映画「マイ・マザー」感想|17歳の少年の母への愛と憎悪

こんにちは。

はるき ゆかです。



映画「マイ・マザー」の感想です。

主演のグザヴィエ・ドランは、本作で監督、脚本もつとめています。

思春期の頃の息子と母親の確執と苛立ちを描いた作品です。

「マイ・マザー」 あらすじ

カナダ・ケベック州の何の変哲もない小さな町で暮らす17歳のユベール。かわりばえのしない毎日をやり過ごす彼は、毎日のように何かと口を挟んでは自分をコントロールしようとする母親に苛立つ。やがて母親に対するイライラは激しい憎悪へと変化していく。(C)2009 MIFILIFILMS INC

[引用元]Amazonプライムビデオ「マイ・マザー」あらすじ

【監督】グザヴィエ・ドラン

【出演者】グザヴィエ・ドラン アンヌ・ドルヴァル フランソワ・アルノー

ユベールと母の確執

赤ちゃんの手

主人公のユベールは、17歳の少年です。

離婚した母と二人暮らしなのですが、母は何かとユベールのすることに口を出します。

しかし、母として息子を心配するから…と思う反面、少し口うるさ感じ。

親子だからこその相手の気持ちを全く顧みないほどの言い合いが、本作の中に何度も出てきます。

ユベールは、自分のことをあまり母に話しません。

自分がゲイであることも、母には話していないのです。

ユベールの恋人のアントナンの母親はリベラリストで、広告代理店を経営しています。

ユベールの母は、ユベールがゲイであることをアントナンの母親から聞くことになります…。

そのときのユベールの母親のプライドを傷つけられたような顔が、とても印象的です。

ユベールの母親は、仕事が忙しいことやTVを観るのが好きで、ユベールの話を上の空できいているので、ユベールが相談したこともすぐに忘れてしまいます。

ユベールは、それについても苛々を募らせていきます。

母親は、ユベールのことをまだまだ「子供」だと思っているのでしょう…。

ユベールが、一人暮らしをしたいと言ったときも、母親は適当に話を聞いているようで一旦OKするのですが、あとから「16歳で一人暮らし」は早いと言い出します。

ユベールはアントナンと共に家の下見までしてきているのに。

寄宿学校へ

ユベールは、国語の成績はとてもいいのですが、それ以外はひどいもののようです。

そして、アントナンとのこともあってか、両親によって、ユベールは寄宿学校に入れられることになります。

ユベールは、自由のない寄宿学校に行くのを拒否しますが、結局は両親の言うことを聞きます。

ユベールの気持ちが母によって壊されてしまうことを、お皿やガラスが割れることを想像することで表わされている場面が多く出てくるのですが、とても理解しやすく、象徴的に表現されています。

ユベールの母は、とてもせっかちで、すぐにユベールを置き去りにします。

そこも、何だかとてもユベールが寂しい気持ちになってしまう原因の一つなのではないかと思いました。

ユベールの母

ユベールの母は、とても気が短く、相手や場の空気を読まず、怒鳴り散らしてしまう人です。

ユベールが教師に「母は死にました」と言ったために(学校で親の職業調査がありました)、学校に乗り込んできて怒鳴ったり、寄宿学校の校長からユベールが失踪したことを知らされたときも、相手を口汚く罵ります。

こういう母親とつきあっていくのは、大変だろうな…とユベールに同情します。

しかし、ユベールは結局は不満を持ちながらも母の言うことを聞いてしまいます。

お互いに、憎悪を持ちながらも、やはり愛情も持っているのかもしれません。

そして、母親の食事の仕方についての表現で、ユベールの気持ちが象徴的に描かれています。

食べ方が、かなり品がないのです。

パンを食べるときにも、口の周りにクリームかバターを付けたままであったり…。

ユベールは、それに対しても、かなり不快感を表しています。

母親は、スナック菓子を食べながらTVを観るのが好きで、あまりユベールの話を聞こうとしません。

そして、映画の中で、ユベールのセリフの中にも出てくるのですが、母の洋服のセンスがかなり悪趣味

ヒョウ柄やリボンとビーズのついたピンクのセーターなど、ちょっと大阪のおばちゃんっぽい感じw

私も大阪人ですが、ちょっとこれはないな…と感じました。

ユベール役を演じたグザヴィエ・ドランは、本作では、若干20歳で主演、監督、脚本まで担当しています。

そのため、母との関係は、彼自身の経験を投影しているのではないかと想像してしまいます。

グザヴィエ・ドランは、ルックスも美しく、素晴らしい才能の持ち主だと思います。

ぜひ、他の作品も観てみたいと思います。

しかし、映画のいくつかのモノクロの場面で、ユベールの独白があります。

そのシーンの意味が最後に明かされるのかを期待して見ていたのですが、それがなかったのが少し残念な気もしました。

あくまでも、これは私個人の勝手な期待感ではありますが…。

ユベールと女性教師

落ち葉と本

そんなユベールですが、学校の女性教師・ジュリーは、ユベールの良き理解者です。

ユベールの文学的才能を認めてくれ、いろいろな相談に乗ってくれるのです。

しかし、寄宿学校に通うことになったユベールは、ジュリーとの関係も奪われてしまいます。

二人の関係はとても素敵なものでした。

ジュリーは、ユベールの心の拠り所だったと思います。

最後に

映画「マイ・マザー」の感想でした。

母と子供の関係は、いつの時代もどこにでもある問題なのだと思います。

映画の中で、何か衝撃的なことが起こることはありませんが、それだからこそリアルな親子関係を描いた映画だと思いました。

映画の感想は、分かれると思いますが、私にとってはいろいろ考えさせられる映画でした。


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マイ・マザー(字幕版)