映画「青の炎」感想|主演・二宮和也 母と妹を守るために犯した罪の結末

こんにちは。

はるき ゆかです。



映画「青の炎」の感想です。

主演は二宮和也さん。

18年前の映画になりますが、二宮さんの演技力はこの頃からすでに完成され、いつものごとく映画にどんどん引き込まれていきました。

ただ、幸せな家庭を壊したくなかっただけ。

ただ、大切な母と妹を守りたかっただけ。

17歳の殺人者は、あまりにも切ない。

映画「青の炎」感想 はじめに

あらすじ

櫛森秀一は、17歳の名門高校に通う高校生。10年前に母と離婚した義父・曾根が突然、現れ、秀一らの住む家に居ついてしまった。横暴な曾根から母と妹を守るために、秀一は弁護士に相談するが、母自身が訴えないとどうしようもないのだと思い知らされる。秀一は、ただ母と妹との三人のささやかな幸せを返してほしかっただけなのだ。母親だけでなく、妹にまで手を出そうとする曾根に、ついに秀一の怒りは頂点に達する。その激しい怒りは、静かな憤怒となり、青い炎のように秀一の心に灯った。自分の手で曾根を殺害することを決心した秀一は、完全犯罪を計画する。

【監督】蜷川幸雄

登場人物

櫛森秀一/二宮和也
主人公。17歳の高校生で、美術部の幽霊部員。毎日ロードレーサーに乗って通学している。「自転車」と言われると必ず言い直す。家族思いの優しい少年。

福原紀子/松浦亜弥

櫛森秀一の同級生で他の女子生徒とはつるまない少女。秀一と次第に心を通わせるようになる。

櫛森友子/秋吉久美子

秀一の母。前夫を事故で亡くし、再婚したのが曾根隆司だった。インテリアショップで働いく美しい女性。

櫛森遥香/鈴木杏

秀一が大好きな、秀一の妹。明るく溌剌としているが、秀一とは本当の兄妹ではない。

曾根隆司/山本寛斎

友子の再婚相手で、今はすでに離婚している。しかし、遥香に会いに来るために秀一たちの住む家に舞い戻ってくる。

石岡拓也/川村陽介

家庭内暴力で引きこもりの同級生。曾根殺害の証拠を持ち去ったことから…。

私書箱の男/竹中直人

秀一が曾根を殺害するための危険物を私書箱で購入。そこの管理をしている男。

神崎慎太郎/唐沢寿明

秀一のアルバイトの先輩。

山本英司/中村梅雀

秀一の起こした事件の担当刑事。

大切な家族

秀一(二宮和也)は、普通の17歳の高校生です。

母の友子(秋吉久美子)と妹の遥香(鈴木杏)とは仲が良く、食卓でもいつも楽しそうです。

それが、ある男が食卓に入って来るなり、空気が凍り付いて…。

離婚した曾根が舞い戻って来た

秀一の実の父親は交通事故で亡くなっており、母は曾根隆司(山本寛斎)と再婚しましたが今はすでに離婚しています。

しかし、曾根は、なぜか秀一たちの家に舞い戻って来ているのです。

曾根は、母から金をせびり、酒を飲んではただダラダラと時を過ごしています。

秀一は、曾根から子供の頃、激しい暴力を受けていました。

秀一にとって曾根は、ただただ邪魔な存在でした。

曾根を演じる山本寛斎

曾根隆司を演じる山本寛斎さん。

私は、山本寛斎さんが、演技をしているのをあまり見たことがありませんでしたが、すごい迫力と威圧感。

女性二人と少年だけの家庭に、無理やり入り込み、当たり前のように元妻に手を出し、娘にまで…。

その憎々し気な演技は、かなりの迫力でした。

秀一の隠れ家

秀一は、家のガレージを自分の部屋として使っています。

PCやロードレーサーのための工具、水槽など、まるで秀一の隠れ家のようです。

秀一は、日記の代わりに毎日感じていることをテープレコーダーに吹き込んでいます。

これは、自分の痛みを解放する道具となっています。

どうにかして曾根を排除したい

大切な母や妹に手を出す曾根を、秀一は何とかして追い出したいと思っています。

母の友子にも、なぜ曾根を家に置いているのかと問い詰める秀一。

曾根が家に居着いてしまってから、10日が過ぎています。

弁護士に相談する秀一

秀一は、このままでは本当に自分が曾根を亡き者にしてしまいそうだという恐怖もあり、本当の家族でもない曾根が家に居座ることは法律的にも間違っているのではないかと弁護士に相談しに行きます。

