こんにちは。
はるき ゆかです。
映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」の感想です。
軍指定の「冨屋食堂」は、鹿児島県の知覧飛行場近くで営まれていました。
そこで、特攻隊員から母のように慕われていた鳥濱トメさんと儚く散った特攻隊員の物語です。
「俺は、君のためにこそ死ににいく」 はじめに
昭和19年秋、太平洋戦争で不利な戦況に陥っていた日本軍は、戦闘機に250キロの爆弾を搭載して敵艦に体当たりする特別攻撃隊を編成することとなった。マニラを陥落させた米軍は昭和20年春、沖縄に上陸。鹿児島県の知覧飛行場は沖縄を断固死守する為、439名もの若者たちが飛び立っていくことになった。軍指定の冨屋食堂を構え、若き飛行兵たちから母のように慕われていた鳥濱トメは、二度と帰らない彼らを引き止めることもできず、複雑な想いを胸に秘めながら、慈愛の心で常に彼らを見守り続ける・・・
[引用元]Amazonプライムビデオ「俺は、君のためにこそ死ににいく」あらすじ
【監督】新城卓
【製作総指揮・脚本】石原慎太郎
登場人物
鳥濱トメ/岸恵子
坂東勝次/窪塚洋介
中西正也/徳重聡
河合惣一/中村友也(現:中村倫也)
田端絋一/筒井道隆
金山/前川泰之
鳥濱美阿子/勝野雅奈恵
鳥濱礼子/多部未華子
田端良子/戸田菜穂
子犬を抱いた少年兵

特攻隊員の平均年齢とは、どのくらいだったのでしょうか。
私が心に残っているある特攻隊員の写真は、まだ幼さの残る顔で子犬を抱いている隊員。
本作にもその写真と同様の特攻隊員が出てきます。
河合惣一と子犬
本作には、河合惣一役で、中村倫也さんが中村友也名義で出演されています。
「冨屋食堂」にときどき現れる白い小さな子犬。
河合が「この子、僕が飼ってもいいよね?」トメに聞く横顔は、まるで子供のようです。
中村友也さん、童顔なので余計にそう見えるのでしょうか。
映画の中では19歳とされています。
こんなに若い男の子が、自ら敵に戦闘機で突撃していったのかと思うと本当に胸が痛くなります。
この役には、実際のモデルが存在し、特攻隊員の宮川三郎さんという方だと言われています。
そして、河合惣一は、死んだら蛍になって戻ってくると言って去っていきます。
翌日、「冨屋食堂」の庭に一つのホタルの光が…。
彼は、本当にホタルになって「冨屋食堂」に戻ってきたのです。
このシーンはとても美しく悲しいものでした。
惣一を自分の子供のように思っていたトメさんの切なく悲しい気持ちは、どんなものだったのでしょうか。
ただ、惣一が蛍になって戻って来てくれたことを喜ぶしかなかったのでしょうか。
夫婦の別れ
田端紘一(筒井道隆)には、妻・良子(戸田菜穂)がいました。
最後の夜
良子は、未入籍だったようでどうか入籍だけでも…と泣いて願います。
このシーンも、本当に胸が張り裂けそうになるほど辛いシーンでした。
紘一は、既に自分は死ぬものだと考えていますが、妻にとっては「ただ死なないでほしい」という正直な気持ちがあったと思います。
二人は最後の夜を、トメさんの取り計らいで共に送ることが出来ました。
本作の中では、手紙の検閲や門限のことでトメさんが憲兵に殴られるシーンがあるのですが、何だかもう本当に、どの戦争映画でも憲兵というのは嫌な存在です。
そういう役割だったのだろうとは思いますが、女性を殴るとは…。
朝鮮人の特攻隊員
戦争映画や特攻隊員を描いた作品は、いくつか観ていますが、朝鮮人の特攻隊員が描かれた作品は初めて観ました。
朝鮮の方まで特攻隊員として散って行かれたことは、とても複雑な思いがしました。
映画の中の金山さんは、とても礼儀正しく潔い人でした。
トメさんも、金山さんには特別な思いがあったのかもしれません。
第二次大戦と朝鮮人
本作を観て、第二次大戦と朝鮮人について、もっと深く知りたいと思うようになりました。
この金山さんにも、卓庚鉉さんという実在のモデルが存在するようです。
どんな気持ちで特攻したのか…。
何か本があれば、読んでみたいと思います。
特攻隊員の生き残り
特攻隊として出撃したけれど、さまざまな理由で生き残ってしまう人も多かったようです。
中西正也少尉
中西正也(徳重聡)は、中西隊の隊長で一つの隊を率いていた少尉です。
しかし、特攻した際に、敵の攻撃を受け突撃できず、生き残ることが出来ました。
そして、隊のみんなを逝かせてしまった自分を責め続けています。
よく祖母に聞かされましたが、特攻隊の生き残りの人は本当に気の毒だったと…。
死ぬまで自分を責め続け、お酒に溺れる人も多かったとか。
仲間とともに死ぬつもりだった人が、一人だけ生き残るのは本当に辛いことだったのだと思います。
もちろん、戦争の悲惨さを伝えられる生き証人としてお話を聞かせてもらいたいと後世の人間は思いますが、ご本人の気持ちになったら…。
坂東勝次少尉
坂東勝次少尉(窪塚洋介)は、一旦は特攻に参加しますが生き残り、中西正也率いる中西隊と共に再度出撃します。
幼い弟が、兄の勝次の飛行機を追いかける姿は涙なしには観られませんでした。
しかし、坂東勝次将暉は生き残り、南の島に流れ着き、戦後になってから家族と再会することが出来ました。
映画の中で、坂東少尉のその後については、詳しく描かれていませんが、中西少尉と同様、苦しんだことと思います。
靖國神社の存在
私は、右翼でも左翼でもありません。
ただ、戦争で亡くなった方々の霊が眠る神社の存在はあって当然だと思います。
本作の中でも、靖國神社は、「靖國で会おう」と言い合って特攻していった若者たちの心の拠り所となっていたことは確かです。
二度と戦争はしたくありませんが、靖國神社を否定する気持ちにはなれません。
とてもデリケートな問題なので、この辺りで終わりにしますが…。
最後に
映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」の感想でした。
まだ無名の向井理さんが、端役で出演されています。
やはり、顔が小さくて目立つ俳優さんなんだなと思いました。
本作は、石原慎太郎氏の脚本でもあり、いろんな意味で話題になった映画です。
しかし、いろいろな意見に惑わされず、自分自身で感じたことをもっと深く考えてみたいと思いました。
いくつか観た戦争映画の中でも、本作はいろいろと改めて感じるものがたくさんありました。

俺は、君のためにこそ死ににいく