映画「残穢 ー住んではいけない部屋ー」感想|主演・竹内結子 ジャパニーズホラーの最高傑作

こんにちは。

はるきゆかです。



映画「残穢ー住んではいけない部屋ー」の感想です。

物語が静かに流れていくのが、とても怖い。

残酷なシーンやスプラッター映画のような大量の血が流れるシーンなどは、ほとんどありません。

だからこそ、想像力を掻き立てられ恐怖は増幅する…。

映画「残穢ー住んではいけない部屋ー」感想 はじめに

あらすじ

「私」は、小説家。
現在、読者から送られてくる心霊体験を元に短編小説を書いて、それをホラー雑誌に連載している。
しかし、心霊現象というものを信じてはいない。そんなある日、一人の女子大生から奇妙な手紙が届いて…。

登場人物

/竹内結子
小説家。ホラー雑誌に連載を持っている。読者から実体験を募集し、それをもとに短編を書いているが、心霊現象をあまり信じていない。ある日、一人の女子大生の読者から手紙が来て…。

久保さん/橋本愛

大学で建築学を学ぶ女子大生。ミステリーサークル所属。一人暮らしを始めた部屋で奇妙なことが起こり始め、「私」に手紙を出す。

私の夫/滝藤賢一

「私」の夫。ホラー作家だが、全く心霊現象などは信じていないリアリスト。

平岡芳明/佐々木蔵之介

作家。心霊現象について詳しい。調査能力が高い。

三澤徹夫/坂口健太郎
心霊コレクターの青年で、平岡が「私」に紹介した人物。

山本くん/成田凌
安い家賃で借りられるからと、平気で事故物件を借りているイマドキの青年。

【監督】中村義洋

【原作】小野不由美

映画「残穢ー住んではいけない部屋ー」感想 

家ではなく土地

本作は、小説家の「私」(竹内結子)が、読者から届いたある一つの怖い話を小説として書き上げ、編集者に渡すところから始まります。

そして、この怖い話はその読者が子供のころ住んでいた九州のある一軒家での話で、その家には「河童」がいるという物語。

その家には決して入ってはいけないと言われている部屋があって…。



この物語が本作の中核をなし、さらに恐怖の物語へと誘われていきます。



次の物語を書くための読者からの手紙を編集者から受け取る「私」。

そこに、これから始まる物語の元になる一通の手紙がありました。

手紙の送り主は、都内の大学の建築学科に通う女子大生「久保さん」(仮名)(橋本愛)です。

「久保さん」は学生寮に住んでいたのですが、最近一人暮らしを始めたばかりです。

築10年の賃貸マンションで憧れの一人暮らしを始めた「久保さん」ですが、自分しかいないはずの部屋に誰かがいるような気がすると言うのです。

「久保さん」が住むマンションには、和室があります。

そして「久保さん」は、その部屋で畳に何かが擦れる音がするような気がすると言うのです。

彼女のイメージは「やつれた女性が、箒で畳を掃いている」ような音…。

自分しかいないはずの家の和室から「何か音がする」というのは、それだけでゾクリとします。

それも、「久保さん」が和室から目を離しているときにだけ音が聞こえるのです。



畳の部屋がない家に住む人が多い昨今ですが、珍しく若い女の子が住む部屋に和室があるというのも、「久保さん」が建築学科の学生だからかもしれません。

畳って、何だか怖くないですか?

私の家も和室が一つだけありますが、その部屋は他の部屋より何となく怖い。

掛け軸、いつ買ったかわからない古い置物、花瓶、古い扉付きの本棚、和箪笥。

最近ではあまり見かけない和風なものに潜んでいる恐怖は、誰もが感じたことがあるのではないでしょうか。



そして、ある日、「久保さん」は見てしまうのです。

また、畳をするような音を聞いて部屋の扉を開けると、畳の上を着物の帯がするりと動いていくのを。

「久保さん」が感じたのは、着物を着た人が帯締めを解いてこの部屋で首を吊って亡くなったのではないかということです。

着物は帯締めを解くと、長くだらりと下がってしまいます。その帯が畳にすれて音がしている…。

「私」は、この話をどこかで聞いたような気がして、以前読者から届いた手紙に同じようなものがあったことに気づきます。

住所を見ると、「久保さん」と同じマンションの住所が書かれていましたが部屋は違いました。



実話怪談のセオリーからすると、「以前の読者が引っ越した後「久保さん」が同じ部屋に住んでいてその部屋で着物を着た女性が首を吊って命を絶っていた事実があったために、このような現象が起きた」ということになるのですが、そうではないのです。

