映画「あゝひめゆりの塔」 感想|忘れてはならない戦争の悲劇

こんにちは。

はるき ゆかです。



映画「あゝひめゆりの塔」の感想です。

ひめゆりの塔に関する映画はドミュメンタリー作品を加え、6本が作られていますが、本作は吉永小百合さんが主演した1968年公開の映画です。

戦後24年経った1968年当時の若者の風俗を描いたあとで、本作は始まります。

今年は、戦後75年。

忘れてはならない悲劇が、沖縄で起こっていたのです。

「あゝひめゆりの塔」 あらすじ

日活青春映画を代表する青春コンビによる戦争の悲劇を描いた大作。太平洋戦争末期の沖縄で、軍に協力を余儀なくされた学徒たち。彼女たちの青春と、それを引き裂く戦争の悲情さ。冒頭とラストには1968年当時の若者風俗を織り込み、そこから戦時中を回想していく構成になっている。

[引用元]Amazonプライムビデオ「ああ、ひめゆりの塔」あらすじ

【監督】舛田利雄

登場人物

与那嶺和子/吉永小百合

比嘉トミ/和泉雅子

仲地/東野英治郎

泉川/藤竜也

照喜名秀雄/二谷英明

西里順一郎/浜田光夫

与那嶺ハツ/乙羽信子

主人公の与那嶺和子(吉永小百合)は、沖縄師範学校女子部の生徒です。

教師になるために、日々努力をしている聡明で真面目な美しい女の子です。

彼女の母親(音羽信子)も、教師です。

ひめゆり学徒隊

1944年12月。

ひめゆり学徒隊とは、沖縄で日本軍が行った看護訓練によって作られた、女子学徒隊の沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一高等女学校の生徒たちの名前です。

通称ひめゆり部隊、ゆめゆり隊とも言われています。

対馬丸事件

本作では、与那嶺和子の母で教師のハツ(乙羽信子)が、学童を引率して那覇から長崎へ集団疎開する際に乗った船です。

対馬丸は、アメリカの潜水艦ボーフィンに攻撃を受け、沈没してしまいます。

この事件で、ハツと共に、学童たちの多くが亡くなっています。



これが、事実に即したものかどうかはわかりませんが、対馬丸事件自体は実際に起こった事件です。

本作の中で、この疎開した児童たちの可愛らしいエピソードも描かれているので、それを思うと胸が痛みます。

壮絶な負傷兵の看護

沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一高等女学校の生徒は、沖縄戦で負傷した兵士の看護を行っていました。

銃撃戦、爆撃などで、手足を失った兵士を懸命に看護する姿は、看護訓練を受けているとはいえ、今の時代から考えると信じられないほどの勇気だと思います。

本作では、ひめゆり部隊の女生徒や沖縄師範学校男子部の生徒たちの多くが亡くなるシーンがあります。

和泉雅子さん演じる比嘉トミは、両足を爆撃で失い、自力で歩けない兵士たちともに、青酸カリ入りの牛乳を飲んで自決します。

トラックで運んでもらえるはずだったのですが、足手まといになると思ったのでしょう。

そして、校長先生が命懸けでひめゆり部隊解散の命を受けてきてくれても、誰一人としてそれを喜ばないのも、戦争の怖ろしいところだと思います。

彼女たちは一学生であり、女性です。

兵士ではないのです。

しかし、目の前で多くの人が亡くなり、自決するのを見て、自分たちが生きていることを罪のように感じているのです。

「死ぬことこそが自分たちの使命」だと思っているかのように。

若い女の子なのに、この潔さや勇気はどこから来るのでしょうか。

この頃の若者がこれほど「お国のために」と働き、死んでいったのは、当時の教育のせいだったのでしょうが、ある意味「洗脳」とも言えるでしょう。

兵士でさえ、気がふれるような状況で、彼女たちは看護を続けるのです。

鬼畜米英である米軍兵士を信用しない

主人公の与那嶺和子と彼女を姉のように慕う久子は、何とか最後まで生き残ることが出来たのですが、結果は主榴弾による自決でした。

日本が敗戦し、米軍が沖縄に入って来たとき、「戦争は終わりました。食べ物をあげます。日本のみなさん、私達はあなたたちを待っています。出てきてください」と片言の日本語でアナウンスされます。

生き残った和子と久子は「あんなこと嘘よ」と信用せず、若い命を散らせます。



米英国の兵士は、鬼畜。

そう教えられてきた彼女たちには、自決するしか道はなかったのでしょう。

本作は、吉永小百合さん主演ということもあり、もう少しソフトな戦争映画だと思っていたのですが、全く違います。

とにかく、爆撃シーンの怖さといったら…。

しかし、映画でここまでの残酷さが描かれているのですから、現実はもっと悲惨なものだったのだろうと想像が出来ます。

モノクロ映像が示すもの

1968年当時は、すでに映画はカラー作品でした。

しかし、本作はモノクロです。

モノクロでなければ、映像があまりに悲惨であったからだと思います。

どの戦争映画を観ても思うことですが、戦争は本当に悲しく虚しい。

特に第二次世界大戦での日本人は、一般市民までもが我先に死に急いだ戦争だったと思います。

最後に

映画「あゝひめゆりの塔」の感想でした。

本作は、想像以上にとてもリアルに戦争の悲惨さを描いた作品です。

爆撃シーンなど、当時としてはかなりたいへんな撮影だっただろうと思います。

本当なら、教師となり、結婚して子供をもうけ、幸せな人生を歩むはずだったひめゆり部隊の少女たち。

改めて戦争の悲惨さ、残酷さ、そして虚しさを感じました。

ぜひ、ご覧になっていただきたい作品です。




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