罪の原因となった男は、付き合っていたアンナの元を自分から去っておきながら、アンナが結婚しているのを知り、駆落ちをそそのかしたのです。
それを知り、嫉妬に狂ったアンナの夫が、アンナと男を襲って…。
しかし、家に戻ったアンナが見たものは、男が、夫を殺害したアンナを待たず、別の女性と平穏に結婚し子供までいる現実。
この男は、アンナを心配しているように言いますが、中身のないくだらない男でした。
アンナは、未だ収監中の身でもあり、素顔のままで、地味で質素な洋服。
もともと美しい人なので、余計に疲れ果てた顔が痛々しい。
母の葬儀の前、街に買い物に出るアンナ。
化粧をし美しく着飾った途端、警察からの電話が入り、現実に引き戻されるアンナは、せっかく買った洋服を脱ぎ捨て化粧も落としてしまいます。
アンナは、人生に疲れ果てているのか、笑顔がほとんどなく、人との会話も長い間(ま)があいてしまいます。
おそらく、人に関わること自体に疲れ、人生を諦めてしまっているかのようです。
しかし、アンナの心の底には、密やかな情熱が隠されているのです。
ジゴロのような暮らし
アンナが母の元へ戻るために、シアトル行の高速バスに乗ります。
そのバスに、誰かに追われているかのように慌てて乗り込んでくる一人の男がいました。
韓国人のフン(ヒョンビン)です。
いきなり、バスの乗車券を友人がなくしたと嘘をついて、アンナにバス代を借りるフン。
そして、フンはお金を返すまで持っていてくれと、アンナに自分の時計を渡します。
アンナは、迷惑そうなわけでもなく、かと言って愛想よく話すわけでもなく、ただただ無気力なアンナ…。
しかし、アンナとフンの恋は、このとき既に始まっていたのかもしれません。
フンは、お金持ちのご婦人の相手をしてお金をもらう、ジゴロのような生活をしています。
今も、お金持ちのご婦人の夫に追われている身なのです。
フンは、人懐っこくて、話がうまく、女性の心を掴む術にたけています。
見た目も、とても美しい青年です。
本作が、私がヒョンビンさんの演技を観た初めての作品です。
どちらかというと、誠実そうなイメージのヒョンビンさんですが、本作はとてもセクシーで退廃的な男性を演じています。
とても切ない大人の恋を描いた本作。
ヒョンビンさんの男性としての魅力に引き込まれます。
72時間の恋

アンナが、自分は収監中の身であることを思い知らされた日、街角でフンに偶然再会します。
フンを誘うアンナでしたが、罪悪感に苛まれ…。
フンは、自分を気に入ってもらえなかったのだからと、アンナに自分がこの街を案内すると言います。
フンとアンナは、食事をし、遊園地に行き、観光バスに乗り…寂しいアンナの顔に少し笑顔が戻ります。
しかし、アンナは、明日、母の葬儀が終わったら、刑務所に帰らなければならないとフンに告げます。
長く一緒にはいられないのです。
すると、フンの顧客のお金持ちのご婦人から電話があり、そこで二人は別れます。
フンは、翌日、アンナの母の葬儀に、花を持って現れます。
親戚は、誰もフンのことは知りません。
葬儀の食事の席で、アンナを裏切った男が、何故かフンに嫉妬して説教を始めます。
この男は、アンナが他の男性といると邪魔したくなるのでしょうか。
本当に身勝手な男。
ここで、怒ったフンが、男に殴りかかった理由をアンナに言うのですが、それが「俺のフォークを勝手に使った」でした…。
アンナは、じっと溜め込んでいた怒りを裏切った男にぶつけ、泣き叫ぶのです。
このシーンは、何も知らない周囲の人たちにとっては、意味がわからなかったと思います。
しかし、裏切った男にアンナの怒りは伝わったと思います。
再会を約束して

母の葬儀を終えたアンナは、バスで刑務所に戻ります。
そのバスに、またもフンが乗ってくるのです。
霧が深くなり、バスが止まったところで、フンは相手をしていたお金持ちのご婦人の夫とその仲間に捕まって…。
ある恐ろしい事実を突きつけられます。
嫉妬とは、本当に怖ろしいもの。
そして、霧の中、アンナとフンは、お互いを確かめ合うような口づけを交わし、抱きしめ合うのです。
多くの言葉を交わさなくても、二人はお互いを理解し合うことができました。
アンナが自由の身になれた日、またここで会おうと約束をします。
切ないシーンです。
2年後。
釈放されたアンナが、約束の場所に向かいます。
そこで、アンナはコーヒーとケーキをオーダーし、フンを待ちます。
「フォーク」を手に持つアンナの顔には、柔らかな微笑みが…。
最後に
映画「レイトオータム」の感想でした。
ラストシーンは、一人、フンを待つアンナの微笑み。
二人が再会できたかどうかは、描かれていません。
しかし、私には二人が穏やかな笑顔で向かい合って座るシーンが、目に浮かんだような気がしました。
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