しかし、母の友子自身が訴えないとどうしようもないことを知らされます。

秀一は母にそれを話しますが、「もう少しだけ待って」というばかりです。

福原紀子とデート

福原紀子(松浦亜弥)は、クラスの中では少し浮いた存在で、とっつきにくい子だと言われています。

紀子と水族館へ

秀一は、授業中のちょっとしたトラブルで、紀子の画材を踏みつぶしてしまい、それを謝りに、学校の廊下を追いかけます。

すると、紀子は休日に画材店に行くのでつきあってほしいと秀一を誘います。

しかし、行ったのは水族館。

画材店には行かず、普通の恋人たちが行く水族館に行ったのは、デートだと言っていいはずで、クラスメイトが言うほどとっつきににくい子ではないと、秀一は紀子に好意を持ちます。



紀子役の松浦亜弥さんが、本当に可愛らしいです。

そして、普段は明るいイメージの松浦亜弥さんですが、少し影のある少女役を見事に演じています。

遥香の悲鳴が聞こえて

紀子とデートした日のこと。

家の中で、遥香の悲鳴が聞こえてきました。

「お兄ちゃん、助けて!」

部屋にいた秀一は、金属バットを持って曾根の部屋に向かいます。

すると曾根は「お前、遥香に気があるんだろう?」と訳の分からないことを言い出します。

友子が飛び込んできて秀一を止め、「話しておかなければならないことがあるの」と言って、秀一を部屋に連れて行きます。

遥香は曾根の連れ子だった

友子は秀一に「遥香は曾根の連れ子で、まだ遥香は曾根の籍に入っているの。あなたと遥香は本当の兄妹じゃないの」と告白します。

ショックを受けた秀一は、泣き崩れます。

絶対に曾根を排除してやる

秀一は、「家族の中の異分子を絶対に排除しなければならない」と考え始めます。

遥香が15歳になれば、自分で戸籍を選ぶことができるので、自分と同じ籍に入れられると母に言われましたが、秀一はそんなに待てないと思ったのです。

さっき、「お前、遥香に気があるんだろう?」と言った曾根の不可思議な言葉はそういうことだったのです。

遥香と秀一は、本当の兄妹ではない…。

完全犯罪計画

秀一は、どうすれば完全犯罪が成し遂げられるかを考えます。

ネットで、アングラサイトや少年犯罪について調べます。

そこで見つけたのが、「シアナミド水溶液」というアルコール依存症患者に使われる薬で、摂取すればひどい二日酔い状態に陥る薬です。

この薬を「松岡四郎」という偽名で購入し、私書箱を借りる…。

この薬を使って、曾根の身体の自由を奪い、どうすれば殺害できるのかを考えます。

完全犯罪の方法が決まった

「シアナミド水溶液」をいつも曾根が飲んでいる焼酎に少しづつ混ぜ、意識を失わせ、感電死させることを思いついた秀一。

医学書を読みあさり、鶏肉で実験を重ね…。

美術の時間に抜け出して

秀一は、あまり熱心ではない美術教師の授業の時間を狙い、「外で絵を描くよ」と言って学校を抜け出します。

そして、「シアナミド水溶液」入りの焼酎を飲み、家で寝込んでいるはずの曾根の元へ、ロードレーサーで走ります。

この日のために用意した感電死させるための器具を使い、秀一は曾根の命を奪うことに成功します。

海辺に放置されたボートの網に、器具を隠し、再び学校に戻ります。

警察で曾根の死は「心臓麻痺」とされた

さすがに、人の死を目の当たりにした秀一は落ち着かいない様子でしたが、警察から曾根が病死だと判定されたことを知ると、ホッとして思わず笑いが込み上げます。

しかし、曾根が「心臓麻痺」だとされた翌日、秀一は海辺のボートの影に隠していた器具を回収しに行ったのですが、器具は消えていました…。

コンビニ強盗を装って

秀一のバイト先に、クラスメイトで不登校中の石岡拓也(川村陽介)がやって来て、例の器具を預かっているので30万円よこせと強請ってきます。

秀一がボートの影に器具を隠していたのを、石岡に見られていたのです。

曾根隆司はガンだった

遥香が、秀一の部屋に来て「私、お兄ちゃんの本当の妹じゃないの?」と言います。

