映画「ディス/コネクト」感想|SNSで傷つけられた人々が現実の世界で

PCとタブレット

こんにちは。

はるき ゆかです。



映画「ディス/コネクト」の感想です。

SNSで傷つけられた人々が、現実の世界で触れ合うことで癒されていく物語です。

今の社会では、なくてはならないインターネットですが、そこには危険が潜んでいることを常に心に刻んでおく必要があるようです。

「ディス/コネクト」 あらすじ

SNS

SNSで起きた嫌がらせが原因で、自殺未遂を起こし意識不明の少年。父親は息子の自殺の原因が全くわからない。嫌がらせを起こした少年は、父親に愛情を感じることができず、鬱屈した思いを抱えていた。その父親は元刑事で、今はネット専門の探偵。二組の親子を中心に、つながりを求めインターネット上を彷徨う人々が、ある事件をきっかけに目の前にいる大切な人と、心と体をぶつけ合い絆を取り戻そうとするが…(C)DISCONNECT, LCC 2013

[引用元]Amazonプライムビデオ「ディス/コネクト」あらすじ

女性ジャーナリストのネタ探し、ちょっとしたイタズラのつもりが人の命を奪う結果になった少年たち、子供を亡くした悲しみを誰かに聞いてほしかった女性…。そんなちょっとした油断が、悲劇を生むことになるのです。

【監督】ヘンリー=アレックス・ルビン

【出演者】ジェイソン・べイトマン アレクサンダー・スカルスガイド マーク・ジェイコブス

見ず知らずの相手だから話せること

SNS上で知り合った相手は、本当の自分を知らず、少しの自分の背景を提示するだけで話をすることができます。

リア友だったら恥ずかしくて言えないことも、SNS上で知り合った同じような悩みを持った人になら話せることがあるのも事実です。

しかし、だからこそ、そこに付け込んだ「悪意」が存在することも事実です。

本作は、まさにこのことについて警告を出しています。

気軽に話ができるSNSの良さもありますが、もっと自分のそばにいる人との関係性について深く考えてみる必要があることを、改めて感じました。

子供を失った女性の悲しみ

baby and mother

最愛の子供を失い、悲しみに暮れる女性・シンディ(ポーラ・パットン)は、夫・デレック(アレクサンダー・スカルスガルド)が出張に出かけたあと、「ひとりで悲しまないで」というチャットルームで見知らぬ人と会話をしています。

