こんにちは。
はるき ゆかです。
映画「レッド・ファミリー」の感想です。
北朝鮮の工作員が韓国にスパイにやって来て、家族を思う気持ちは自分たちと同じだと気付かされます。
初めは少し笑いながら観ていましたが、ラストシーンは救いはあるもののやはり胸が痛みます。
「レッド・ファミリー」 はじめに
誰もが羨む一家の正体は__。北朝鮮スパイが演じる、ニセ一家が迫られる究極の選択に笑い、驚き、息をのみ、そして嗚咽する!誠実な夫、美しい妻、優しい祖父、愛らしい娘。人も羨む理想の家族。しかし一度家に入れば全てが一変。妻役をリーダーに、祖国の為に非情な任務を遂行する、北朝鮮のスパイチーム。”資本主義の馬鹿どもが”と罵りながらも、喧嘩をしたり笑い合うお隣〈ダメ一家〉の自由な様に、スパイたちは淡い憧れを抱き、瞼の家族像を重ねていく__。そんな中、祖国の家族の犯した重罪が故に追い詰められていくスパイたち。リーダーは、名誉挽回、スタンドプレーに走るも、逆に大失態を犯してしまう。絶体絶命の4人に下された指令は「隣の家族の暗殺」だった_。全てを覆すべく彼らが仕掛けた、切ない芝居とは_?誰もが羨む一家の正体は__。(C) 2013 KIM ki-duk Film. All Rights Reserved.
[引用元]Amazonプライムビデオ「レッド・ファミリー」あらすじ
登場人物
ベク・スンヘ/キム・ユミ
オ・ミンジ/パク・ソヨン
キム・ジェボン/チョン・ウ
チョ・ミョンソク/ソン・ビョンホ
北朝鮮の工作員

母親役のスンヘ、父親役のジェボン、娘役のミンジ、祖父役のミョンシクは、北朝鮮のスパイで家族のふりをして韓国に入国しています。
美しいスンヘ、穏やかなジェボン、可愛いミンジ、優しいミョンシク。
一見、どこから見ても理想的な家族です。
リーダーはスンヘ
しかし、家の中に入ると一転、リーダーのスンヘは、外でのスパイとしての不適切な行動について厳しく避難し、反省を促します。
映画の冒頭は、「北朝鮮のスパイってこんなに厳しいんだ」…と、改めて考えさせられたりもしますが、少し笑いもあります。
この家族はニセ家族なので、それぞれが祖国に家族を置いて韓国に来ているのです。
厳しい上からの命令
既に、韓国に潜伏している北朝鮮のスパイは大勢いて、スンヘたちに厳しい任務を命令してきます。
早々に国境の写真を撮り、車で事故を起こし(これは何のためなのか…)、任務は一応成功したようです。
失敗すると、すべて上に報告されます。
北朝鮮のスパイは、どうしてこのようなことをする必要があるのだろうと思います。
人の命を奪ったり、お互いを傷つけ合うことにどんな意味があるのでしょうか。
暗殺の司令
ある日、上から一つの司令がおります。
脱北者で、北朝鮮の記事を書いている記者の命を奪えというものです。
リーダーのスンヘがおびき出し、夫役のジェホンが実行することになりました。
美しいスンヘがその脱北者の書いた記事に興味あると言い、夜の公園に連れ出すのです。
そこにジェホンが現れ、針金で首を締めようとするのですが失敗し、祖父役のミョンシクが鎖を使って実行し成功。
その結果を写真に取るのが、娘役のミンジ。
ジェホンは失敗しましたが、司令自体は成功したので今回の失敗は見逃してもらえることになりました。
しかし、スンヘのビンタ炸裂です…。
2つ目の司令は、脱北者3人家族の命を奪うことです。
みな、家族が目に浮かんで出来ないというのですが、スンヘは私が模範を見せると言います。
スンヘにも祖国に子供がいます。
そして、スンヘは赤ちゃんに手を出すことがどうしても出来ず、ミンジが代わりに…。
こんな悲しいことがあるでしょうか。
このシーンは、本当に観ているのが辛いシーンでした。
スパイたちは、みな、祖国の家族のために司令を全うしているのですが、まるで家族が人質のようです。
心情を吐露するミョンシク
ミョンシクは、もう40年も家族と自分が幸せになるためにスパイをしています。
しかし、ときどきそれを疑問に思うことがあると言います。
自分に韓国に行けと司令を出した人も、もう既に亡くなっていて…。
ただ、北朝鮮にいる家族の安全のために働いているのです。
何か少しの失敗があったら、必ずすぐに全員が「家族に罰を与えないでください」と言うのです。
大切な家族
北朝鮮、韓国、どちらも家族を思う気持ちは同じです。
隣の資本主義の馬鹿ども
スンヘたちの家の隣に住んでいるのは、両親、祖母、息子の4人家族です。
両親は、下らないことでいつもケンカばかりしています。
しかし、お互い言いたいことを言い合い、自由で楽しそうです。
息子のチャンスは、いじめを受けていて、ある日、ミンジに助けられます。
ミンジは、とても可愛い女の子ですが、訓練を受けているのでものすごく強いのです。
可愛いミンジをチャンスは、ちょっと気になっているようです。
韓国では恋も自由です。
祖国の家族
