映画「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」感想|料理は人を幸せにする

映画「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」の感想です。

満州に渡って天皇の料理番となった山形直太朗は、「大日本帝国食菜全席」112品の料理を考案します。

しかし、その料理はある謀略に利用されようとしていて…。

闇に消えたこの料理の完全再現を依頼されたのは、絶対味覚を持つ佐々木充でした。

「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」 あらすじ

激動の1930年代、満州に渡った天皇の料理番・山形直太朗が考案した究極の美味112品による[大日本帝国食菜全席]。歴史の闇に消えたレシピの謎を追い、メニューの完全再現に挑むのは、絶対味覚=”麒麟の舌”を持つ料理人・佐々木充。彼はこれまで、愛を知らずに生きてきた。もう一人の”麒麟の舌”を持つ男の生涯を知るまでは…。かつて世界を料理で変えようとした料理人が、自らの命をかけてレシピに隠した秘密とは?(C)2017 映画「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶」製作委員会

[引用元]Amazonプライムビデオ「ラスト・レシピ~麒麟の舌の記憶~」あらすじ

【監督】滝田洋二郎
【出演者】二宮和也 西島秀俊 綾野剛 宮﨑あおい 竹野内豊

佐々木充(二宮和也)は、一度食べたら決してその味を忘れず、完全に再現できるという「絶対味覚」を持つ料理人です。

孤児院で育った充は、同じ孤児院で育った柳澤健(綾野剛)と共に、レストランを経営していたのですが、あまりにも味にこだわるあまり、店をつぶしてしまいます。

そして、その借金を返済するために、彼の「絶対味覚」を生かして、忘れられない料理を再現してほしい客を相手に、一品100万円で料理をしています。

そんな充に、中国料理界の重鎮・楊晴明から幻の「大日本帝国食菜全席」の再現を依頼されます。

依頼料は、5,000万円。

借金を一人で返済している充は、引き受けることにしました。

そして、その歴史を辿るうちに、充は自分自身のルーツを知ることになり…。

 

これは、頑なな充の心をときほぐすために行われた、あたたかい愛の旅のはじまりでした。

112品の大日本帝国食菜全席

山形直太朗(西島秀俊)は、「絶対味覚」の持ち主です。

一度食べた味は、決して忘れることがありません。

関東軍に招かれた直太朗は、妊娠中の妻・千鶴(宮﨑あおい)を伴って、意気揚々と満州国にやって来ます。

当時、天皇の料理番となることは、料理人として最高の地位を確立したと言えるものです。

満州国とは

満州国とは、1932年~1945年に、現在の中国北東部にあった国家です。

第二次世界大戦終結の1945年、日ソ中立条約を破ったソ連陸軍により、関東軍が攻撃され、その後日本が降伏し、満洲国皇帝・愛新覚羅溥儀が退位。

満洲国は滅亡しました。

満州国を訪問する天皇へのおもてなし料理

山形直太朗は、人柄も優しくあたたかで、料理に対する情熱はひとかたならないものがありました。

中国の108品の「満漢全席」より多い112品の料理を「大日本帝国食菜全席」として作ることを決意します。

助手として、軍が用意した二人の料理人、鎌田正太郎(西畑大吾)と中国人の楊晴明(兼松若人)と共に、レシピの開発に取り組みます。

 

この山形直太朗役の西島秀俊さんの演技は、西島さんのキャラクターにぴったりでした。

レシピを作りながら築かれていく三人の絆に、とても感動します。

しかし、その絆の裏には軍の謀略が隠されていたのです…。

山形直太朗と妻の愛

直太朗の妻・千鶴は、夫の最も良き理解者です。

夫が、苦悩しながら考え出すレシピの記録を、全て管理して残しています。

千鶴は、三人の料理人が、料理を作っているところを写真に撮って、誰が見てもわかるような写真入りのレシピを作ってはどうかと提案します。

 

プライベートでも、写真が趣味だという宮﨑あおいさん。

直太朗の妻・千鶴として、毎日写真を撮っている姿も自然で素敵でした。

夫を後ろからそっと支える姿が、素晴らしかったです。

しかし、妊娠中の無理がたたったのか、千鶴が出産後亡くなってしまうシーンは、涙が溢れました。

満州国ハルピン関東軍の企み

満州国ハルビン関東軍司令部の大佐・三宅太蔵(竹野内豊)は、「大日本帝国食菜全席」にある企みを隠していました。

三人の料理人が心血を注ぎ、千鶴が命をかけて支え、作ったレシピ。

時代の流れがそうさせたのだと思いますが、あまりにも人の心を踏みにじる行為にやりきれない気持ちになります。

 

竹野内豊さん演じる三宅太蔵大佐は、他の登場人物がみな、ただただ料理を愛する純粋な人々の中で、はっきりと「悪役」でした。

天皇陛下へのおもてなしの気持ちだけで、完璧な厨房を用意したのかと思わせて、実はその裏には…。

しかし、役作りに髪も短くカットされた軍人役の竹野内豊さんも、やはり、凛々しくカッコよかったです。

よくある戦争映画などで、本当に偉そうな軍人が出てきますが、竹野内豊さん演じる軍人は、そういう感じでありませんでした。

料理人の山形直太朗にも、敬意を表している人です。

三宅大佐の実際の人柄は、本当の悪人ではなかったのかもしれませんね。

そこまで考えて演じられていたのなら、竹野内豊さん、すごいと思います。

ラストレシピとは?

映画のタイトルである「ラストレシピ」には、二つの意味があります。

一つは、山形直太朗が命がけで作り、守った「日本帝国食菜全席」のレシピで、これが彼が作った最後のレシピであったということです。

そして、もう一つは、充の母が山形が作った「日本帝国食菜全席」の112品に一つ加え、113品にした「カツサンド」のレシピです。

 

また、充が少しづつ頑なな心を開くことができたのは、「日本帝国食菜全席」の112品の中から、それぞれの思い出がつまった料理を、ルーツを辿る旅の中で、行く先々で一品づつ食べていったからです。

鮎の春巻き豚の角煮黄金炒飯ロールキャベツの雑煮風…と。

そして、最後に母の愛が詰まった「カツサンド」を食べて、充の心は昇華していったのです。

佐々木充の心の変化

自分の舌しか信じなかった佐々木充が、自分のルーツを辿ることで、自分がどれだけ周囲の人々に大切にされていたかを知り、人を信じることが出来るようになります。

それは、山形直太朗にもあった心の変化でした。

充が受け継いだのは「絶対味覚」だけではなかったのです。

 

二宮和也さんは、演技力に定評のある俳優さんですが、本作でもやはりとても素晴らしい演技でした。

どちらかというと、抑えた演技で、表情で感情を表されていたように感じました。

天才肌で鼻っ柱の強い自分しか信じない男から、周囲の愛情を知り、人を信じる気持ちを持つことが出来るようになっていく充の心の変化に、涙が溢れます。

料理は愛情だという言葉を嫌っていた充ですが、やはり料理には愛情も必要だということを知るのです。

 

最後に、全てを知った充が、母の思い出の詰まった「カツサンド」を食べて「うまいな…」と目に涙を浮かべるシーンの演技は圧巻です。

最後に

映画「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」の感想でした。

出てくる料理の全てが、本当においしそうです。

激動の時代にも、平和な今の時代にも、人はおいしいものを食べることで癒される。

おいしい料理が人を幸せにするというのは、真実だと感じさせてくれる映画です。

 

二宮和也さんの演技の素晴らしさについては上記のとおりですが、綾野剛さんの演技が心に残りました。

やはり、素敵な役者さんです。

ぜひ、おすすめの映画です!

 


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