こんにちは。
はるき ゆかです。
映画「ヒメアノ~ル」の感想です。
私は森田剛さんの主演舞台「金閣寺」を観て以来、俳優・森田剛の大ファンです。
本作「ヒメアノ~ル」は映画館でも観たのですが、AmazonプライムビデオやNetflixでも観られるので、再度観てみました。
リアルで残酷で思わず目を背けてしまうシーンもありますが、考えさせられることもたくさんある映画です。
映画「ヒメアノ~ル」の感想 はじめに
あらすじ
岡田(濱田岳)は、人のいいどこにでもいる普通の青年です。仕事は清掃会社のアルバイト。日常の退屈やこのままでいいのかと思う焦りを持っていますが、平穏な暮らしをしています。ある日、職場の先輩の安藤(ムロツヨシ)が恋する女性がウェイトレスをしているお店に連れていかれた岡田は、一人の青年と再会します。それは、高校時代に同級生だった森田正一(森田剛)でした。岡田は森田に対する後ろめたい過去があり、その頃の感情が沸き上がってきて…。
【監督・脚本】吉田恵輔
【原作】古谷実
登場人物
森田正一/森田剛
高校時代に過酷ないじめにあっていた。岡田と同級生。次々と人の命を奪うシリアルキラー。
安藤勇次/ムロツヨシ
岡田の職場の先輩。ユカのことが好き。
岡田進/濱田岳
森田の高校時代の同級生。森田に対してある後ろめたい過去がある。
阿部ユカ/佐津川愛美
カフェのウェイトレス。安藤に恋心を抱かれるが、岡田のことが好き。森田からストーカー行為を受けている。
和草浩介/駒根木隆介
森田と共に高校時代いじめにあっていた。大きなホテルの跡継ぎ。森田に強請られている。
久美子/山田真歩
和草の恋人。
河島/栄信
高校時代、森田と和草をかなりひどいいじめをしていた。
ユカのアパートの隣人/山中聡
ユカのアパートの隣人でちょっとしたトラブルで岡田に殺害される。
壮絶ないじめから始まる多くの悲劇

森田正一(森田剛)は、本来、ゲーム好きの普通の大人しい少年でした。
しかし、正一は高校時代、壮絶ないじめにあっていました。
それは、精神的にも肉体的にも耐えがたいほどひどいいじめでした。
映像化ギリギリのいじめシーン
映画やドラマでも、いじめのシーンが描かれていることは多いですが、ここまで苛烈ないじめは、ほとんどみたことがありません。
それほど屈辱的で恥辱的ないじめは、いじめられた側の精神にかなりのダメージを与えるものでした。
森田は、おそらくこのいじめのせいで精神を病み、シリアルキラーになってしまったのだと思います。
もし森田がいじめにあっていなかったら
ビル清掃会社で働いている岡田(濱田岳)は、ある日、職場の先輩・安藤(ムロツヨシ)といっしょにあるカフェに行きます。
安藤の天使ちゃん
安藤は、そのカフェのウェイトレス・阿部ユカ(佐津川愛美)のことが好きでした。
その恋のキューピッド役を、岡田に頼む安藤。
そして、安藤は森田がユカにストーカー行為をしていることを気づいています。
ユカ自身もそれを感じており、岡田にそのことを相談します。
ユカの友達と岡田、安藤の4人で飲み会をしたのですが、なかなかうまくいきません。
あきらめきれない安藤は、岡田に自分の気持ちを伝えてほしいと頼みます。
しかし、そこでユカが安藤ではなく岡田のことが好きだと告白してきます。
岡田は困ってしまうのですが、やはり可愛いユカに好意を寄せられていることはうれしく、二人は付き合うことになります。
これは…。
安藤にとってはかなりショックなことだと思うのですが。
ショックを受ける安藤
こっそり、陰で二人の様子をうかがっていた安藤は、ショックを受けてしまいます…。
しばらく職場を休み、家に引きこもります。
心配した岡田が安藤の家を訪ねると、ボロボロになった安藤がいました。
そして、岡田に「もちろん、ユカちゃんとつきあったりしないよね?そんなことしたらチェーンソーでバラバラにしてトイレに流しちゃうかも」と無表情で岡田を脅します。
何となくユカちゃんの気持ち、わかる気がします。
岡田くんは、イケメンではないですが母性本能をくすぐられるタイプですw
もし森田がいじめにあっていなかったら