ニセ一家は、それぞれ祖国に家族を置いて韓国に渡ってきています。
食事に関しても、今自分たちが韓国で食べているものは祖国の家族たちを思うと贅沢なもので、どうしても罪悪感が拭えません。
そして、食事中、会話もなく、祖国の家族を思っているのです。
すると、隣の家から言い争う声が。
出前や出来合いのものばかりを妻が買ってくるので、夫が怒っているのです。
それを聞いた北朝鮮側の家族は、「これが資本主義の限界だ。食べるものを粗末にして!我らは決して堕落してはならない」と戒め合うのです。
確かに、北朝鮮の食糧事情を思えば、夕食が「トッポギとおでんか?」と文句を言う韓国側の家族を避難したくもなるでしょう。
しかし、それこそ「当たり前」の生活のはずです。
トッポギとおでんが悪いわけではなく、家族がお互い遠慮ない関係こそが当たり前の暮らしです。
本当の家族のように
祖父役のミョンシクは、休日にみんなで動物園に行かないか?と提案します。
本当の家族が恋しくて誘ったようですが、ニセの家族なのでみんなあまり乗り気でなく…。
思い思いの休日を過ごしますが、実は、ミョンシクはガンなのです。
スンヘは、それぞれに家族への手紙を書くように言いますが、ジェホンだけは書くことが出来ないでいます。
それは、前回の手紙の返事がまだ来ていないからなのです。
ジェホンの妻は、脱北しようとしていました。
哀しい掟
隣のおばあちゃんの誕生日パーティに誘われるニセ家族。
そして、スンヘは少し飲みすぎてしまいます。
お隣の誕生日パーティを楽しんだニセの家族は、リーダーのスンヘまでが、少しづつ韓国の自由な生活に染まり始めます。
ミンジの誕生日
そして、ミンジの誕生日はみんなでお祝いしようということになります。
その席で、TVをつけると北朝鮮のニュースが流れてきます。
韓国の家族たちは、みな批判的です。
しかし、スンヘたちは、来年には明るい未来が待っている、エジプトやリビアに比べたらずっと治安がいい…など、もちろん、北朝鮮を擁護します。
すると、隣の夫に「まず、人権問題を解決しないと。自由に生きなきゃ」と言われ、スパイたちは黙ってしまいます。
ミンジとチャンスの若い世代は、両者の対話が必要だと言い、平和的に統一すべきだと発言します。
しかし、この会話は、北朝鮮のスパイの上層部に盗聴されていて…。
ジェホンの妻が脱北に失敗
手紙の返事が来ないジェホンの妻は、脱北しようとして捕らわれてしまいました。
スンヘは、それをジェホンには黙ったまま挽回しようとして、有名な脱北者(実は工作員)を独断で処刑してしまうのです。
長い年月をかけて作り上げた工作員の命を奪ったことで、上層部からこのスパイ家族4人を全員亡きものにする司令が出ます。
この4人は、隣の家族と親しくなったため、堕落したのだと断罪されてします。
いつも緊張感と使命感、恐怖に包まれて暮らしている工作員たちがあまりにも哀れで心が痛くなります。
隣の家族を亡きものにせよ
4人が堕落し、工作員として失格となったのは隣の家族の影響でもあるとされ、コードネーム「野うさぎ」は、隣の家族全員を亡きものにせよと司令を出します。
隣の家族を旅行に誘って、そこで全員の命を奪うことを決めます。
そこでも、楽しみ、またケンカする隣の家族を見て、自分たちがどれほど不自由なのかを思い知らされます。
若いチャンスとミンジは、とても楽しそうです。
ジェホンとミョンシク、ミンジは、見張りをしている工作員たちを逆に捕えます。
自分の家族を守るために、他の家族の命を奪うのは間違いだとジェホンは言います。
隣の家族の姿が、4人の工作員の気持ちを変えてしまったのです。
少しづつ人間らしくなっていく工作員たち。
そして、見下していた隣の家の家族たちに好意を持ち始めるのです。
死の間際の芝居
しかし、隣の家族を亡きものにすることが出来なかった4人は結局、工作員たちに捕らえられてしまいます。
そこで、4人は、いつも隣の家族がどうでもいいことで喧嘩していたのと同じ言葉で芝居をします。
自由にお互いに文句を言い、それでも、本当は仲良く大切に思い合っている韓国の家族の風景を演じてみせたのです。
その芝居が終わると、ミョンシクはガンで亡くなり、スンヘは舌をかみ、ジェホンも処刑されます。
ただ一人、ミンジだけは、命を助けられます。
工作員たちも、韓国での自由な生活を味わっているので気持ちがわからないはずはありません。
ニセの家族は、最後に一世一代の芝居をして終わるのです。
最後に
映画「レッド・ファミリー」の感想でした。
冒頭から少しの間はコメディなのかと思っていましたが、最後はとても重いラストシーンでした。
北朝鮮でも若い世代は、お互い話し合って南北統一を望んでいるのではないでしょうか。
子供の飢餓やこういった工作員の厳しい生活、本当に外から見ているのも辛いです。
いつか、平和的に両国の問題が解決することを祈ります。