相手は、妻を亡くした男性です。

お互い、愛する人の喪失感を共有していたのです。

彼女は、話し相手がいるというのは素敵なことだと思っていたのですが…。

一方、デレックは、出張先でPCでクレジットカードで課金しながらゲームをしていたのですが「支払い不能」という文字が…。

シンディもデレックも、カードが停止されるほどの買い物をした覚えがありません。

夫婦のカードは、ネット上で情報を盗まれてしまったのです。

夫はPCゲームの課金、妻はネットショップをやっていて、支援グループのチャットをしていますが、他には普通に買い物に使っているだけでした。

このくらいなら普通のクレジットカードの使い方ですが、カード情報を盗まれるときは盗まれてしまうものなんですね…。

1万ドル以下の被害の場合、アメリカでは警察ではなく探偵に捜査を頼みます。

警察からの紹介で、元刑事の探偵・マイク(フランク・グリロ)に調べてもらうことになるのですが、ハードディスクの情報をすべて探偵に開示しなければなりません。

情報を盗まれると、別の犯罪に自分の情報が使われたり、新たにカードを作られたりしてしまうようです。

怖ろしい…。

犯人は、シンディのチャット相手だとわかります。

チャット相手のリンクをクリックしただけで、スパイウェアがPCに入り込んだいうことでした。

しかし、警察に通報出来るまでの証拠を集めなければなりません。

そうなると、数か月を要すると言われ…。

カード社会のアメリカでは、カードなしでは生活できないようです。

しかし、この詐欺事件をきっかけに、子供を失ってから離れかけていた夫婦の気持ちが近づいていきます。

デレックは、イラク戦争に出兵していたのですが、そのときの話をシンディには一切話さなかったのですが、この事件のせいで話をすることができます。

カードの情報を盗んだ犯人捜しをしている間に、お互いを思い合う気持ちを思い出したのです。

シンディとデレックは、犯人とされるシンディのチャット相手の家に証拠を取りに行きます。

そして、二人で銃を持って犯人の家に乗り込もうとしていると探偵のマイクから電話がかかってきて…。

「奴は犯人ではない。パソコンを遠隔操作されていた、彼自身も被害者だ」と。

孤独な少年の自殺未遂

音楽を愛する孤独な少年・ベン(ジョナ・ボボ)は、自分で作った曲をネットにあげています。

それを同じクラスの二人のいじめっ子・ジェイソン(コリン・フォード)とフライ(アビアド・バーンスタイン)に見つけられます。

そして、ジェシカという女の子になりすまし、「あなたの音楽素敵ね。私にも作って」とメッセージを送ります。

友達もいなくて、女の子ともあまり話したことがないベンは、自分の音楽を褒められてとてもうれしかったようです。

いじめっ子たちは、ベンが音楽を褒められると喜ぶことをしっかり掴んでいるんですね…。

ベンはさっそく「ジェシカ」のために曲を作ります。

今までこんな経験のないベンは、「ジェシカ」とのチャットに夢中になります。

そして、ジェシカになりすましているジェイソンとフライも、初めはベンをからかうつもりでやっていたのですが、少しづつエスカレートしていき、ある日、ベンにジェシカのセクシーな写真を送りつけます。

ベンは、それに乗せられてしまい、自分の裸の写真を「ジェシカ」に送ってしまうのです。

ジェイソンとフライは、ベンの裸の写真をSNSに投稿。

学校中にベンの写真がばらまかれたのです…。

本当に考えただけで、背筋が凍るほど怖い。

そして、ある日、ベンは自分の部屋で首をつって自殺未遂を起こしてしまいます。

こんな事態に陥るとは思っていなかったジェイソンとフライは慌てますが、今さら「いたずらでやった」とは言えなくなってしまいます。

フライは、何とかばれないようにごまかそうとしますが、ジェイソンは自責の念にかられます。

そして、そのまま「ジェシカ」として、息子を自殺に追い込んだ手がかりを見つけようとするベンの父親・リッチと会話を続けるのです。

ジェイソン自身は、自分の父親が厳しく、悩みを抱えていました。

そして、ベンの父・リッチと話すうちに、リッチが息子・ベンを思う気持ちをうらやましく思い始めます。

自分の父親とは違うと…。

そして、カード詐欺にあったデレックとシンディ夫妻の捜査を行う元刑事の探偵・マイクこそが、ジェイソンの父親なのです。

女性ジャーナリストと少年

camera

女性ジャーナリスト・ニーナ(ランドレア・ライズボロー)は、組織的に行われている有料の少年・少女のわいせつなチャット動画サイトの告発のため、一人の少年・カイル(マックス・シェリオット)にコンタクトを取ります。

リディアは自分は18歳だと偽り、カイルにこんな仕事は辞めた方がいい、高校に戻った方がいいと話していたのですが、何度目かにコンタクトを取ったときに、自分の顔をカイルに見せることにしました。

そして、カイルに会うことにしたニーナは、顔も声も出さないからインタビューさせてほしいと頼みます。

顔も声も出さないなら…と、カイルはOKし、このレポートは高い評価を受けます。

CNNがこのレポートを取り上げることになり、ニーナはジャーナリストとして成功を収めようとしていました。

しかし、ニーナのレポートは、少年に関する犯罪であったことから、FBIが介入することになり、カイルの居場所を尋ねられ、ニーナは情報源は話せないというのですが…。

さらに、ニーナはカイルと話すために、初めにお金を支払っていたことが問題となってしまいます。

ニーナの取材は、いきすぎた行為だとされたのです。

ジャーナリストとしてステップアップするはずだったニーナですが、それも叶わぬ夢となりました。

そして、このニーナがレポーターをしているTV局の顧問弁護士が、自殺未遂をしたベンの父親なのです。

最後に

映画「ディス/コネクト」の感想でした。

カード詐欺にあったデレックのイラク派兵の心の傷が、映画にうまく挿入されているのも、この映画の素晴らしいところだと思いました。

そして、ネット上で起こった登場人物たちのそれぞれの苦悩と傷跡が、現実の世界で生身の人間同士として触れ合うことで癒されていきます。

インターネットは、とても便利で、今の社会ではなくてはならないものです。

しかし、現実に、いつ自分がネット上で傷つけられるかもしれないこと、相手を傷つけてしまうかもしれないことを肝に銘じておかなければならないことを改めて感じました。

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