森田は、高校時代、和草(駒根木隆介)と二人、河島(栄信)にいじめられていました。
森田の強請りが始まった理由
森田と和草は、いつか河島の命を奪おうと話し合っていましたが、和草は本気で言っているわけではありませんでした。
そして、ある日、森田は本当に河島を捕まえ手足をしばり、森の中でバットで殴りつけていました。
そこに和草が呼ばれ、「二人でいつかこうしようって言ってたじゃない」と平然と森田は言います。
和草も、河島をバットで滅多打ちにしているうちに、これまでの恨みが込み上げ、河島を殺害してしまいます。
その日から森田の態度が変わりました。
和草の実家は大きなホテルを経営しており、森田は和草を強請り始めます。
ユカと岡田の関係を知って
ユカと岡田は結ばれました。
そのとき、ユカのアパートの外には森田が立っていました。
やはり、森田はユカをストーキングしていたのです。
シリアルキラーである森田は、河島を亡き者にして以来、殺人者として目覚めたようです。
森田は、ユカと岡田の関係を知って、岡田を亡きものにしようと考えます。
それを和草に手伝ってもらおうと連絡をするのですが、和草はもうこれ以上は無理だと自首しようとします。
しかし、恋人の久美子に説得され、岡田を返り討ちにしようとして…。
シリアルキラー・森田が萌芽する
和草に襲われた森田は、シリアルキラーとして萌芽し始めます。
森田は、裏切った和草とその恋人・久美子、森田を見てちょっと笑った女性、パチンコで勝ったのを見ていたチンピラ二人、ドアを蹴る森田に苦情を言ってきたユカの隣人、忍び込んだ家の夫婦、その家に来た警察官、ユカのストーキングを咎めた安藤…。
安藤だけは命を取り留めましたが、他の人々はすべて森田が命を奪いました。
たいした理由もなく、次々と。
もしいじめがなかったら
なぜ、ここまで森田は人を容易く亡きものにできるのでしょうか。
森田は、殺人を繰り返しながら、ネットカフェで寝泊まりしているときに、河島からいじめにあっていた頃のことを夢に見ます。
そして、いるはずのない河島の声が森田の頭の中で鳴り響きます。
聞こえるはずのない声が聞こえる…。
さらに、森田自身の中の何人もの人格の声が頭の中で響きます。
「死ねよ」
「お前なんか生きている資格はない」
「そんなに熱くなるなよ」
「死ね!死ね!死ね!」
それらの声は、全て森田自身の声です。
森田はいじめにあって、精神を病んでしまったのだと思います。
いくつもの人格が、森田の中にあります。
もともとの気質もあったのかもしれませんが、シリアルキラーとしての自覚がいじめによって覚醒されたのです。
岡田のとった行動

岡田は、高校に入学して初めて話をしたのが森田でした。
二人ともゲームが好きで話も合い、森田の家に岡田が遊びに行って一緒にゲームをしたこともありました。
「お母さん麦茶持ってきて」
森田が河島からいじめをうけるようになってから、岡田は森田から距離を取り始めました。
森田をかばったら、自分もいじめのターゲットにされかねないからです。
こういうことは、よくあることだと思いますが、森田は「トモダチ」だと思っていた岡田の態度に失望したはずです。
岡田は、そのときの森田の目が忘れられないと言います。
森田にとって、自分の家でいっしょにゲームをした岡田は「トモダチ」でした。
二人で森田の家でゲームをするシーンで、森田が「おかあさん、麦茶持ってきて!」と言うシーンがあります。
庭には犬がいて、のどかな少年たちのシーン。
ラストシーンにも出てくるのですが、とても辛く苦しい…。
いじめさえなかったら、これほどたくさんの人の命が奪われることもなかったのかもしれません。
最後の笑顔
ラストシーンの森田の幸せだった頃のシーンが、とても切ないです。
「岡田くん、またいつでも遊びに来てよ」
映画「ヒメアノ~ル」の感想 最後に
映画「ヒメアノ~ル」の感想でした。
とても残酷なシーンが多い映画ですが、いじめがなかったら…と思わずにはいられない切なく悲しい映画でした。
原作と映画では、森田の心象風景の描き方が違うようです。
しかし、岡田との楽しい思い出、犬を避けて事故にあう森田。
いじめが人の心に及ぼす大きすぎる影響が、心に突き刺さる映画でした。
森田剛さんの演技に圧倒されます。
映画「ヒメアノ~ル」はAmazonプライムビデオで観ることが出来ます!
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ヒメアノ~ル
原作本はこちら(全6巻)