今まで様々な事件で、洗脳された人々の事件が報道されています。
有名なところでいえば「北九州監禁殺人事件」「尼崎事件」、「オウム真理教事件」なども『洗脳』が事件の原因となっています。
どうして、こんなことになってしまうのだろう…と、毎回感じていました。
そして、みなさんも「自分は洗脳なんてされない」と思われているのではないでしょうか。
私は絶対洗脳なんてされない
私は、様々な事件の記事や報道を見て、いつも不思議でたまりませんでした。
なぜ、そんなことになってしまうのだろうと。
「私は絶対洗脳なんてされない」と思っていました。
しかし、最近では友人の「恋愛相談」を聞いているときなども、『小さな洗脳』を感じることがあります。
彼氏の言うことがどれほど理不尽でも、好きになってしまったらそれが正しいことだと思い、言いなりになっている人がいます。
どれだけ周囲が注意しても、聞く耳を持ちません。
それも、一種の洗脳と言えるのではないでしょうか。
気が付いたときにはすでに遅く
私の身の周りでも、一度、後から考えたらあれは『洗脳』されていたのではないかと思う出来事がありました。
以前に働いていた職場でのことです。
若く可愛い女性は優遇されて当然
IT関連企業の事務センターで働いていたときのことです。
大きな事務センターで、全体で700人くらいのセンターでした。
私がいた部署は15人くらいの女性だけの小さな部署。
年齢は20代~60代までさまざまでしたが、一人、30歳の渡辺満里奈似の派遣社員の女性(A子)がいました。
彼女は、10代のとき、大手芸能事務所主催のアイドルコンテストの最終選考まで残った(本人談)という可愛い人でした。
私も、可愛い人だなと思っていましたし、ちょっと嘘つきなこと以外は性格も悪くはなかったような気がします。
A子さんは、今まで働いてきた派遣先で、いつも特別扱いをされてきたようです。
と、いうより特別扱いしてくれない職場は、即日退職していたようです。
しかし、この事務センターは、おそらく今まで以上に可愛い子を特別扱いする職場でした。
A子さんは、正直に言うと、本当に仕事が全くできない人でした。
派遣で、仕事が出来ない人は、普通、契約更新がありません。
A子さんは、全く仕事が出来ないにもかかわらず、更新のたびになぜか時給が少しづつ上がっていたのです。
よっぽど仕事が出来る人以外、ほとんどの人が全く上がらないにもかかわらず。
派遣先上司に直訴
この事務センターでは、二人ペアになって仕事をします。
誰かがA子さんのペアにならなければならないのですが、A子さんがあまりにも仕事が出来ないので、ペアの人がどんどん辞めていきます。
そして、A子さんがミスをするたびに、いつもペアの相方のせいにされてしまうのです。
私が親しくしていたB子さんが、A子さんとペアになる日がやって来ました。
B子さんもとても大変そうでした…。
そもそも、なぜA子さんはそこまで特別扱いだったのか?
A子さんは、社の上層部の一人のお気に入りで、会社の什器類も何度お願いしても買ってもらえなかったものが、A子さんの一声で買ってもらえたこともありました。
私は、B子さんが次の契約更新はしないと聞いて、派遣先の上司Z課長に直訴することにしました。
「なぜ、A子さんだけそこまで特別扱いなんですか?B子さんはA子さんの分まで仕事してるんですよ」
「そうかもしれないけど…。A子さんは〇〇常務に気に入られているから、みんなもいい思い(什器購入)してるはずだよ。B子さんにはそういう魅力がないってこと。仕事くらいして当然。仕方ないんじゃないの?」
あきれてものが言えませんでした。
いまどき、こんなわかりやすいセクハラ発言もなかなかないです。
私は、そのまま派遣会社にも相談しました。
しかし、派遣会社にとって、派遣先がお客様であり、派遣社員は一つの駒でしかないのです。
そして、あろうことか、派遣先の上司Z課長と派遣会社は、B子さんを引き止めるために、この話(B子さんには魅力がないという話)をB子さん本人にしてしまったのです。
深い落とし穴に落とされて
B子さんは、派遣会社やZ課長からそれを聞かされて、「私はA子さんみたいに可愛くないから仕事するしかないのよね」とどんなことも我慢していました。
それから、B子さんはあまり悩むことなく、A子さんの分までバリバリ働きだしたのです。
文句をいうこともなくなり、私たちに愚痴ることもなくなっていきました。
リーダー職に
そうするうちに、Z課長もA子さんも、さらに増長。
何も仕事をしていないのに、Z課長はA子さんをリーダー職に抜擢しました。
しかし、Z課長もA子さんが仕事が出来なことはわかっているので、B子さんもいっしょにリーダーになりました。
リーダー職になると、今までより仕事の幅も広がりますし、責任も大きくなります。
他部署とのやり取りも増えます。
そのすべてをB子さんが引き受けることになります。
それでも、B子さんは文句も言わず仕事をしていました。
何度か、私たちがもう一度派遣会社かZ課長に話してみようか?と言っても、「私は仕事するだけしかできないから」と…。
胃潰瘍から吐血
ある日、お昼休みの後、B子さんが真っ青な顔をしてトイレに行ったまま帰ってきません。
みんな心配してトイレに行って声を掛けましたが、「すぐ戻ります」と。
トイレから戻ったB子さんのブラウスの襟に血がついていました。
吐血したようです。
B子さんは、重度の胃潰瘍でした。
そして、2週間休んだあと、一旦は復帰したのですが、結局退職することになりました。
Z課長は、リーダー職をA子さん一人に任せることにしました。
それと、〇〇常務が東京に異動になったことも重なって、A子さんは契約更新を撤回し、なんと二週間前に退職を申し出ました。
〇〇常務がいなくなったら、大きなミスをしてもかばってくれる人はいませんし、リーダー職を一人でこなすことなどA子さんには、絶対できなかったからです。
これだけ、自分勝手に生きられるA子さんが、ある意味うらやましい。
退職の理由は、母の介護のためと言っていましたが、A子さんのお母さんはまだ50代前半で、最近ホストクラブにハマっていると言っていたばかりです。
Z課長も、まんまと騙されてしまいました。
しかし、誰も気の毒だとは一切思いませんでした。
まるで自分が被害者かのように言っていましたが、Z課長が言った不用意な一言が招いたことです。
馬鹿丸出しとはこのこと。
呪いの言葉で洗脳されて
B子さんは、呪いにかけられていたのだと思います。
「あなたは可愛くないから可愛いA子さんの分まで仕事をして当たり前」
この呪いの言葉に洗脳されていたのだと思います。
B子さんは、この状態で4年も働いていたのです。
先日、B子さんに会いましたが、退職後、うつ病を発症していたこともわかりました。
今も、治療中だそうです。
そして、未だに、A子さんから連絡が来るようです。
そのたびに、気持ちが落ち込み、涙が止まらなくなると言っていました。
着信拒否にすればいいのにと言っても、B子さんは、なぜかそれができないのだと言います。
心療内科の先生からも、その人(A子さん)には絶対に会わないようにと言われているそうです。
いつか、B子さんの心が、A子から解放される日が来ますように。
最後に
私が間近で見た、一つの「洗脳」について書いてみました。
人は、わりと簡単に洗脳されてしまうものだと思います。
特に、女性はコンプレックスを持っている見た目の美しさについて持ち出されると、弱いです。
私もB子さんの立場だったら、同じようになっていたかもしれません。
ただ、もっと早く、B子さんの変化に気づいてあげていれば…と今となっては後悔ばかりです。