映画「しゃぼん玉」感想|しゃぼん玉のような人生に明かりが灯ったとき

shabondama

こんにちは。

はるき ゆかです。

2017年公開の映画「しゃぼん玉」の感想です。

原作は直木賞作家の乃南アサさん。

ラストシーンでは、涙が溢れ心が温まる素晴らしい映画でした。

「しゃぼん玉」 あらすじ

親の愛情を知らずに育ち、女性や老人だけを狙った通り魔や強盗傷害を繰り返してきた伊豆見翔人(林遣都)。人を刺し、逃亡途中に迷い込んだ宮崎県の山深い椎葉村で怪我をした老婆スマ(市原悦子)を助けたことがきっかけで、彼女の家に寝泊まりするようになった。初めは金を盗んで逃げるつもりだったが、伊豆見をスマの孫だと勘違いした村の人々に世話を焼かれ、山仕事や村祭の準備を手伝わされるうちに、伊豆見の荒んだ心に少しづつ変化が訪れた。そして10年ぶりに村に帰ってきた美知(藤井美菜)との出会いから、自分が犯した罪を自覚し始める。「今まで諦めていた人生をやり直したい」__決意を秘めた伊豆見は、どこへ向かうのか。(C)2016「しゃぼん玉」製作委員会 原作:乃南アサ『しゃぼん玉』(新潮文庫刊)/企画協力:新潮社

[引用元]Amazonプライムビデオ映画「しゃぼん玉」あらすじ

のどかな田舎生活の中で

森の中

伊豆見祥人(林遣都)は、幼い頃両親が離婚し、父は新しい女を連れて、母は弟だけを連れて家を出て行きました。

そんな、親の愛情に恵まれなかった伊豆見は、都会で老人や女性を相手にひったくりを繰り返す日々を送っていました。

ある雨の日、伊豆見はとうとうひったくりをした若い女性をナイフで刺してしまいます。

逃げている途中で、道路に一台のスクーターが転がっていました。

それを使って逃げようとしたときに、わき道からうめき声が聞こえ、それが事故を起こした老婆スマ(市原悦子)でした。

このときの市原悦子さん登場のシーンの演技が、とても自然で素晴らしいのです。

いかにも事故で怪我をしたという感じではなく、実はわりと冷静で、こんな感じになってしまうんだろうな…と思わせてくれます。

一気に物語世界に引き込まれます。

本当にすごい女優さんだと思います。

そして、そのまま逃げてしまおうかと逡巡する伊豆見でしたが、スマを助けて家まで連れて帰ります。

こういうところに、伊豆見が本当の悪人ではないことがわかります。

荒んだ心に灯る明かり

和食

スマの家に転がり込んだ伊豆見は、スマのお友達のおばあちゃんたちに、スマの孫だと勘違いされてしまいます。

おばあちゃんたちは、とても明るくて純粋で、伊豆見を自分の孫のように大切にしてくれます。

おばあちゃんたち手作りの田舎料理は、とても愛情がこもっていておいしそうです。

おそらく、伊豆見は質素だけれどこんなに愛情のこもった料理を、今まで食べたことなどないのでしょう。

戸惑いながらも、「おいしい」とぶっきらぼうに答えると、おばあちゃんたちは大喜びです。

この村の高齢者は、とても矍鑠(かくしゃく)としています。

それは、この村が山深く、年をとっても自分で何でもやらなければいけないからでしょう。

スマがスクーターに乗っていたのも、そういった事情からなのだと思います。

この村の風景は、美しい景色で溢れていて、おそらく生活するには大変だと思いますが、癒しを与えてくれます。

しばらく、スマの家でゴロゴロとしていた伊豆見ですが、シゲ爺(綿引勝彦)の手伝いをすることになります。

厳しい山仕事です。

シゲ爺はとても厳しいのですが、伊豆見の頑張りをしっかりほめてくれます。

シゲ爺は、いかにもお腹から声が出てる感じのたくましくカッコいい老人です。

綿引勝彦さんのいい声にほれぼれします。

男手の少ない山村で、シゲ爺はスマの助けになってくれているようです。

このようにして、伊豆見は少しづつ村に溶け込み、椎葉村の村祭にも参加することになります。

美知との出会い

花束

美知(藤井美菜)は、最近まで大阪でOLをしていたというとても美しい女性です。

伊豆見は村祭に飾るお花の寄せ植えを作る手伝いを頼まれ、美知と出会います。

伊豆見にとって、彼女は「運命の人」と言っても良いでしょう。

田舎町では「何かあったら村中みんなが知っている」という田舎では当たり前のことから、伊豆見は村の女性から美知が村に戻ってきた経緯を聞かされます。

そこから、伊豆見は初めて自分の罪に気づかされて…。

林遣都という俳優

林遣都さんは、イケメンというより、とても美しい容姿を持った俳優さんです。

映画「バッテリー」で主演デビューしたときも、顔の美しさの話題が先行していたイメージです。

どちらかというと、顔の美しさのせいで、役の幅が狭くなってしまうのではないかと思っていましたが、今では若手実力派俳優として様々な役に挑戦されています。

この「しゃぼん玉」でも、愛情に飢えた荒んだ青年が少しづつ再生してゆく難役を見事に演じています。

この映画の中で、最も印象に残ったシーンが、スマの息子がスマの家に帰って来るシーンです。

美知との出会いもそうですが、このスマの息子との対峙がこのあとの伊豆見の運命を大きく変えることになります。

そして、このときの林遣都さんの演技が、本当に素晴らしいのです。

ラストシーンは、3年後。

その先をもう少し観たかった気もしますが、私はこの終わり方がとても素晴らしいと思いました。

自分には帰る場所がないと思っていた伊豆見には、今はあたたかな明かりの灯る帰る場所が出来たのです。

最後に

映画「しゃぼん玉」の感想でした。

市原悦子さんは言うまでもなく、主演の林遣都さんの演技が心に刺さります。

スマが伊豆見に「坊はいい子」と繰り返し言うのですが、そのたびに心があたたかくなります。

何度も目がしらが熱くなり、ラストには泣ける、おすすめの映画です。

とにかく、林遣都さんが最高です。


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