映画「惡の華」 感想|若き日の鬱屈した心と体

映画「惡の華」の感想です。

ボードレールの詩集「悪の華」を読まれたことがあるでしょうか。

私は、学生時代に読んだことがありますが意味がわからず、解説書なども読みました。

しかし、結局のところ意味を解することが出来ませんでした。

映画は、この「悪の華」を愛読する少年が主人公です。

「惡の華」 あらすじ

あの夏、僕は仲村さんと出会い、リビドーに目覚めた。山々に囲まれた閉塞感に満ちた地方都市。中学2年生の春日高男は、ボードレールの詩集「惡の華」を心の拠り所に、息苦しい毎日をなんとかやり過ごしていた。ある放課後、春日は教室で憧れのクラスメイト・佐伯奈々子の体操着を見つける。衝動のままに春日は体操着を掴み、その場から逃げ出してしまう。その一部始終を目撃したクラスの問題児・仲村佐和は、そのことを秘密にする代わりに、春日にある”契約”を持ちかける。こうして仲村と春日の悪夢のような主従関係が始まった・・・。仲村に支配された春日は、仲村からの変態的な要求に翻弄されるうちに、アイデンティティが崩壊し、絶望を知る。そして、「惡の華」への憧れと同じような魅力を仲村にも感じ始めた頃、2人は夏祭りの夜に大事件を起こしてしまう・・・(C)押見修造/講談社 (2019)映画「惡の華」製作委員会

[引用元]Amazonプライムビデオ「惡の華」あらすじ

【監督】井口昇

【原作】押見修造

登場人物

春日高夫/伊藤健太郎

仲村佐和/玉城ティナ

佐伯奈々子/秋田汐梨

常盤文/飯豊まりえ

中学生の鬱屈した気持ち

主人公は、中学二年生の男の子・春日高夫(伊藤健太郎)です。

体操服を盗んだ春日

春日は、憧れの女子・佐伯さん(秋田汐梨)の体操服を思わず盗んでしまったところを、クラスの問題児の少女・仲村佐和(玉城ティナ)に見られてしまいます。

そして、仲村に、盗んだことをバラされたくなければ言うことを聞けと言われます。

春日は、自分のシャツの下に盗んだ佐伯さんの体操服を着せられ佐伯さんとデートしたり、告白させられたり、「クソムシ」と罵られながら脅され続けます。

体育のプールの授業のときに、女子更衣室から下着を盗まされたりしているうちに、春日はリビドー(性的欲求)に目覚める…。

下着を盗んだことではなく、仲村という存在に。

 

一見、中学生の陰湿ないじめのように見えますが、春日は仲村が好きでした。

佐伯さんが好きだと思っていましたが、仲村にいじめられることで気持ちが仲村の方に傾いていくのです。

 

春日と仲村が、教室を墨汁でめちゃめちゃにするシーンがあります。

このシーンは、象徴的なシーンだと思いました。

欲望の発露。

隠れ家

春日は、自分と仲村のために、河原に秘密の隠れ家を作ります。

二人は、そこで分かり合った二人だけの楽しみに没頭します。

しかし、ある日、その隠れ家を佐伯佐和に見つかってしまいます。

春日に告白されていた佐伯佐和は、嫉妬し、隠れ家に放火してしまうのです。

 

佐伯の心の底にも、「惡の華」は咲いていたのです。

夏祭りの夜

そして、夏祭りの夜。

仲村と春日は、盆踊りの櫓を占拠して、心中を図ろうとします。

灯油をかぶって、ライターで火をつける…。

 

しかし、寸でのところで、仲村は春日を突き飛ばし、仲村は父親に取り押さえられ、心中は未遂に終わります。

 

私の年齢になってからこの映画を観ると、正直、そのエネルギー量に気圧されて、観終わった後、疲労感が半端じゃなかったです。

これから先は、変わらないでしょうが、春日たちと同じ中学生時代にこの映画を観ていたら、もっと違った感想が書けたかもしれません。

中学生時代

私は、主人公の春日と違って女性なので、また違った「思春期」を過ごしたのだと思いますが、自分自身の中学生時代を振り返ってみても、中学生の頃が一番鬱屈した思いを抱いて過ごしていた時期だと思います。

身体が成長する一方で、心がそれについていけない。

どうしても自意識が過剰になり、そこまで誰も私のことなど気にしていないのに、周囲の目を気にしていました。

出来なくて当たり前のことを自分自身に課し、出来ないと自分を責めたり…など、自分に対してとても厳しい目線を持って、自分自身と対峙する時期だと思います。

 

過ぎてしまえば、何だか滑稽なのですが。

その地を離れて

心中事件のあと、春日は別の街に引っ越し、佐伯は海辺の母の元(佐伯の両親は離婚していて父親が引き取っていた)に引き離されます。

 

春日は高校に入学して、佐伯によく似た女生徒・常盤文(飯豊まりえ)に出会います。

常盤は、背が高くスタイルのいい美人で男子に人気のある女子で、いつも友人に囲まれている明るい性格です。

そんな常盤は、実は小説を書いていて、春日が中学生時代に本を読むことが好きだったことから親しくなります。

 

そして、常盤と春日は、ある日、佐伯に会いに行くことにしました。

母が営む海辺の食堂で働いていた佐伯は、中学時代より少し落ち着いていました。

しかし、春日が常盤と一緒にいるのを見て、「普通の道を選んだんだね」と言って去っていこうとします。

それを見て、春日は、

「仲村さん、僕は何もつかまえらんない。必死で手を伸ばしても、触れたと思ったら離れていく。たどり着いたと思ってもまた始まる。だから、それでも僕はうれしい。仲村さんが消えないでいてくれて」(本作春日のセリフより引用)

そう言って、三人はびしょ濡れになって、笑いながら海で転げまわります。

 

仲村は、春日が「普通の男の子」になったことをどこか安心しているように見えました。

最後に

映画「惡の華」の感想でした。

中学生のとき、自分自身を持て余していた頃を思い出しました。

 

仲村の最後のセリフは、とても優しく美しいです。

 

玉城ティナさん、お人形さんのような美しい顔で華奢な女優さんですが、迫力の演技でした。

映画「暗黒女子」でも素敵な演技をされていましたが、他の作品も観てみたいと思います。

 

そして、ボードレールの「悪の華」を再読してみたくなりました。

今なら、少しは意味を解することが出来るでしょうか。

 

 

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