遥香は曾根から「俺がこの家に来たのは、癌でもうすぐ死ぬからお前に会いに来たんだ。お前は俺の連れ子だ」と言ったというのです。

曾根は放っておけば勝手に死んでくれたはずでした…。



このときの、遥香と秀一のやり取りは、とてもリアリティがありました。

二人は本当の兄妹のように育ってきた仲のいい兄と妹。

そんな空気が二人の間に流れていました。

コンビニ強盗を提案する

秀一は、石岡に自分と組んで、秀一がバイトをしているコンビニで強盗のふりをしようと提案します。

秀一が働いているコンビニなので、お金のある場所も知っていると言います。



石岡は家族とうまく行っておらず、ナイフで家族を刺そうとしたことがあったのですが、秀一に止められたという過去がありました。

秀一からお金を強請ろうとしたのは、一人暮らしがしたいからでした。

そのため、本当は秀一に迷惑をかけたくはないのです。

裏切り

秀一は、石岡を裏切ります。

石岡が強盗のふりをして、防犯カメラに映っているのを確認して、揉みあうふりをします。

しかし、秀一はレジ裏に隠しておいた本物のナイフで石岡を刺し、模造ナイフは「松岡四郎」の私書箱宛てに、送ります。



秀一の頭の良さには、舌を巻きます。

しかし、秀一はただ大切な家族を守るために、二度も過ちを犯してしまうのでした。

山本刑事に完全犯罪を崩される

コンビニで、石岡を亡き者とした秀一は、翌日、警察に呼ばれます。

山本刑事(中村梅雀)は、曾根が亡くなったときにも担当していた刑事です。

防犯カメラの不自然さ

石岡と揉みあう秀一が映った防犯カメラには、いくつかの不自然な点がありました。

山本刑事は、石岡が刺されて亡くなったときの身体の動き、秀一がナイフをクビに突き付けられていたのに、秀一のクビには切り傷一つない…。

秀一は「よく覚えてない」と繰り返しますが、やはり警察の目は誤魔化せないようです。

秀一の完全犯罪は、崩されようとしていました。



そして、紀子にも秀一のやったことは見抜かれていたようです。

紀子と秀一

紀子は、おそらく秀一に好意を持っていました。

好きな人のことは他の人以上に女の子は見ているものです。

秀一は紀子に「俺、人殺したんだ」と言います。



このシーンは、とても印象的でした。

秀一が、紀子にだけ本当のことを話した瞬間。

どこか覚めた様子の秀一の心を開かせることが出来たのは、紀子だけだったのかもしれません。

警察に連行される秀一

秀一は、警察に連行されます。

山本刑事は、秀一がやったことの全てを見抜いていました。

曾根を亡き者にし、それを知られた西岡の口封じをしたこと。

西岡の家から、例の器具が発見されたこと。

山本刑事は「本当のことを話してくれ」と秀一に言います。

秀一は「友達にちゃんとお別れを言いたいから、明日、話します」と言って帰っていきます。

「必ず戻ってきてくれよ」と言った山本刑事。

山本刑事は、秀一を信じたのです。



このあと、自分の部屋の水槽の中で、曾根の最後の指の動きを真似た二宮くんは、息を吞むほどの美しさでした。

秀一自身が放つ光こそがまさに「青の炎」でした。

映画「青の炎」感想 最後に

映画「青の炎」の感想でした。

ラストシーンの紀子の涙を堪え怒ったような表情は、秀一が最後に選んだ道を紀子は理解しているようでした。

「母さんや遥香に迷惑かけたくないんだ」と言って紀子の元を去っていく秀一。

「17歳の殺人」は、本作の原作本が発表された当時の社会問題の一つとなっていたものです。

ラストシーンは、ロードレーサーで疾走する秀一に、映画を観ている者が「それだけはどうかやめてほしいと思わせる」ものでした。



ただ、幸せな家庭を壊したくなかっただけ。

ただ母と妹を守りたかっただけ。



それだけを祈った少年の心が、ただ、ただ切ない…そんな映画でした。


Amazonプライム・ビデオ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA