こんにちは。
はるき ゆかです。
映画「きみの瞳が問いかけている」の感想です。
ラブストーリーというよりも、「赦す」とは「赦される」とは何かを考えさせられます。
あまりにも偶然が重なり、運命を感じずにはいられない二人の愛の物語です。
映画「きみの瞳が問いかけている」感想 はじめに
登場人物
柏木明香里/吉高由里子
事故で両親を失い、同時に自身も視力を失った。コールセンターで働いている。
篠崎塁/横浜流星
児童養護施設で育ち、暗い過去を持っているキックボクサー。アルバイトを2つ掛け持ちしている。
原田陣/やべきょうすけ
塁が所属するキックボクシング・大内ジムのトレーナー。人情味あふれる人柄。
佐久間恭介/町田啓太
半グレ集団・ウロボロスのリーダー。
久慈充/奥野瑛太
半グレ集団・ウロボロスのメンバー。
大内/田山涼成
大内ジムの会長。
尾崎隆文/野間口徹
明香里が働くコールセンターの上司。
坂本晋/岡田義徳
半グレ集団・ウロボロスが経営する闇金に借金をして囚われている男性。
大浦美恵子/風吹ジュン
塁が育った施設の教会のシスター。
【監督】三木孝浩
あらすじ
目は不自由だが明るく愛くるしい明香里(吉高由里子)と、罪を犯しキックボクサーとしての未来を絶たれた塁(横浜流星)。小さな勘違いから出会った2人は惹かれあい、ささやかながらも掛け替えのない幸せを手にした──かに見えた。
ある日、明香里は、誰にも言わずにいた秘密を塁に明かす。彼女は自らが運転していた車の事故で両親を亡くし、自身も視力を失っていたのだ。以来、ずっと自分を責めてきたという明香里。だが、彼女の告白を聞いた塁は、彼だけが知るあまりに残酷な運命の因果に気付いてしまっていた──。
[引用元]「きみの瞳が問いかけている」公式サイトあらすじ
本作は韓国映画「ただ君だけ」のリメイク版とのことです。私は「ただ君だけ」を観ずに、前情報なしで本作を鑑賞しました。
吉高由里子さんの演技が素晴らしく、愛らしい可愛らしさもたくさん楽しむことができます。横浜流星さんは、空手の世界大会で優勝したこともあるという身体能力の持ち主で、キックボクサー役をスタントなしでこなされています。とにかくアクションシーンが素晴らしい。アクション映画にももっと出てほしいです。
映画「きみの瞳が問いかけている」感想
愛の言葉は出てこない
本作は、明らかにラブストーリーではあるのですが、「好き」「愛してる」などの愛の言葉は一つも出て来ません。
本当に自然に、塁と明香里は愛し合い、お互い惹かれ合うのです。
出会いのシーンは、コミカルで吉高由里子さん演じる明香里の無邪気で愛らしい雰囲気が存分に発揮されています。
まだ24歳の塁のことを、「おじさん」だと思っているのですが、出来ることならこの美しい青年を見せてあげたいと思ってしまいました。
あなたの隣にいるのは、美しくて切ないほどきれいな顔をした美青年ですよ!と言ってあげたいw。
ときどき、明香里は「かっこいい?」と塁に聞くのですが、自分でカッコいいとは答えらず無言になり、明香里はひとり悟ったように「そういうことね」と納得します。
明香里は、初めて塁を見たとき、どんな風に感じたのでしょうか。
本作は、吉高由里子さんの愛らしさは勿論ですが、とにかく横浜流星さんが美しい。
くしゃくしゃとした前髪も、いらないものを全てそぎ落としたような頬や身体。
スタントなしで演じられたというキックボクシングのシーンも、本当にしなやかで力強くてきれいなのです。
また、悲しい過去を背負った寂しさや闇を湛えた表情も、素晴らしいです。
どうぞ、私のこんな文章では伝わらないと思いますので、映画をご覧になってみてください!
運命のいたずら
初めて、心から愛した人の運命を自分が不幸に変えてしまったという残酷さ。
ただ、上から指示されてやった「制裁」のために、相手が自ら命を絶ってしまい、その姿を見て驚いた人が事故を起こしてしまう。
そして、その女性を自分の人生をかけて愛することになるとは…。
何もかもうまくいく星の下に生まれた人もいれば、無理心中の生き残りで施設に入り、そこで知り合った素行の悪い人間との関係から罪を犯してしまう人もいて、神様は残酷だなと思います。
本作で、主演の二人以外で印象に残ったのが町田啓太さん。
この養護施設で塁と一緒に育ち、半グレ集団ウロボロスのリーダーとなる佐久間役を演じています。
きれいな顔の人が悪役を演じると、ものすごく迫力がありますね。
そして、悪い奴なのに、カッコいいと思ってしまうのも、何だか悔しい感じですw。
横浜流星さんの切ない美しさに対して、町田啓太さんは「悪」を纏った美しさ。
さらに、佐久間も養護施設で育ったということは、やはり悲しい過去を背負っているということでしょう。
赦されるということ
罪の意識に苛まれているのは、塁だけではありませんでした。
明香里自身も、自分の運転ミスから両親の命を奪ってしまったという罪悪感に苦しめられています。
自身も目が不自由になってしまうのですが、それが罪滅ぼしでもあるかのように思っています。
手術をすれば治るのに、それを今までしなかったのです。
罪を背負うというのはどういうことなのでしょうか。
赦されることとはどういうことなのでしょうか。
自分で自分を赦せなければ、赦されることはないのだと思います。
「椰子の実」の歌と金木犀とオルゴール
明香里は「椰子の実」という歌が大好きで、いつも鼻歌を歌っています。
「自分が帰る場所がある」という歌だから好きなのだといいます。
塁のアルバイト先に、ある植物が置いてありました。
金木犀です。
明香里に「ちゃんとお水をあげて枯らさないでね」と言われます。
金木犀はとても香りがよくて、印象に残ります。
おそらく、今まで植物にそれほど関心を持っていなかったであろう塁が、金木犀を育てようと思ったようです。
ある日、養護施設に帰ったとき、シスターが今みんなでオルゴールを作っているから、塁にも送るねと言われます。
そのオルゴールが、塁がいなくなってから明香里の元に届けられます。
曲は「椰子の実」。
この3つのモチーフが、映画の中で生きてきます。
二人がもう一度巡り合うために、「椰子の実」の歌、金木犀、オルゴールは、なくてはならないものでした。
残酷な運命に翻弄される二人ですが、この3つのモチーフのように、二人を繋げる運命も二人はしっかりとつかんでいたのです。
映画「きみの瞳が問いかけている」感想 最後に
映画「きみの瞳が問いかけている」感想でした。
切ないラブストーリーの側面もありますが、本作は、犯した罪を赦されるとはどういうことなのかを問う映画だったと思います。
俳優陣の演技も素晴らしく、何度も涙を流すシーンに出会いました。
どうぞ、ご覧になってみてください。
おすすめの一作です。
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