映画「グリーンマイル」の感想です。
不思議な能力を持った心優しい黒人男性が、無実の罪で処刑されます。
ファンタジー映画として楽しめ、また死刑制度についても考えさせられる傑作映画です。
Contents
「グリーンマイル」感想 はじめに
あらすじ
スティーブン・キングの小説に基づき1930年代の死刑囚官房の看守が殺人容疑で投獄された死刑囚が不思議な癒やしの力の保持者ということを発見し、彼自身の義務について道徳的なジレンマに直面する様子を描いた感動作。
[引用元]Amazonプライムビデオ「グリーンマイル」あらすじ
1932年。
コールドマウンテン刑務所の死刑囚官房で看守を勤めるポール・エッジコムの元に、双子の少女を殺害したとして身体の大きな黒人死刑囚ジョン・コーフィーが送られてくる。
ジョンは、見かけによらず繊細な心の持ち主で、優しく純粋な人間であった。
ある日、重度の尿路感染症にかかっていたポールは、コーフィーに患部をふれられただけで、あれほど苦しかった痛みがあっという間に治ってしまう。
他にも、コーフィーは、嫌われ者の看守・パーシーが踏みつけたねずみのミスター・ジングルスの大怪我を治したりするのを見て、ポールを始め看守たちは、彼には不思議な癒やしの能力があるのではないかと感じ始める。
そして、ポールは、コーフィーが双子の少女の命を奪ったことも間違いではないかと思い悩む。
このままでは、無実のコーフィーを電気椅子に送り込んでしまうことになるのではないか…。
一方、ムーア刑務所長の妻・メリンダは脳の病気を患っており、看守たちはコーフィーをメリンダのもとに連れて行く。
そして、メリンダの病気をコーフィーが「吸い込む」と…。
メリンダは、嘘のように病気が治り、元気を取り戻すのだった。
コーフィーは、メリンダの病気を吸い込んだまま吐き出さず(ポールのときやミスター・ジングルスのときは口から小さな枯葉や羽虫のようなものを吐き出した)、刑務所に戻る。
そして、コーフィーは、看守のパーシーの口からメリンダの病気を吸い込ませ、取り乱したパーシーは、凶悪犯のウィリアム・ウォートンを射殺してしまう。
コーフィーは、なぜ、ウィリアム・ウォートンをパーシーに射殺させたのか…。
【監督】フランク・ダラボン
【原作】スティーブン・キング
(1999年公開)
登場人物
ポール・エッジコム/トム・ハンクス
ジョン・コーフィー/マイケル・クラーク・ダンカン
ブルータス・ブルータル・ハウエル/デヴィッド・モース
ディーン・スタントン/バリー・ペッパー
ハリー・ターウィンガー/フェフリー・デマン
パーシー・ウェットモア/ダグ・ハッチソン
ハル・ムーアズ/ジェームズ・クロムウェル
ウィリアム・ワイルド・ビル・ウォートン/サム・ロックウェル
エデュアール・“デル”・ドラクロア/マイケル・ジェッター
ジャン(ジャニス)・エッジコム/ボニー・ハント
メリンダ・ムーアズ/パトリシア・クラークソン
電気椅子での処刑
1932年当時、ノースカロライナ州のコールドマウンテン刑務所では、電気椅子での死刑が行われていました。
現在では、電気椅子での処刑は廃止されています。
被害者の親族が立ち会う
本作の中で、何度か処刑シーンが出てきますが、出来るだけ囚人に苦しみを与えないように配慮されていましたが、本当に残酷で目を覆いたくなりました。
さらに、処刑は看守のみで行われるのではなく、被害者の親族が立ち会うことになっていました。
今では考えられませんが、犯人の処刑を被害者遺族が見届けていた時代があったということです。
しかし、いつの時代も、ウィリアム・ウォートンのような凶悪犯が存在することも事実です。
死刑の存続については、誰もが納得のいく答えは出せそうにないもの。
私の個人的な意見ですが、少なくとも冤罪の可能性が少しでもあるうちは、死刑は執行はするべきではないと思います。
コーフィーは無実
コーフィーは、その不思議な能力を使って、ポールに自分が無実であり真犯人が誰かも伝えることが出来ました。
しかし、冤罪であるという確たる証拠も出すことが出来ず、コーフィーはそのまま運命を受け入れることにしました。
コーフィーは疲れ果てていた
コーフィーが無罪だということを知ったポールたち看守は、何とかコーフィーを助けたいと思いました。
しかし、コーフィーは、「世界中のどこかで毎日こんな悲しい事件が起こっている。その苦しみを『感じる』ことに疲れた」と言います。
コーフィーの持っている癒やしの能力は、逆に苦しみも強く感じることになるのです。
このときのコーフィーには、もう思い残すことはなかったのかもしれません。
真犯人は既に…。
不思議な癒やしの力の後遺症
コーフィーによって治療されたポールの尿路感染症。
ポールには、痛みの苦しみからは解放されましたが、ある『後遺症』が残ってしまいました。
60年以上生きているねずみ
コーフィーによって救われたミスター・ジングルスは、60年以上生きています。
通常、ねずみの寿命は、約3年。
しかし、不老不死ではなく、ミスター・ジングルスも徐々に老化はしています。
いつかは死んでしまうのだとは思いますが…。
ポールの寿命
そうなると、ポールは一体、何歳まで生きることになるのでしょうか。
ポールは、妻はもちろん、息子の死も看取ったのです。
そして、ポールはこのとき既に108歳でした。
本作は、老人になったポールが入居している老人ホームの友人女性に、コーフィーの不思議な力の話を語って聞かせる形で物語が進行します。
ポールも、見た目はかなり年老いた老人です。
しかし、ミスター・ジングルスのことを考えると…。
ポールは、これからも親しい人の死を看取らなければならないのです。
これは、どれほど苦しく、悲しいことでしょうか。
しかし、ポールは、自分の死がいつ訪れるのかわからず、これから先も長く生きなければならないのは、無実のコーフィーを電気椅子に送るのを止めることが出来なかった『罰』だと、とらえているのです。
ポールにとってのグリーンマイルは、まだまだ先が長い…。
最後に
映画「グリーンマイル」の感想でした。
グリーンマイルとは、牢屋から電気椅子までの40mほどの距離のことを表しています。
そして、本作の舞台となったコールドマウンテン刑務所には、電気椅子までの道のりに緑色の敷物が敷かれていることからグリーンマイルと呼ばれていたそうです。
スティーブン・キング原作の作品は、ホラー映画のイメージが強いですが、本作「グリーンマイル」はホラーと言うより、ファンタジー映画の趣が強いと感じました。
「グリーンマイル」は、今回で観るのは三回目だったのですが、観れば観るほど理解が深まっていくようです。
キリスト教関連のことも、暗示されている部分があるようなので、次回観るまでに勉強しておきたいと思います。
そして、やはり、原作本を読みたいと思いました。
原作を読んでから映画を観ると、ちょっとがっかりすることがありますが、本作はそんなことはなさそうです。
原作の感想も、ぜひ書きたいと思っています。
まだご覧になっていない方は、ぜひご覧になってみてください!
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