【育児放棄】ネグレクトの傷跡がどれほど根深いものかを知って

家族

先日、俳優のAさんが、子供の頃のネグレクト(育児放棄)の影響で、家庭を持つことに自信が持てず極秘別居結婚をしていたことが報道されました。

いくつかのTVのトーク番組で、Aさんが自分の子供の頃の話をされているのを観ました。

そして、それは、想像していた以上に壮絶なものでした。

ネグレクトの実態を知って

私はライターの仕事もしているのですが、その仕事の関係で「児童虐待」「ネグレクト(育児放棄)」に関する本を何冊か読んでいます。

ネグレクトは、「ご飯をまともに食べさせてもらえない」「お風呂に入れてもらえない」「親が何日も家をあけて、子供だけにする」…など、とても悲惨な現状が書かれていました。

しかし、正直に言うと、その被害者である子供たちの「顔」が見えない分、ノンフィクションであることはわかっているのですが、どこか現実に起こったことだということが私の中ではっきりと認識できていなかったようです。

それが、実際に俳優として活躍している人の経験として聞くことで、その悲惨さを実感として感じることができました。

 

私は、俳優Aさんの舞台を何度も観ています。

「港町純情オセロ」「金閣寺」「カッコーの巣の上で」「乱鶯」など、他にもドラマや映画も。

とても素晴らしい個性的な演技をされる俳優さんで、好きな俳優さんの一人でもあります。

 

いくつかのトーク番組で、Aさんの子供の頃の話を聞いて、ネグレクトが私にとって「現実」のものになったと言ってもよいと思います。

Aさんの父親は、小学三年生のときに蒸発(関西で放送されていたある番組では友人の借金の保証人になったと言われていました)して、母親もまた中学二年生のときに家に帰ってこなくなりました。

父親は亡くなられているようですが、母親とは今も交流はないようです。

母親の蒸発は、少しづつその兆候が現れ、始めは一日、三日、一週間…と不在が長くなり、階段の上にお金を置いて家をあけていたようですが、結局帰って来なくなったそうです。

 

Aさんは、家にある小銭をかき集め、駄菓子を買ったり、担任の先生に菓子パンをもらって食べたりして空腹をしのいでいたようですが、その後、親戚の家に引き取られることになったようです。

高校もきちんと卒業し、卒業と同時に上京し、あるタレントオーディションでグランプリを受賞します。

家庭を作ることが怖い

今回の極秘別居結婚について、Aさんは「家庭を作ることが怖かった」というコメントを残しています。

Aさんにとって、『家庭』というものは「いつか突然、壊れてしまうもの」という感覚があったのかもしれません。

これだけ悲惨な幼少期を送っていたのであれば、そう考えてしまっても仕方がないのかもしれません。

ネグレクトがどれほど、人の心に大きな傷を残してしまうものなのか。

おそらく同じ経験をした人でなければ、本当に理解することはできないのだと思います。

 

Aさんの極秘別居結婚にたいして、SNS上では、多くの非難の声が上がったようです。

それには、ある人気女優さん(今は別の方と幸せに結婚されています)とお付き合いしながら、極秘結婚をしていたからだと思います。

「自分の家庭が崩壊していたから家庭を持つが怖いといいながら、三人も子供つくるなんて」

「つき合ってる人がいながら、別の人と極秘結婚するなんて考えられない」

「子供の頃、ネグレクトにあっていたのに、子供を奥さんに押し付けて、言ってることとやってることが違いすぎる」

などの意見があがっていたようです。

 

しかし、Aさん自身がネグレクトにあっていたからこそ、このようなことになってしまったのではないかと、私は思いました。

これもある意味で「連鎖」なのだと思います。

Aさんは30代半ばです。

その年齢まで引きずってしまうほど、ネグレクトの傷は深いものなのでしょう。

 

もちろん、非難されても仕方がない部分はあると思いますが、Aさんを強く責めることはとても酷なことです。

そして、コロナ禍の中、そして関わったある作品のおかげで、Aさんは家族と暮らすことを決心したそうです。

これを「身勝手」と切り捨ててしまうことは簡単ですが、私はAさんが子供の頃のネグレクトという経験から、今やっと立ち直ろうとしているところなのだと思いました。

 

舞台で観たAさんの演技は、本当に素晴らしいものでした。

いろんなご意見があるとは思いますが、私は、俳優としてAさんを応援したいと思っています。

幸せを願う

児童虐待を受けていた人の全てに、「虐待の連鎖」が現れるわけではないことはわかっています。

私は、今までそういった事件に触れるたびに、「虐待を受けていても立派に生きている人もいる。それは言い訳に過ぎない」と、感じてきました。

ネグレクトを受けていても、子供の世話をきちんとしている人も、もちろんいます。

しかし、さまざまな児童虐待による子供が被害者となる事件の本を読むと、その子供たちの親の多くもまた虐待を受けていた過去があると言われています。

もちろん、Aさんの今回のことを全面的に肯定するつもりはありませんが、今、やっとAさんにも家族ができ、幸せになろうとしているのです。

 

Aさんが、これからご家族と一緒に幸せに暮らしていかれることを、心からお祈りしています。

最後に

ネグレクトを受けた人の心の傷の根深さについて、考えたことを書きました。

家族については、いろんな考え方があると思いますが、やはり、家族は幸せの根幹となるものの一つです。

私には、もう家族はいませんが、家族との思い出が私を支えてくれています。