部屋の号数は違うし、同じ階でもなく、上下左右の部屋でもない…。

それなら、何故同じ怪奇現象が起こっているのか。

念のため、「久保さん」は、不動産会社に以前自分の住んでいるマンションで誰か亡くなっていないかを聞くのですが、自殺や事故死など一切ないということでした。



「私」はこの以前の読者と「久保さん」が体験したことの符合に、興味が湧いてきました。

「久保さん」が建築学科の学生ということもあり、この土地の歴史を調べているという名目で「私」と一緒に、昔からこの地に住む人を訪ねることにしました。

「私」と「久保さん」は、マンションが建つ10年前より以前から住んでいた人の話を聞くことが出来ます。

このマンションが建つ前には一戸建ての家が4軒ほど建っていて、その前、さらにその前と遡って調べ始める「私」と「久保さん」。

そこには、多くの奇妙な出来事や事件が起こっていることがわかって…。

「久保さん」の経験した怪奇現象は、マンション自体ではなくその土地自体に問題があったのです。

ついてくる

「私」は、同業者の平岡芳明(佐々木蔵之介)や心霊コレクターの三澤徹夫(坂口健太郎)の協力を得て、この心霊現象の大元を探っていくことになります。

そして、結果、映画の冒頭の「河童」の話に繋がっていくのです。

この河童がいる家の物語は九州で起こったことですが、「久保さん」のマンションは東京郊外。

繋がっていた恐怖の物語。

「河童」の話の前から繋がって来る恐怖譚は、様々な悲劇を生みながらドンドン増殖していくのです。



「私」は、同じ小説家の夫と家を新築する予定です。

事実を知った「久保さん」も引っ越しをします。

しかし、一度、この連鎖に関わってしまった人には不幸をもたらす怨念が渦巻いていました。



本作の恐怖は、ただ単にマンションでの恐怖にとどまらず、その前の家、またその前の住人の不幸と怨念をはらみ、「ついてくる」というところです。

得体のしれない黒い影や昔の新聞記事などに恐怖が溢れている本作。

決してスプラッタームービーではなく、誰もが巻き込まれる可能性がある日常の恐怖や不安が織り込まれています。

日本には「リング」「呪怨」など名作ホラー映画がたくさんありますが、本作は残酷なシーンもほとんどないのですが、私はジャパニーズホラーの最高傑作だと思います。

前から本作が怖い映画だと聞いていたのですが、久しぶりに本当に怖いと感じた映画でした。

怖いもの

今、引っ越しをするときには「大島てる」という事故物件サイトを確認する人が多いと言われています。

私も先ほど自分の家の近くの🔥マークを見てみたのですが、ちょっと驚きました。

3つほどは、私も知っていた新聞にも載った事故や事件の場所もありましたが、全く知らなかったものもありました。

そして、本作の山本くん(成田凌)のように事故物件は安く借りられるからと、知っていて借りる人も多いようです。

しかし、自分が今住んでいる場所で起こった事故や事件がそこだけのものならいいのですが…。



家やマンションが新築でも、その土地に渦巻く怨念はとどまり、そこに関わった人に派生していく恐怖。

ぜひ、心理的に怖いホラー映画がお好きな方におすすめの映画です。

静かにじわじわとくる恐怖を味わってみてください。

映画「残穢ー住んではいけない部屋ー」感想 最後に

映画「残穢ー住んではいけない部屋ー」の感想でした。

久しぶりに本当に怖いと思う映画を観ました。

誰に同じことが起こってもおかしくない物語です。

心霊現象など信じない人も、本作を観たらきっと背筋が寒くなると思います。

いつ自分自身がこの恐怖に巻き込まれるかなど、誰にもわからないから。


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